呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(58)

       中尾町政と縁故主義

先日のこと、四万十町職員が、総勢711人にも膨れ上がっていると知って、仰天した。

正規職員351人、非正規職員360人という内訳である。

尤も正規職員41人分は、西部特別養護老人ホーム組合の解散に伴う、四万十町直轄の特老のに伴うものであり、同時に非正規職員も49人が町職員に移行したと言う事である。が、それにしても数値が合わない、私の試算では、この分の合計90人を差し引いても、ここ数年前に比べると。150人以上の増員となっているのである。

まず、正規職員とは、一次試験、二次試験(論分と面接)を経て採用され、定年60歳まで身分が保証され、再任用の機会も保障されている職員の事である。因みに再雇用者の月額給与は、27万円で、月額給与に見合う勤勉期末手当も支給される。希望者は全員再雇用され、年金支給開始まで1年ごとの契約更新で雇用の継続が保障されている。一方非正規職員とは、今年の4月までは、臨時職員と嘱託職員に区分けされていた。臨時職員とは、日給6800円で働く正規職員の事務補助業務に当たる職員の事であり、嘱託職員とは、1年ごとの契約で、専門的な職務に充当される職員と説明されてきた。月に16日の勤務で月額報酬は、16万円相当であった。ところが、働き方改革法案が制定され、同一労働同一賃金制度導入の名目で、正規公務員と非正規公務員の待遇格差が問題視される中、非正規公務員にも賞与を支給すべきとの動きを受けて、全国の地方公共団体は、この方向に一斉に舵を切った。いつもの事であり、上意下達で、一斉に実行された。実行されたはいいが、問題は、その中身である。正規職員であれば、人まずは、課毎に職務分担票というものが作成され、職員毎の業務内容が示されている。ところが、非正規職員に置いては、これが作成されていない。少なくとも対外的に説明できる、開示請求によって開示できるような公文書が作成されていないのである。年度末に課毎に管理職から申請された非正規職員申請リスト、例えば一般事務何名等、が人事担者のPC 内のエクセルシートので保管されているだけ、なのだそうである。これ、なんだかすごい話に聞こえないか。会計制度任用職員制度の導入は、少なくとも同一労働、同一賃金の旗印の元に、正規と非正規の格差是正及び住民の個人情報を扱う公務員としての守秘義務の徹底化が表向きの目的とされているのである。それでいて、正規職員を上回る人数の会計年度任用職員職員の職務内容を一覧的に記述したものが、総務課で作成されていないという、この信じられない程の杜撰な実態がある。これは、実質的に人事管理が為されていないということに近い。ここで、議会である。議会の一義的な役割は、このような行政実態の調査、解明とに基づく是正の勧奨である。そのために月額報酬25万円は支給されている。

         と・こ・ろ・が

ついこの前4月21日に傍聴した、総務常任委員会では、正規職員のみ対象の時間外手当の調査が行われた。一般事務という正規職員補助業務を担当する非正規職員の業務分担状況は、調査の対象外であった。元々正規職員の業務に付随する非正規職員の業務ではないのだろうか。単独業務を非正規職員に割り振るのであれば、非正規職員でもこなせる業務という事になる。非正規職員の採用経路は正規職員とは全く異なる。履歴書を担当課に出して、書類選考と面接だけで決まるのである。採用されたら契約が交わされる。3年間は更新可能で、3年目には再度公募される。が同一人物の再雇用は妨げられていない。過去に、「教育研究所」という学校教育課の付属機関であり、「設置できる」と規定されている組織の専門職SSW(スクールソーシャルワーカー)の契約書を開示請求したことがある。理由は、その専門性を含む職務内容が非常に分かりにくかったからである。契約書類を見れば少しは分かるのではないか、と考えたのである。しかし、やっぱり分からなかった。資格欄が黒塗りであった(個人情報保護のためと記載されていた)ために専門性を推し量ることも出来なかったのである。職務内容とそれ関連する資格を個人情報と見るのはハナからおかしい。採用経路にかかわる説明しにくい部分は、全て個人情報として隠ぺいするのである。これは時間外調査をした総務常任委員会の委員長古谷幹夫議員も全く同様であった。総務課が持ち込んだ資料(職員名は記号化されている。時間外上位10位の総時間数と所属課を一覧表にしたもの)を傍聴者(私の事)から委員長権限で回収した挙句、開示請求すれば、非開示、理由:文書不存在(委員会報告書未提出の為)と応答したのである。そして、6月1日時点で、今だ委員会報告未提出である。古谷幹夫委員長は、昨年10月、11月の風力発電所視察(愛媛県愛南町宇和島市高知県檮原町津野町)視察報告書さえも、私が、たまりかねて本人に直接催促した挙句、ごく最近提出したのである。さすがにここまで来れば、この古谷幹夫議員は怠慢にして無能あるとしか思えない。怠慢が無知の土壌であることは、言を待たないが、町民からの請願付託を受けた委員長としての町民に対する責務(審議内容を速やかに報告する)を自覚できないとすれば、これは怠慢以前の無能としか言いようがないのではないか。大藤風力発電事業計画に係る議会の責務は、四万十町通信新年号でいみじくも下元昇議長が、新年の挨拶の中で述べたように、正しく「慎重に時間をかけて熟議し、将来に禍根を残さない。」ことである。多いに賛同する。が究めて常識的なことであるが、熟議には、論点整理がまず必要であるさらにその論点整理のためには、まず情報源に当たらなければならないのである。情報源とは、以下である。リストアップする。

