呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(57)

   コロナ禍のオンラインシンポジューム

 

 四万十町の女性町議は「日本全国で自然エネルギーの名の下に自然を破壊している。これだけの豊かな山や川、海を手放して得るものとはいったい何なのか。住民が幸せになれない施策はしてはいけないと思う。コロナ禍の今、大量生産・大量消費の時代はもう終わったのだと見直していくことが必要だ」とのべた。

以上は,ネットで見た、「四万十ふるさとの自然を守る会」主催のオンラインシンポジュームを取り上げた長周新聞の記事の一部である。四万十町の女性町議とは、村井真菜議員である。先日この村井真菜議員が副委員長を務める教育民生常任委員会を傍聴した。「学校校庭でにラウンドアップを使用して除草するのを控えて自然由来の除草剤を使って欲しい」という陳情の審査をしていた。学校で、環境にやさしい除草剤(自然成分由来)で実験した。一週間で雑草が生えてくる。根っ子まで枯れないようだ。クローバ等には一定の効果、カヤには効かないようだ。」「今後正規校務員のいる学校に、この自然成分由来の除草剤を配布して、草の種類や児童の動線を勘案したラウンドアップマックスロードとの併用を試行する。」などと報告したのが西田典夫学校教育課課長である。この報告後、陳情の結果をいつ出すかに焦点が移った。(モンサントのランドアップの人体への悪影響(発達障害や自己免疫疾患の誘発の危険性)が詳しく書かれていた陳情であったのも関わらず、ここには一切踏む込まない)ここで緒方正綱議員は驚くべき発言をした。

