呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(101)

     「文化的施設」意見交換会

  先月4月26日に文化的施設意見交換会が実現した。出席者は、私西原真衣、日野地の武吉廣和、貴子陶芸家夫妻、図書館協議委員金子仁氏、まちづくり応援団副団長石坂俊介、元町職員岸本英昭氏である。まちづくり応援団団長岩元寺住職窪博正氏にも声をかけていたのだが、都合がつかなく出席できないと連絡を受けていた。意見交換会の相手方は、大本学政策監兼文化的施設整備準備室統括官、大河原信子室長、西尾準備室主幹の3名であった。大本政策監から「録音していいか」と打診を受けていたのだが、その場で出席者全員が快諾し、こちらも私が持参しICレコーダーの録音機を示して、双方録音OK状態で、実に和やかに意見交換会が開始された。この辺が四万十町議会と大違いである。四万十町議会は中身もないくせに勿体ぶって、傍聴規則で「録音機の持ち込み禁止」などと明記している上に、議員報酬を一気に45000円も引き上げた挙句、委員会議事録の公開さえしようとしない酷い議会なのである。猿並みの頭である。意見交換会時間3:30~4:30の僅か1時間であったので、出席全員に満遍なく発言してもらうために、意見交換会を企画した私が、その流れでファシリテーターを務めることになった。この企画の目的は、岡山県津山市立図書館長を退職したばかりで、文化的施設整備推進準備室長に抜擢された大河原信子氏に対して、彼女の「図書館」を聞き出すことであった。まず私が口火を切った。

西原:今出席している武吉さんと私は、過去の同時期に、「図書館に個人の物は置かない」と告げられて、私の方は「西原真衣議会報告」、武吉さんは「武吉廣和陶芸展」の自作チラシを図書館パンフレットコーナーに置けないと、図書館側から宣告されたという共通の体験を持ちました。あれから5年も経過してはいますが、「図書館に個人の物は置かない」は、公立の図書館としてどうなのか、そこは非常に重要な部分だと捉えていますので、大河原室長の図書館観からすれば、その点どうなのかとまず伺いたいのですが。因みに現館長(生涯学習課林瑞穂氏)の見解は、「主観と憶測が含まれているので図書館に置くのは不適切」といいうことらしいのですが。

注釈:最近制作し、周辺に若干配布した自作チラシ「文化的施設についてのお知らせ」を事前に大河原信子氏に手渡してていた。

大河原信子室長:今の立場は室長であって館長ではないので見解を述べる立場ではないと考えます。

注釈:いかにも事前の打ち合わせ通りと言った答弁である。図書館長として経歴を買われて室長に抜擢されている以上、答えることに特段無理はない。単に「個人的チラシ」という視点で、彼女の図書館観を聞いているのである。組織的対応を志向した、萎縮と自粛が見て取れる。端からいかにも弱弱しい人物である。順応を持って旨とするのであれわざわざ外部登用する必要性もない。いかにも図書館コンサルタント岡本真の就斡斡旋に乗りそうな人物である。主体性が乏しい。この年代(60歳前後)の女性公務員にありがちなタイプである。日本の役所にはジェンダー平等の気風はない。採用から定年まで図書館にじっと大人しく粛々と住み着いてきた人物像が、じわじわと浮かび上がってきた。

大河原信子室長:配布物としては、スペースの問題がまずあると考えます。実際のスペースを確認できていないので、これ以上は答えられません。歴史的資料としての保存価値はあると考えます。

西原:非常に官僚的な答弁であると感じました。歴史的資料という解釈ですが、文化的施設建設は、現在進行形の政策課題です。自分達は住民目線で町の政策課題についての批判点を提示しているのであって、ごく健全な言論活動だと捉えています。町の公式見解を広報したものだけが、図書館にあるというのはむしろ不自然ではないでしょうか。本来の図書館資料である、書籍、著作物と同様に、多様な意見に接する機会を提するのが図書館の使命かと考えますが。

大河原信子室長:応答なし

武吉廣和氏:大河原さんの座右の書について聞きたい。

大河原信子室長:図書館学を学んでいた若い時には、「市民のための図書館」ということが盛んに言われていましたので、私もその方面の本を読んできました。

武吉廣和氏::高知市民図書館の渡辺進館長(注釈「移動図書館サービス」の草分け的存在で、日本の「市民のための図書館」運動史上著名な人物)について知っているか、知っているとすれば、どう評価するか。

