呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(68)

 

         複合文化施設は必要か

 複合文化施設計画が進んでいる。総事業費16億円で、建物、内装、備品が賄われると言う事らしい。ところが、巷では

「そんなものそんな金をかけて、なんで今頃いるんだ」だという声が大きいと聞く。じつに尤もな意見だと思う。役場玄関先にも、

「図書館入らない、利用者少ない、不要不急である、コロナ禍で困窮している零細事業者に金を回せ。」

役場の退職者ポストが増えるだけ、図書館入らない。」意見が掲示されている。何でもと図書館建設反対署名まで出回り始めているという。実に共感できる。町民多くの本音だろう。人口減、景気停滞、おまけのコロナである、「なんで今頃、16億もかけて」は大半の町民の正常な反応であろう。

けれども、一国主である首長がやると言えば、鶴の一声でできてしまうとところが恐ろしい。そうやって高瀬満伸町長時にも総事業費34億円の新庁舎が完成したではないか。それも線路を跨いでまで駅前に。これで駅前は、周辺飲食店が潤い、逆に旧庁舎周辺の飲食店は廃れてしまった。庁内食堂もなくなった。役場は町中で、若者が最も蝟集する所であり、彼らの消費力が周辺商業に多大な影響力があるのだ。(正規職員350人、非正規職員350人の大所帯である。

さて人口減と高齢化とコロナ禍の三重苦の最中どうやって四万十町は16億円を調達できるのか。これこそ謎ではないだろうか。

町議会は、当然町民の反応に敏感である。町議会と執行部の意見交換会では、町民の見方、田辺哲夫議員が早速吠え始めた。要旨は以下である。

田辺哲夫議員発現:財源が合併特例債であり、借金である。社会資本整備交付金等の国庫補助を十二分に検討した挙句の事か。町の持ち出しを最小限にすると言う姿勢はあるのか。そもそも図書館の利用動実態がどうで、今どうして必要なのかの説明が一切ない。今日こそ町長の思いを述べよ。

ファクトチェックすれば、図書館、美術館利用者動向は、年3回の図書館議会会で事業報告されている。複合文化施設基本構想にもH28年度の利用者動向の記載はあった。田辺議員がデータを押さえてないだけである。「万全の情報提供をしない執行部が悪い」という主張を全面に出している。この人物には、「情報を自ら探知していない」自己の非を問うという姿勢は端からない。ただ、「必要性の説明がない」部分は同感である。

生涯学習課課長が、財源構成と中期、長期的な財政見通しを説明した。

16億円は、合併特例債を起債する予定です。充当率が95%なので、借りられるのは、15億2千万円です。残りは町の一般財源から充当します。償還期間が25年間です。利率は、0.546%で1~5年目は利子負担のみで年間830万円、残りの期間は、元利均等払いで、年間一般財源からの供出額は平均で年額8000万円相当になる。15億2千万円中交付税措置額が、70%の1153994千円となり、町の負担額は総額で、574569千円となります。

これを聞いた水間淳一議員がここぞとばかりに挙手した。発言のチャンスが到来したと踏んだのだ。

水間淳一議員:今のように数字を並べ立てられても一遍には頭に入らない。他の人もそうだと思う。文章にして配布してもらいたい。

ファクトチェックすれば、「口頭説明を文章化しろ」と平気で言ってのけるこの人物は、毒にも薬にもならないことを勿体ぶって言う癖がある。周りの同僚議員のできの悪さを熟知している学級委員長かなんかのつもりなのであろうか。いずれにしても、行政側の口頭説明時の数字のメモ取りも、咄嗟の理解のためには、常日ごろから財政用語や制度にある程度通じていることも議員であれば当然要請される水準の事である。が、水間議員にはその自覚が無いようである。地元で「昼行燈」と暗に揶揄されているのも頷ける。

さて、田辺議員に詰め寄られた中尾博憲町長は、困惑の表情を隠せないまま、

中尾博憲町長:「これから図書館で何ができるかを丁寧に町民に説明していきたい。例えば、青少年育成、生涯学習谷干城、森体験・・・・(シドロモドロ)」咄嗟に思いつく単語はこれだけだったようである。それにしても「森体験」とは何だろうか、おまけに「今色々調べている。」と、言うではないか。まさかの図書館でバーチャル森体験、この田舎で何を血迷っているのだろう。四万十町のキャッチフレースは、「山、川、海、人が元気です」じゃなかったのか。結局この町長は、図書館がそもそも何をするところかの基本を理解していないのである。谷干城とは、明治維新西郷隆盛率いる西南戦争を鎮圧した官軍の軍師であり、その功労で、明治政府に登用された地元出身者である。要するに機を見るに敏で、勝ち馬に乗り、明治政府での要職にありつくことに成功した人物である。これをそのまま立志伝中の人物、「郷土の偉人」と言ってはばからない無教養が、官製観光キャンペーン「維新博の時は全面展開されていて、かなり気恥ずかしかったことを覚えている。

