呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(46)

  昨日は「文化的施設と育つ会」主催の「ARCさんを囲んでの」文化施設懇談会」に出た。ARgさんとは一体何か。Academic Resourece  Guideさんである。実に大仰なお名前である。私としてはこの機会にAcademic Resourece Guideさんに是非とも聞きたいことがあった。それはこの町のLibrary Resourceをどう探知、評価,位置付けるかという事であった。私がここで言及しているLibrary Resourceとは、公立図書館以外の教科書センター議会図書室の事である。教科書センターは、高知県が県内6か所に設置する文部科学省教科書検定に合格した図書(小、中、高校)の常設展示コーナーの事である。議会図書室とは、地方自治法102条に基づいて、議会に設置を義務付けられている、議会議員の調査研究に資する資料を取り揃えた図書館の事である。これは一般利用も可能である。この二つの専門図書館は、公立図書館と同様に公費で設置、運営されている図書館であり、一般住民に殆ど知られていない、Library Resourceである。これに対しては、ARDさんには、特にコメントがなかったところを見れば、悉く知識を見せびらかすのが彼らの常態なので、どうも知らなかった可能性が高い。行政の生き血を吸う稼業の割には、随分と勉強不足である。なめられたものである。行政よ怒れ。まあ無理だろう。そのような矜持があれば、そもそもこのようなコンサルは雇わない。ARGの代表岡本真氏は、何でも全国4000館の図書館中、既に2000館を視察したらしく、一つの自治体当たり数年かけて、図書館、美術館、郷土資料館等の複合施設の立ち上げの総合プロデュースを手掛けている自治体職員にそのような意欲や時間やノウハウ(力量)がないので、やむなくコンサルタントに委託せざるを得ない。」というのは一見正論に聞こえるが、本当にそうだろうか。それ以外の可能性はないのだろうか。熟考の余地はありそうである。そもそも外部の知見の導入自体を否定する気にはなれないが、どんなに秀逸、有用な知見もそれを理解、解釈、運用するのは、結局自治体職員なのである。もっと言えば、知見に内在する秀逸さや有用さは、本質的に伝授不可能なものなのである。それを評価導入できるぐらいであったら、それは既に導入側の自治体職員側に内在しているので、コンサルはその時点で必要ではなくなる。その意味では、コンサルタントとは、建築、河川、土木等の工学的な特定の分野を除く、図書館、美術館、人材育成、起業支援、教養教育分野等の人文系においては、自治体職員の人材資源の惨憺たる枯渇状況に寄生する、時代のアバ花のような存在であるとしか、私には思えないのである。

 実際の所、自治体職員に見切りをつけて、古民家カフェ半平指定管理をプロポーザルによって勝ち取った、NPOの代表を務める元四万十町職員は、今や地元コンサルタントとして商工会の起業支援の単独事業を受託するまでに成長したらしい。が、私は、ここにも、事業委託する側の四万十町商工会における、事務局長がまず、恐らく現職議員で商工会会長の武田秀義の斡旋が疑われる、商工観光課課長歴を持つ役場退職者宮地正人であり、さらに、経営指導員と起業支援員の給料の原資が、高知県商工政策課からの補助金4500万円と四万十町賑わい創出課からの補助金1600万円であることが、この地元コンサルタントとなった元役場職員が設立したNPOの町や商工会に事業受注状況に大きく影響していると推測している。更にこのNPOが商工会から受託している事業の事業実態をつぶさに観察してすれば、一件しかないアンテナショップの管理委託料が月に18万円であったり、またそもそも商工会が直に雇用している起業支援員という職種がありながら。起業支援をNPOに再委託しているという根本的な矛盾も見えてくる。

さて、ARGの岡本氏も一朝一夕で自治体事業の受託に漕ぎつけた訳ではないだろう。なんせ先述のNPOと違って全国レースであるので、並み居る競争相手を常に出し抜かなくてはならないのである。図書館に特化したコンサルタントは今までいなかったので占有状態が続いているもかもしれない。ニッチな分野を嗅覚で嗅ぎつけたのだろう。岡本氏は総務省に地域情報化アドバイザーとして登録、自治体から派遣要請があれば、3日間は総務省費用負担で自治体に赴くことができる仕組みである。そこで、取り合えずアドバイザーを呼んでみた教育委員会職員は、岡本氏の自信たっぷりな振舞いとその学識に救世主を見た思いで、ついついそそくさと委託契約を結んでしまったのである。なんだか結婚詐欺に似ていると思うのは私だけであろうか。以下がその契約書である。

 

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これを見れば、自治体職員の人文系素養の枯渇状況こそが、人文系コンサルタントへのニーズを生みだしていることが如実に分かる。岡本氏は、ヤフーで知恵袋を開発した経歴を持つ。今や人文系とは、IOTや5G抜きには語れない時代が到来しているのだろう。IOTや5Gが包摂されていなければ, Academic(学術的)なResource (資源)をGuidance(案内)することなどできないのだ。ところで「ヤフ―知恵袋」は、質問を入力すれば、アルゴリズムによってたちどころにベストアンサーが最上位に表示されることは誰でも知っている。私とて使ったことはある。けれどもベストアンサーを選出するアルゴリズムとは一体どのようなものなのだろう。質問とアンサーのビッグデータから質問類型とアンサー類型を含まれている語彙の組み合わせの(索引機能)から出現確率計算するアプリケーションかと、今考えてみたが、これは新井素子さんが書いた「教科書が読めない子供達」の中に登場する東大の入試試験に合格したロボット「東大君」のアルゴリズムからの類推である。実に岡本氏の座談会における応答ぶりもこれに似ていると言えば似ていた。そりゃそうだ。なんせ開発者なんだから。