緒方正綱議員:会社名(モンサントの事))の入った陳情の採択は議会としてどうなのか販売側にも配慮がいるのでは。

さすが、長年土建屋に身を置きながら町会議議員をしているだけのことはある。企業利益に対する並々ならぬ配慮が見え隠れするのである。けれども問題の本質は、こういうところにはない。企業利益か環境(人体への影響も含む)かではなく、ラウンドアップがどのような特質を持つ除草剤であり、その効用と効用に伴う実害の知識がまず欠かせない。その上で、環境(校庭の除草も環境保持の一環であるし、その環境は児童の性格環境である)の持続可能性のための賢明な選択が必要である、その選択とは、最新の知見に基づく合理的で具体的な選択である。少なくとも議会議員に要請されているのは、それだ。ラウンドアップは商品説明欄に、「環境にやさしい、生分解性除草剤」と謳っている。けれども、根まで枯らす力を持つ強力な除草剤が、環境にやさしい生分解性(土中微生物によって自然に分解され、残留しない)をどうやって確保できるのか、不明である。企業利益への配慮の前に、その広告の虚偽性を見るべきではないだろうか。そしてその虚偽性を当局が放置していることも併せて問うべきではないか。ラウンドアップの有効成分であるグリサホートの残留基準を農林水産省が示していること及び、その基準値が、ごく最近大幅に緩和されたことは、周知の事実である。根まで枯らす(学校教育課長の西田典夫氏がここで明言している)成分が、土中に残留しているから、穀物がその成分を吸い上げるが故に残留基準値が必要とされていると考えるのが合理的ではないか。ランドアップマックスロードの説明書きには、「非選択性除草剤」とはっきり書かれている。これは、「雑草だけでなく、全て枯らしますよ。だから枯らしたくないものにはかけないように注意」という意味である。だからこの非選択性と、土中における生分解性(残留しない)は両立しないのである。「このような子供だましの商品説明を当局は規制していない、何のために」これが問題の本質である。ところがこの委員会のメンバー中屋康委員長、村井真菜副委員長、岩井優ノ介委員、酒井祥成委員の誰一人この事実に言及しない。余りに無知なのか、それとも言及しないように計らっているのか、恐らく双方だろう。だからこそ、冒頭に引用した村井真菜議員発言、「日本全国で自然エネルギーの名の下に自然を破壊している。これだけの豊かな山や川、海を手放して得るものとはいったい何なのか。住民が幸せになれない施策はしてはいけないと思う。コロナ禍の今、大量生産・大量消費の時代はもう終わったのだと見直していくことが必要だ。」に接しても、心底白けてしまうのだ。因みにこのシンポジュームに関しては、「盛況に終わりました。」と私に先日メールが届いた。昨年9月11日にも、ここ主宰で「いる、いらない、みんなで考えよう風力発電」が、四万十町の東庁舎会議室で開催された。この時の講師、市川守弘弁護や、その時の司会役であった「四国風車ネットワーク」代表の黒田氏、町長室で署名を提出した会の代表、佐藤さや氏の顔も画面にあった。司会役は、高橋正徳氏である。昨年9月も勉強終了後に代表者の佐藤さや氏が「子育てしながら、お母さんたちが手弁当で頑張ってます。ちらし作製の紙代やコピー代にも事欠いています。」と会場で訴えていたので、私も、会場廊下に設置された寄付箱に僅かばかりの金銭をカンパし、さらに佐藤さや氏に対して、「輪転機を持っているので、コンビニコピーよりコストが安いので、使ってもらって構わない。」という申し出もしたのであるが、その後寄付金の使途の説明も一切なく、輪転機についても全く何ら音沙汰もなかったのである。今回のオンラインシンポジューム大盛況の報告メール中にも、「たくさんのベースドネーション有難うございました。」の記載があり、これに目が行った瞬間、この人達がやっていることは、遠目には自然環境保護活動であるが、近目には、売名行為を兼ねた新手の詐欺、つまりSNSを駆使した美辞麗句で飾り立てた金銭取得という隠された動機があるのでは、という疑いが、私の中に兆した。村井真菜議員が発したもっともらしい美辞麗句にしても、大量消費と大量生産は、需要低迷により、コロナ以降はもやは不可能であり、実は、いかに人を欺いて自分が生き延びるかの、泥棒が跋扈する世知辛い世の中にとうの昔になっていて、コロナ禍は、単にそれを可視化かつ加速化しているだけかもしれないのである。私は、ずっと長らく、四万十町が税金を使って何をしているかを、独自調査してきた。特に理由はない、ただ調査せずにはいられなかったからである。調査手法は単純明快である。開示請求で公文書を入手し、読み込んで、担当者に口頭で質問するのである。そうしている当然、職員とのやり取り発生する。彼らの生態を見分することになる。そこで、自分より若い世代になれなるほど彼らの生存条件が厳しくなっていることに、気付いたのである。人間の生育環境は、その人間の人格形成や言動に絶大な影響を与える。彼らは、ひたすら素直で従順で、役場という安全地帯から落っこちないように細心の注意を払って日々生息している。村井真菜議員もそのような世代に属するのだろう。彼女の、常にその場的、迎合的な言動がそれを如実に物語っているし、議会内の実力者を前にした際には、それが隠しようもなく露見してる。議員報酬引き上げ時の四万十町議会に居た私は、彼らの泥棒振りの手口に心底辟易し、ここに所属する議員であることに嫌気が差した。ここで一人で戦っても彼らによる言論封鎖にあうだけであるし、議会での議論の進展もなければ、自分の議員としてのやりがいも見いだせない、と結論付けたのである。この判断は間違ってなかった。彼らは極めて不勉強で無知ではあるが、年齢相応に老獪で、言論の自由よりなにより、「既得権を侵されない」ことを本能的に優先し、その優先順位に何らの疑念もないのである。前述の教育民生委員会には、後半部分で企画課が説明に現れた。家地川小学校を廃校にして一階部分は集落活動センター(地域コンビニが入る)で、2階部分は町の直営の外国人労働者を主な顧客とする簡易宿泊所(全8室)にするという事業計画(3月に予算を議会が認めなかったために差し戻し状態となっていた)の説明に来たのである。この時に企画課が持ち込んだ資料は、松葉川温とウエル花夢そして町外類似施設(宿泊施設)A、Bの過去3年間分の宿泊者数及び収支の一覧表であった。単にそれだけである。それにもかかわらず資料には「部外秘、取り扱い注意」と記載されていた。従って、説明終了後には回収されたのである。要は、説明側が、この単純な一欄票を「議会の理解を得、議決を得るには必要な資料であるが、表に出るとまずい資料である」と捉えているのであり、これに議員側が誰も疑問を挟まない。挟まないどころか、酒井祥成委員などは、副委委員長であり、録音機の操作を担当している村井真菜委員に、録音を止める(議事録に残さない)ように指示した上で、こう発言したのである。