1.計画段階環境影響配慮書(オリックス社作成環境影響評価図書)

2.計画段階環境影響配慮書に対する一般意見

3.計画段階環境影響配慮書に対する四万十市長と四万十町長意見、高知県環境評価技術審査会意見、高知県知事意見、環境大臣意見、経済産業大臣意見

4. 方法書(オリックス社作成環境影響評価図書)

5. 計画段階環境影響配慮書に対する一般意見と事業者見解

6.方法書に対する四万十市長と四万十町長意見、高知県環境影響評価技術審査会意見、高知県知事意見、環境大臣意見、環境審査顧問会助言、経済産業大臣意見

7.四万十町景観協議会議事録

8.四万十町重要文化的景審議会議事録

ところが総務常任委員会のメンバーが誰もこれらを探し出せない。ここが怠慢、無能の所以である。大藤風力発電事業は、オリックス社の事業であって、四万十町の事業ではないので、通常のように懇切丁寧な議会の理解を得るための資料等を議会向けに町側が作成、提供する理由がないのである。さてそうなったら彼らはお手上げである。行政に寄生して議員をやってきたので、ここでおしまいである。考えてもみて欲しい。古谷幹夫議員の例で言えば、いくら本業の農業に精を出したいという本音があろうと、A4一枚の委員会報告書作成にこれほど時間がかかるという事が何を意味しているをである。中尾博憲は、「議員に専念できる給与」と称して、議員報酬引き上げ議案を上程した。中尾博憲が再雇用の正規職員給与が月額27万円であることを知らないはずはない。しかし、職員は常勤である。年間本会議16日、委員会20日で、合計実働36日の議員とは違うのである。専念できる報酬を提示して、専念しなくてもこれまでより一挙に45000円も増額となった給与だけ受け取れる環境を率先して整備したのは、他ならず、この出鱈目べんちゃら迎合町長、中尾博憲である。であれば、いつの間にか150人以上も膨れ上がった、役場職員(正規、非正規を問わない)の雇用の背後にも、この出鱈目な迎合、人気取りしかないと考えるのが自然ではないか。ところで、議員報酬引き上げ違法裁判を起こした知人に対して、この出鱈目迎合町長の答弁書が裁判所から郵送されて来たらしい。今日その複写物を知人から受け取ることになっているのだが、「町長提案で議員報酬を改正した、審議会の了解も得たので何ら問題なし。」という簡便、安易な答弁内容であるらしい。町の顧問弁護士から余計なことは書くなと、教唆されているのだろう。議会からの議員報酬引き上げの要望の提出があったことが、この議員報酬引き上げの直接の動機であったことは間違いないのだ。その証拠に、酒井祥成、堀本伸一、下元昇の3人は、反対した議会運営委員会議員に対してあからさまな議会内部の言論封鎖を企てた。これが彼らの2元代表制簒奪行為であり、町民に対する背信行為の隠しようもない証拠である。議会内部での単なる申し合わせにより、言論封鎖にあったのは,私も同様である。意思決定の場ではないところを利用して、心理的同調圧力により、議会議員として最も尊重されるべき本会議の言論の自由や議決権に介入し、思想統制を図ろうとする。これが彼らの町民に対する背信行為の核心部分であるのだが、彼らはそれを自覚、理解できない。なぜなら、彼らは元々議会制度の本来の主旨その物を理解していないからである。

「議会とは議案にする合議体である。」「町議会で政党政治が行われている訳ではない従って党議拘束は存在しない。」「従って、議案毎の賛否があるだけで、議会の統一意思というものは存在しない。」「議案毎の賛否に介してはいけない。」

以上が理解できないのは中尾博憲も同様である。このような人物を相手に裁判をしなくはならないのである。いや、このような人物だからこそ訴えられて当然、と建設的に考えてみることしよう。今、人間がサル化しているという説がある。私はかねがね議会はサル山にそっくりだと痛感していたので、今更驚きもしないが、確かに、議会が、主権者の写し鏡であるという真実からすれば、人間全体がサル化したから政治家もサル化したとも言える。製造物責任はやはり主権者にあるのだ。それであれば、今や心を新たにして、議会の監視、再教育に乗り出すのが主権者の責務となってくる。監視と再教育によって彼らに本来の仕事をさせなくてはならない。報酬を上げて議会を懐柔し、職員を際限なく増やして、町民の歓心を買おうとしてきた中尾博憲を船長とする船には、羅針盤など搭載されてはいない。人事を見れば、これは明らかである。人間がサル化しているという言説は、内田樹という評論家によるものであるが、この人の定義によればサルと人間を分かつものは、「過去と現在と未来の自己同一性を存在として自覚、希求するか否か」であるらしい。昨日言ったこと、今言っていること、明日言う事に全く整合性がないのが、この中尾博憲である。安倍晋三もそうである。このような政治家の言説は当然歴史の検証に堪えるはずが無い。何を隠そう、元が出鱈目なのである。だからこそ、このような人物にお願いして報酬を上げてもらった議会が、「熟議によって将来に禍根を残さない。」などという事は、一切不可能なのである。自己同一性を求めない、サルの時間を喜喜として生きている人々に一体何を期待できるだろうか。可能性は、ただ一つ、主権者による、監視と再教育という、威信と実践による圧力の威力だけである。言い古されたことではあるが、参画が政治を変える。やはり、これに尽きるのではないか。

 

西原真衣