 例えば、ある参加者が「図書館と美術館の融合施設全国で何館ぐらいある。」と質問した。「10館です」と岡本氏は即答した。「同じくこの町の文化財で最も価値が高いと思うものは。」これも即答した上で、「逆にここにこんな形であっていいのかと思った。」と付け加えた。即答内容は、私が、文化財に実に疎いせいで聞き取れなかった。参加者の図書館職員が職員同士で目くばせしながら、実にためらいがちに切り出した。「町とパートーナーシップで主体的に図書館運営に関わる住民組織であるサポーターと自分たちは今後どのように関わればいいのか教えて欲しい。」岡本氏は余裕綽々で答えた。「いい意味での緊張関関係を保ちつつサポーターから出てくる要望、提案の無理難題に挑戦していくことで、図書館職員としての成長が期待できる。」が、岡本氏は、同じ参加者である私の質問には以下のように応答した。

質問1:4月に立ち上がる「サービス計画検討委員会」の委員に現場図書館職員が委員として委嘱され、図書館業務における現場で培った知見の披歴を期待されていると聞くが、図書館職員とは生涯学習課所属の町職員(嘱託職員)である。審議会委員の位置付けは、一般住民であるので、委員に委嘱された図書館職員側が非常に解釈に苦しむことになるのではないか。

岡本氏:単年度契約でコンサルタント業務を請け負っている。来年度の事は了知していない。

注釈:議会における執行部答弁に似ている。答えられないを装った答えない答弁である。

質問2:この町のLibrary Resourece(図書館資源)である教科書センター四万十町議会図書室についてのAcademicResourece Giudeさんの見解を聞きたい。

岡本氏:無回答

注釈:見解についいては無回答が通用すると思っている。どうすればいいか以上の要請は想定外、業務外であるからである。それでいて、無理難題への応答が人材育成に繋がると蘊蓄だけは目いっぱい垂れて、「できる男」を印象付けている。所詮図書館とは「女、子供の世界」なので「できる男」が効を奏してきたといういう成功体験があるのだろう。(参照:質問3への回答)

質問3:教育委員会を初め、公務員が少な過ぎ多忙であると繰り返し発言しているが、その根拠は。

岡本氏:東日本大震災時にボランテイア活動経験がある。災害時に緊急出動を要請される公務員数の少なさを実感した。南海トラフにはとても対応できず町が麻痺するのが目に見えている。

災害時(非常事態対応のために常勤世紀公務員数を確保すべしという論法である。百年に一度の水害想定の下に長年建設省砂防ダムを造り続けて来たこ時の論法に似ている。

 岡本氏は行政コンサルタントになる当たって、行政応答アルゴリズムをほぼ完璧に習得している。さすがヤフー知恵袋の開発者だけのことはある。彼に取って、我々を相手にしている限り、目新しい質問など存在しないのである。「何でも知っている男、頼られたら、いつでも相談に乗ってくれ、そうすればいいのかを伝授してくれる男」が、役場内に存在しない以上は、ついつい岡本さんを頼ってしまう周辺の女性たちを責めるわけにもいかないのだろうけれども、私は、「文化施設と育つ会」発足の情報を得た時から、今まで、生涯学習課管理職男性たちによる図書館現場職員(副館長の森山氏以外は全員女性)の知見の収集や活用の意図など微塵も感知できないで来た私としては、「何を今さらコンサルタントの飯の種にされっぱなしでこんなこと持ち出して」としか正直思えなかったのである。「現場の事は現場に聞け」は、言い古されてきた格言のようなものであるが、ここ四万十町では、伝統的に、これができていない。アンテナショップ「四万十の蔵」の二の舞であるで。現場の意欲的な職員が何ら決定権限もなく次第に疲弊していく傍らで、正規職員はとことん資質、能力、責任を問われることなく守られ続け無傷のままである。 

 この文化施設の基本構想にも、「図書館に関わる人として図書館職員、議員、行政職員、一般町民」と記載されていたのを見て、生涯学習課副課長の味元伸二郎氏に、「これではまるで、図書館職員が行政職員では無いみたいじゃないか。」と指摘したところ、「あ、いけない。」とばかりに大慌てで書き直したという出来事があった。その味元副課長のことを「文化財に造詣が深い、多忙であり、その中で最善の仕事をしている。」と褒めちぎったのが、コンサルの岡本氏である。現場と図書館職員には住民組織と共に切磋琢磨してスキルを向上さすことを勧奨していながら、業務委託先を選ぶ権限を持つ担当課管理職だけは必ずよいしょするのである。実に露骨である。それにしても議員を図書館の利用者にカウントするくらいなら、図書館構想における議会図書室の位置付けについてまずは答えろと、私は思う。無理に答えさせれば委託業務外であると言いそうであるが、ARCの一行が座談会の会場に登場した時には、既に生涯学習課課長林瑞穂氏は退席していた。私は、生涯学習課管理職の林氏と味元氏の両者には、基本構想策定の時点で、「議会図書室と教科書センターを視座にれるべきではないか。」と進言していた。だから、コンサルが業務外と言うならば、業務の仕様決定の責任は彼らにある。林課長が同席していれば、そこを詰めれたが、正規職員が職位が上がり管理職となるにつれ、危険を察知し、逃げるタイミングの見計らい方だけはスキルアップの一途を辿るのであろう。役所という生態系の特質がここに出ている。役人とは、いざと成ったら逃げる方向に適応、進化している種族なのである。そのスキルを職場で日々見よう見まねで習得しているのである。だから岡本さん、災害時に彼らは逃げるに決まってるじゃないですか。本当は分かってるんでしょう。全く人が悪いんだから。嫌あね。

 

四万十町議会議員  西原真衣