酒井祥成発言:松葉川温泉は収益事業、ウエル花夢は交流人口拡大目的事業であると、この前の全員協議会である議員が発言した。そこのところは執行部としてどうなのか、そこが確認できんで、困っちょうがよ。また、松葉川温泉は、道の駅の黒字を1500万円程度松葉川温泉の赤字補填に入れていると耳にしている。

上記の発言は、オフレコであり、議事録に残らない。だから傍聴席でこれを聞いた私が、ここに書いている。これは本来議事録に残すべき内容であるからである。ところが村井真菜議員はこれに全く逆らわないで、録音機を躊躇なく止めた。全くの無抵抗状態であった。これは、既得権を造成し(典型的なのが議員報酬引き上げ)、保持することに成功している所属組織の功労者、酒井祥成に逆らわないことが安全策であると本能的に察知しているからであり、役場職員の若手が漏れず、「課長は会議に出席していらっしゃるので。」とかの上司に迎合した出鱈目な日本語を頻発することと同様な動機を持つしぐさなのであると私は解釈している。逆らえば、ここに居ずらくなり、干からびるという恐怖心が根底にあるのが見て取れる。日本は失われた20年を通じて貧しくなり、少子高齢化と相まって、このような若い世代を作り上げてしまったのだろう。人間の世界が動物界と同じく根本は弱肉強食であることが、このような世界では、より露わになってしまう。その意味で、「衣食足りて礼節を知る」というのは本当の事である。議員報酬引き上げ時にも老獪な既得権者(議会と執行部、つまり要望を出した側と受け取った側)が異口同音に、「若者が議に専念できる給与、生活給の確保」と申し立てたことを忘れてはいけない。彼ら若者は、どこに所属していようと共通して、今や自己の生存保障である自分の俸禄のありかに過敏であるがゆえに、封土を賜る領主に対して従順にならざるを得ないのである、村井真菜議員や佐藤さや氏は、多分にネット上の情報操作によって「四万十ふるさとの自然を守る会」が造成しようと目論んでいる利益のための「おとり」に近い存在である。この場の黒子は議会同様、老獪な市川弁護士、黒田氏、高橋正徳氏等であろう。一般的に人は、本音で共感、感動しなければ寄付などしない。「子供の健やかな成長をひたすら願う四万十ふるさとの自然を守ろうとしている若い純粋な母親たちと全国的に名の知れた最後の清流四万十川」がおとりである。しかし、寄付金等の金銭管理が高橋正徳氏に一任されており、その使途は、寄付者はおろか、「子供の健やかな成長をひたすら願う四万十ふるさとの自然を守ろうとしている若い純粋な母親たち」にも知らされていないという情報を、間接的だが関係者経由で得られる環境にない、多くのネットユーザーには、まんまと訴求力を発揮しているようである。

かく言う私も昨年9月の勉強会に参加し、この市川守弘弁護士にも質問した挙句、当初は、社会的使命感の強い弁護士と、好印象を持っていた。

私:環境影響評価図書に著作権が設定できること自体でこの法律がザル法だと感じたんですが。弁護士は、この点に、どのような見解をお持ちですか。

市川弁護士:環境影響評価法は、作らせるための法律であり、これで止めることはできません。その意味で、おっしゃる通りだと思います。でも情報公開で開示請求すれば出てきますよ。

以上が、その時のやり取りである。けれどもごく最近、著作権法42条の2項で、

(情報公開等における開示のための利用)