全体的に発言も不活発であり、いささか傍聴席でうんざりしていると、古谷幹夫議員が挙手した。

古谷幹雄議員:数字(総事業費16億円)が独り歩きをしている。周知に欠けていることが原因ではないか。基本構想、基本計画、基本設計、実施設計と進み、2021年工事着工、2024年に開館予定という流れでやって来たと聞いている。。利用者数のデータは平成28分が基本構想中に記載されている。が、コロナで遅れていると聞く。性質上急ぐ事業ではない。この際、町民への周知をやり直して、町民理解を得る方向付けをすべきじゃないか。

 ファクトチェックすれば、基本構想策定過程の検討委員会で、平成28年度時点の図書館美術館に関する基礎的なデータ(蔵書数、所蔵絵画点数、利用者数、主たる事業活動及び参加者数等)が示されたのは事実である。だがそれだけである。コンサルタント「アカデミックリソースガイド」(名前からして実に破廉恥である。自治体をかもろうという本性が出ている)におんぶにだっこで設計業者の選定公開プロポーザルまでやってのけた生涯学習課は、基本構想、基本計画を自力で策定していない。コンサルタント作による人を馬鹿にした出来の悪い紙芝居のような文章が広報誌にぶち抜き複数ページ掲載されているのを見た町民が怪訝に思うのは当然である。だからこそ反対意見が投函されたり、反対署名が開始されたのだ。ところがまだ、生涯学習課はこのことを理解していない。これからまじにケーブルテレビで広報したり住民説明会を開催したりして、忍耐強く「町民に理解してもらう」作業を継続するつもりでいるらしい。

初めから誰も複合文化施設の新たなる建設を所望していない。これが現実である。一つだけ思い当たるのは、私が議員であった時、議会の意自由討論で、岩井優ノ介議員、下元真之議員、私の3名が引き続いて図書館について発言した。それを聞いた中尾博憲町長のいつものべんちゃら迎合癖が出たのである。「私も同じ意見です。今の図書館は狭い、場所が悪い、私の任期中に新しい図書館を作りたい。」これを本会議で発言したために、生涯学習課が町長命令で動き出したのである。ここで仇になったのは、生涯学習課が歴代「図書館行政を担いながら図書館行行政の何たるかの知見を全く持ち合わせていない」という事であった。尤もこれは生涯学習課に限ったことではなく又四万十町に限った事でもない。高知県生涯学習課も大差ない。2018年に高知県立大学で6万冊の蔵書が焼却されるという事件が発生し、高知新聞はこれをシリーズで記事にした。記者は天野記者である。希少な郷土資料が6000冊相当も焼却されているらしい。この焼却理由の筆頭は「狭くて置く場所が無い」であった。「残すべき書籍がある」という判断さえあれば、所蔵スペースを拡充する或いは譲渡する、或いは移管するという判断に繋がっていくはずである。つまり大学図書館でさえ「残すべき本を峻別するだけの書籍に関する知見が無い人々によって運営されている」ということが明白になったのである。況や市町村が、ということに尽きるのではないだろうか。現に四万十町立図書館では、所蔵本の半数近くが、敷地内に増設されたプレハブ書庫に保管されている。書庫の内容が蔵書検索で検索できるようになったのはごく最近であり、前任の館長であった辻元明生涯学習課課長に対しては、当時私の方から書庫にある本の「紙の目録作成の必要性」を指摘しなくてはならなかったという経緯がある。館長不在の公立図書館を長年放置できた四万十町が、いきなり先進的な図書館を作ろうとしてもそれは実に戯けた話ではないだろうか。因みにコンサルタント「アカデミックリソースガイド」に町が今までに拠出した委託料を予算書から洗い出してみた。

平成30年度当初予算: 基本計画策定総合アドバイザー業務委託料   314万円

 9月補正:住民意識計形成支援業務委託料   73万6千円

12月補正:基本計画策定補完アドバイザー業務委託料    230万円

令和元年当初予算:設計業務(基本設計、実施設計)委託料  2583万7千円

注:この業務は委託先が建築設計事務所スターパイロットである

令和2年当初予算:基本計画策定総合アドバイザー業務委託料  1385万2千円

内訳1.ワークショップ5回開催 2. サービス計画策定支援業務 3.STEM教育教材開発支援業務  4.町民協力組織結成支援業務

上記以外にも検討委員会報酬が総額150万円相当拠出されている。

既に総額は、4736万5千円に上っている。我々の血税である。

行政の為すべきことは、図書館の現況に通じつつ課題を洗い出し、課題解決に向けて、具体的施策を企画立案、実行することに尽きる。そのための有効な判断材料は、

1.図書館の常駐職員からの聞き取りを真っ先に行う。

2、図書館利用者が意見箱に投函した意見、要望の集計表を丹念に読む

3、四万十町の暮らしについての町民アンケート(2000枚有雄無作為抽出)内の自由記帳欄の複合文化施設に関する意見を抽出する(アンケートの設問に複合文化施設は含まれていなかった)