大河原信子室長:応答なし

大本政策監:大河原は4月に来たばかりで、まだ十二分に四万十町図書館行政のこれまでについて把握していませんので、そこのとこはご了承いただきたい。

注釈:完璧な助け舟である。けれどもこの大河原氏の唐突な登用についての説明は、非常に貧弱なものであった。岡山県津山市立図書館を定年退職した人物であり、津山市内にある美坂大学等々との連携に実績がある」というものである。「文化的施設についてのお知らせ」にも書いたが、「今まで常駐の図書館長(司書資格保有者)さえ配置しようとしなかった町がいきなり、岡山県津山市立図書館長を外部から登用したのである。そのようなことは一言も基本構想にも基本計画にも書かれていない。検討委員会の議事録にも書かれていない。実に、一言で言えば、「町民不在の政策立案過程」なのである。図書館コンサルタント岡本真氏が裏で暗躍していることは間違いないだろうか、これでは町民は蚊帳の外である。誰が考えても、この様なやり方はおかし過ぎるのだ。ここで壁の時計に目をやれば、残り30分を切っている。そこで、慌てて、まだ発言していない石坂氏と金子氏に発言を促した。

石坂氏:「古書街道」をやっているのは、ただひたすら町をよくしたいという思いでやっている。今日は、批判的な意見に終始している印象を持った、建設的でない。

注釈:「古書街道」というのは高知県商工労働部経営支援課の補助事業で、窪川地区の市街地の空き家を利用した市街地活性化を目的とする補助事業ことである。具体的には商店街の空き店舗で寄贈本による「貸本屋」(インターネット販売も含む)を展開している。この事業の補助事業者が「しまんと街づくり応援団」で実行委員長が岩本寺住職である。石坂氏の「建設的でない」発言の口調は強いものではあったが、石坂氏は住民票を東京に残している移住者でもあり、この町の今までの図書館行政に通じている人物ではないので、いきなりこのような場面に遭遇して「建設的でない」という印象を持ったのでではないかと想像する。

金子仁氏:図書館は、多様な意見を尊重すべしという事には賛同する。図書館協議会の場でも、事務局の説明に「頼りない」という印象はずっとあった。だが批判に終始せず、建設的であることは重要だと自分も思う。だからこそ、せっかく四万十町に来てくれた大河原さんには、今後も頑張ってもらいたい。

注釈:金子氏の温厚さが如何なく発揮されている発言内容である。この「頼りなさ」という表現が意味するところは、図書館協議会の席で、図書館員から事業報告等の説明を受けても、「論理構成」が全く見えないということだろうと推測する。町政塾「じゅうく」の事務局の町職員に塾運営ノウハウがないのと同様、図書館員にも図書館運営ノウハウがないのである。少なくともそれを体系的に理解していない。だから、事業報告がどのようなものになるかは、凡そ想像がつく。私のよく知る素の長年の実態体験が、「今更なんで12億円で図書館なのだろうか」という主張の源になっている。それにしても今回の文化的施設推進準備室メンバー3名プラス生涯学習課林課長で、四万十町議会全常任委員会全てを回った際、私は、総務常任委員会を傍聴したが、委員から殆ど質疑らしきものが出なかったことは、前回書いた。今回の意見交換会の方が遥かにましである。少なくとも相手が答えに窮するような質疑が出ているではないか。本物の関心事であれば必然的にこうなる、が、総務常任委員である村井真菜議員や岩井優の介議員は、過去に一般質問で文化的施設を取り上げてきたのじゃなかったのだろうか。今更ながら思う事は、一般質問とは作文発表会ではないのである。年に4回学芸会で作文発表をやって月に25万円の給料を取れるほど 世の中甘くないはずであるが、なぜかそれが成り立っていることに忸怩たる思いが込み上げてくる。民主主義とはそれほど安易で怯懦なものだったんだろうか。ミャンマーや香港では若者が「民主主義」を求めて命がけで抗議活動に参加している。方や日本の片隅のこの地では、議会という場でさえ若者が、長いものに巻かれて安泰を得ようと、唯々諾々と年配者に従っているのである。「少子高齢化」の原因でもあり結果でもあるように見えるこの光景ぐらい、うら寂しい気持にさせるものはない。中尾町長が強弁する「子供の未来」のための文化的施設なんて、よくそんな破廉恥なことが言えたものだと思う。「若者が議員報酬だけで生活でき、子育てができる議員報酬を」と議員報酬を一気に引き上げた四万十町議会にそっくりな、老獪な高齢者男性がしぶとく居座り続けているであろう日本の津々浦々の「地方議会」とは、生存欲(必ずと言っていいほど「色欲」とリンクしている、雄の宿命か)だけが、老いてますます盛んになる「痴呆議会」でもあり、醜悪にして無能な、今の日本の政治の縮図である、との思いを一層強くした今回の意見交換会ではあった。「大河原信子室長頑張れ」とはさすがに私自身は思わないが、文化的施設を切り口に、四万十町の教育文化行政全般への質疑活動は継続したい。意見交換会第2弾(6月以降に予定)への参加者を広く募ります。

西原真衣