情報公開法等の規定に著作物を公衆に提供又は提示する必要がある場合には情報公開法により情報を必要な限度で利用することができる。

と規定されていることを知り、この弁護氏回答の怪しさを感じたのである。風力発電関係の裁判の住民側訴訟代理人愛媛県愛南町で、町長を相手取った保安林解除の差し止め訴訟の住民側訴訟代理人である弁護士が、上記規定に疎いはずは、まずない。それであれば、「開示請求すれば、出してくる。」ではなく、「出すしかない。」と説明して、開示請求を促すのが自然である。市川弁護士はそれをしなかった。この辺りが環境派を標榜し住民運動を飯のタネにしている感があるのである。つまり、真剣に風車を止めようとはしていない。更に、彼らの傘下に居る村井真菜議員は、私心のない熱心な反対運動を地元で展開している知人夫妻に対して、方法書(オリックス社作成の環境影響評価図書)の中の再重要な地図(風車の設置場所から民家や公共施設までの等距離線を結んだ地図で、夫妻がface bookに投稿している)を「オンラインシンポジューム」に使わせてもらえないか、と依頼してきたというのである。「四万十町に開示請求すれば、四万十町は出すしかなくなる。」となぜ市川弁護士も高橋正徳氏も村井真菜議員に教えないのだろう。実に怪訝な話である。方法書は、四万十町企画課に、オリックス社から送付され、縦覧期間後もずっと公文書として保管されている。企画課はそれを自由に閲覧し、議会答弁に及んでいる。ところが、質問する側が方法書を見れない、なん道理が通らないことはないではないか。知人夫妻は、過去に、方法書を図書館に置くことを企画課長に要請している。その時「オリックスが出してくれるなと言っている。公表できるものはない。」まで課長は言っている。彼はオリックス社の財力とそれにまつわる権力に怖れをなしているだけで、法律さえ読み込めていない。そしてこの風発電事業に射幸心をそばだてている町内事業者からの無形の圧力を恐れているのである。知力と胆力の双方に著しく欠けてはいないか。だらしないこと許容範囲をとうに超えている。企画課の対応を今一度振り返る。

企画課長山本康夫:オリックスが出してくれるなと言っている。公表できるものはない。

四万十川対作室長、現四万十川振興室長の中井室長:開示請求があればオリックス社に意向を確認した上で、開示する。

環境省著作権法42条の2項は、開示請求があれば、事業者見解に関わらず、出すという意味である。送付された時点で公文書である。

そもそもオリックス社が、方法書を関係業績機関に送付しているのは、非開示を前提にした任意提供ではなく、法令(環境影響評価法)に基づくものであることは明らかであり、公文書の本旨からして、住民への公表は、その性質上著作権の権利保護の対象外であることも明らかである。著作権が帰属するオリックス社の権利の第三者による侵害には該当しない。関係行政機関とその住民は、環境影響評価の対象者であり、第三者ではなく当事者である、と言い切ればいいのである。そして、公表や開示請求に当たっての四万十町企画課の判断の適否を監視するのが、本来の議会の責務である。議員報酬引き上げの名目であった、「若い世代が議員活動に専念できる生活給」の支給結果が、たった一人の若い世代の村井真菜議員にどのように作用しているかを、議会側も執行部側もこの際、直視し、検証すべきである。単なる待遇改善、条件整備では、議員の質は決して担保できないという事の証左となるはずである。

村井真菜議員と岩井優ノ介議員が紹介議員となっている大藤風力発電事業計画の中止を求める請願が付託されている総務常任員会(5/27)での議員の発言を最後に紹介する。

下元昇:オリックス社を呼んで町民全体に呼び掛けて説明会を再度開催してもらいたいと執行部には申し入れているが、オリックス社からの返事はない。コロナで今は集まれないという事情はある。

注)過去のオリックス社から議会に説明したいという申し出には、議会も行政も唯々諾々と応じている(管理職出席までも庁内放送で呼びかけた)。ところが、こちらから呼びかけてもオリックス社は返事をしない。実に不実であり、住民を軽んじていることが一目瞭然である。

古谷幹雄:四万十市議会の意向を確認したい。津野町は風車だけ見て、実務者(役場職員)の話を聞いていない。この2点をクリアして6月定例会で結論を出したい。

注:四万十市議会の意向確認をどうやってするのか。内輪の情報交換か。四万十市側には反対運動はない。議会質問も殆どない(議会事務局に確認)。「四万十ふるさとの自然を守る会」は四万十市議会側には請願を出していない、ここも非常に奇怪である。反対運動が、自己目的化(売名行為兼金銭取得行為)しているという疑いが増す所以である。

今回の結論として、議会の皆さん、執行部の皆さん、そこまで、長いものに巻かれっぱなしでは、巨大風車群によって健康を損ね、土砂災害に見舞われ、四万十の原風景と水産資源を失い、最終的には、我が身を滅ぼすことになりかねないんじゃないでしょうか。老婆心ながら。

 

西原真衣