4. 基本構想、基本計画に対するパブリックコメントの内容を吟味する

5、町民閲覧コーナーに掲示されている図書館に言及している意見を抽出する

6.大正、十和に設置された地域活性化協議会の議事録を洗い出す

所が、行政側は、基本設計と実施設計を委託する設計業者の公募型ポロポーザル応募要領に、参考資料として以下を提示している。

1.複合文化施設基本構想(生涯学習課)

2.複合文化施設基本計画(生涯学習課)

3、四万十町市街地再生基本計画(賑わい創出課)

4.    四万十町総合振興計画(企画課)

5、四万十町新しいまちづくり計画(企画課)

6、四万十町教育振興計画(学校教育課)

以上の図書を閲覧して部分的にはぎつぎした設計業者による新たなる7番目の「提案書」が生まれただけであり、「提案書」と利用者アンケート集計表を照合しても、利用者による具体的な要望内容である談話室やカフェの増設、蔵書の拡充、充実については全く言及されていない。このずれ方は一体何だろう。彼らは一体何をやっているのだろう。そして16億円の事業費である。結局コンサルタントではなく生涯学習課こそが、これらの計画書を網羅的に閲覧し、尚且つ町民意見を照合させつつ、複合文化施設建設の必要性をあるべき姿をまずは根本的に模索する必要があるのである。これが為されていない。この事業計画は、スタートラインに立ち返るべきである。町と議会の双方が、まずは忌憚ない町民意見を聴取する機会が必要である。そして町民不在の絵空事が結局着地点を見いだせないことに、町は気付くべきではないだろうか。昨年は本会議場を使って、人材育成事業の一環で、図書館をテーマに「子供議会」が開催された。子供たちは奮闘していた、が司会役がコンサルタント「アカデミックリソースガイド」であっために、町の人間(町、議会、町民の三者)の認識と意識の深化、変容を促さない(より知り、理解することのない)絵空事に再度収斂してしまったのである。コンサルタントとは本質的の行政の無為無策を商機とする寄生中的なファシリテーター(推進役)である。間抜けで無知で臆病な行政職員を顧客とした事業完遂地へのツアーガイドのようなものである。町民側からすれば、彼らに方向性を決められて良いのか。良い訳がない。所詮「自分で描けない絵は具現化しようがないのである。」町民に取っては実害至極である。行政職員が向き合うべきは、町民であってコンサルタントではない。「子供議会」閉会後の挨拶で、川上哲夫教育長による「旧庁舎跡を立地予定地とする新複合文化施設発言に対して「立地は決まっていない(議会が承認していない)」と釘を刺した下元昇議長には、議長としての公の場での言動に責任を取って、是非とも今年中に「複合文化施設はいるか」をテーマに本会議場で公聴会を開催し、町と議会が町民をリスペクトしていることを是非とも行動で示してもらいたいものである。

追記:この提言を教育民生委員会の委員に対してしようと連絡を取ろうとした。以下が応答である。

中尾康議員:そうね。反対署名があるとは耳にした。確かに町民側と乖離しているね。

( 態度はあくまで慇懃で紳士的であるが、議会内部の趨勢には決して逆らわない(自分から行動を起こさない、議会勢力の駒にはなる)ので、この返答は聞き流すしかない。甲斐がないとはこの事である。それでいて委員長をやりたいらしい。)

緒方正綱議員:反対署名の事は聞いた。今仕事中だから。(日曜日に生田組に出勤しているのだろうか? 見え透いた嘘ではないだろうか。実に現金で調子の良いだけの人物という印象。そのくせ陰で役場職員と文化施設立地について雑談等しているらしい。自分の情報収集と利益に繋がらないと見れば、一挙に態度が変容する。)

岩井優ノ介議員:反対書名の事は聞いた。:今運転中だから。

後日対面で「教育民生委員会として反対署名をどう受け取るか」と聞けば、「成り行きに任せる。」と答えた。(共産党はそろそのこの”万年スイッチ切れっぱなし寝言放言人物”の公認を再考すべきである。)

村井真菜議員:電話に出ない。(自分の発信には極めて熱心だが他者からの受診には不熱心である辺り(電話に出ない、応答してこないという定評がある)の一般社会人的常識の欠落)

 

西原真衣