呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(45)

 2月20日の9:30から四万十町議会教育民生員会が開催された。付議事件2が、複合文化施設となっていたので傍聴に出かけた。とにかく図書館のことは気になるのである。櫂は、林生涯学習課課長が、経過報告目的で招聘されていた(事前確認済み)。ところが、今回は、付議事件1で大いに引っかかってしまった。案件は、陳情審査であった。

陳情内容:サッカーの公式試合ができるような人口芝生の多目的総合グラウンド整備

人口減、特に少子化が進むこの町で今更、そのような施設整備が必要なのか理解に苦しむというのが私の率直な感想である。金上野総合グランドもあれば小、中、高校には運動場があり、小、中、高共、少子化による統合が視野にある時期にである。非現実的な要望というのが、私の個人的感想であった。ところが、驚いたことに、この陳情を受けた四万十町教育委員会生涯学習課は、昨年6月時点で、要望者2名と共に、中尾町長、生涯学習課社会教育担当職員で、徳島県吉野川市の上桜スポーツグラウンド視察に公費で同行していたのだ。この要望者に二人のうち一人は、木質バイオマス事業の川下業者(木質バイオマス燃料の需要者)である養鰻場経営者で、もう一人は、ごく最近年齢を理由に現役引退した年配のサッカー指導者であり、中尾町長の後援会長でもある人物である。つまり町の施策と長の選挙に関連した人物なのである。収賄斡旋疑惑(議員の地位を利用し町の人事に介入した)を持たれて、辞職勧告を受けたことのある私としては、実に看過し難い事象である。陳情、請願権は、憲法に明記された国民の権利である。陳情すること自体は全く問題ない。議会のHPには陳情請願の仕方が記載されている。原則何人でも、陳情、請願を議会に提出できる。陳情提出者の、氏名、住所、捺印が必要であり、一定の書式がある。町に対しても同様に提出できる。原則文書で、提出者名は明らかにする必要がある。つまり、匿名で出所不詳の物は受理されないという事である。これは考えてみれば、当然のことである。行政や議会という公的な機関に対して、ある要望を出すのである、これに対しては町も議会も誠実な対応と結果の通知を求められる。だから、提出者の氏名、住所、連絡先は、要望提出先に対して明らかにされなくてはならないのである。私の知る限りでは、町に提出された陳情は、陳情処理カードによって陳情内容と処理及びその結果が、起案、決裁、処理、記録されている。ところが、上記の陳情が文書で提出されたのが昨年11月であり、視察同行は6月である。陳情を正式に受理する前の視察同行である、単なる出張命令だけで公費で同行している。ゆえに陳情処理カードにもその記載がない。「桜を見る会」に似ていないだろうか。一部の人間が町民の知らないとこ税金で饗応され、特別扱いされているのである。中尾町長は、選挙の功労者から依頼を受ければ二つ返事で即公金を拠出して、その要望に沿うのである。川上教育長にしてもしかりである。この教育長は、高瀬満伸町長時代から、当時は教育委員であったが、何かと町長室に駆け込むことで有名であったらしい。高瀬氏がマラソン仲間の川上哲夫氏と谷脇健司氏を教育委員に推薦したのは、私がかって取った裏情報であるが、彼らの今までの言説から、さもありなんと頷ける。彼らの公式発言かして、教育行政に対する素養があるとは到底思えなかったからである。川上氏は、今の教育長職にも当時の宮地章一四万十町議会議長兼土地改良区会長会長の計らいに中尾町長が応じた経緯があるので、この川上教育長が中尾町長の後援会長の依頼に応じた中尾町長からの依頼の即時に応じるのは目に見えているのである。されど私は、この事態の異様さに警鐘を鳴らしたい。なぜなら教育委員会はそもそも首長から独立した独立行政委員会という建前の組織である。だから教育委員は、首長が選任し、議会の同意が必要とされる。教育行政の執行機関は教育委員会である。教育長は、教育委員によって監視されるべき執行機関教育委員会代理人である。四万十町教育行政においては、この法的な位置付けが全く不問にされている。これは由々しいことである。なぜ由々しいかと言えば、教育行政がこれによって恣意的に歪められ、機能不全に陥り、町民に対する説明責任を回避し続けることになるからである。ここも安倍政権とそっくりである。たかが町政と侮ってはいけない。時代の空気はシンクロ(同期)しているのだ。本来ならば法に体現された制度の趣旨に沿って、教育委員会に提出された陳情、要望は、まずもって教育委員会定例会にかけられるべきである。教育予算の提出権こそないが、予算案に関して事前審議と長に対して意見を挙げる権限を持っているのが教育委員会である。教育長ではない。だからこそ陳情は、事前に視察同行させたりする前に、正式な要望提出を待って教育委員会で審議すべきなのである。小中学校の教員の人事権は、高知県教育委員会にあるが、教員の内申を県教育委員会に具申する権限は市町村教育委員会にある。その為の校長ヒアリングが定期的に開催されている。川上教育長は、この教育委員会の教育関連予算に対する事前審議権限と教員内申の具申権限についての、法に基く正確な理解が乏しかった。法律名は地方教育行政の組織と運営に関する法律である。議事録からそれが判明した。教育予算の事前審議(議会提出前)を非公開でやっていたのである。理由は、議会提出前であるからというものであった。槙野章産業経済常任委員会の委員長の非公開理由とそっくりである。相手が相手の判断、責任で出してくる前は非公開が無難であるという発想しかないのである。法律の趣旨や理念は関係なし。自己保身と思考停止があるだけである。ここは、安倍政権の加計学園問題にそっくりである。かくて、我々町民は、つまり主権者は主権の行使に当たって必須の情報基盤を侵食される。本来非公開にすべきものでもないものが非公開になる。これは厳然たる汚職行為である。教員人事に関する校長ヒアリングもかっては教育委員同席であった。教育委員が校長に質疑できた。そして最終的に教育委員会定例会の席で県教育委員会に具申する内申書の内容に教育委員が一人一票で合意する。教育委員にとって校長ヒアリングの場は判断材料を得る場である。ところが今は、教育長と次長のみが校長ヒアリングを実施している。川上哲夫教育長が最も忌避していることは、情報の共有とそこから来る判断の根拠を問われることである。判断の根拠を示す。これこそ教育行政の要であるにもかかわらず、これに真っ向から反することが、肝心の教育長によって実践されている。つまり彼は最も教育長に向いていないメンタリテイの持ち主なのである。勿論川上氏の選任責任は、中尾町長と四万十町議会にある。議会に至っては、教育長に説明責任を負わせまいとする計らいが随所にあった。前回書いた、一昨年8月の大正中学校ソフトボール部部活事故について、事故調査結果報告書は議会に開示されなかったし、それを問題視した議員は私を除いて誰もいなかったのである。高知県教育委員会長小学校教育課に報告書が提出された。それだけである。教育行政は、国、県、市町村の縦割で自己完結し、なべて対外的な説明責任を果たそうとはしないのだ。私が本会議で、事故調査委員会の構成と事故調査報告書の共有範囲を質しても、酒井祥成議長は、「答えがなければ答えなくてもいい。」としか議事整理しなかった。では今回の、陳情案件での教育民生員会の審議内容は、果たしてどのようなものであったのか。目撃者としてここに事実を報告したい。まず、四万十町議会教育民生員会の構成は、委員長、中屋康、副委員長、村井真菜、岩井優ノ介、緒方正綱、酒井祥成である。

緒方:町長の意向を確認した。規模や予算額、立地について具体的なな要望がなければけない、と言うのが町長の意向である。委員会が規模や予算額、立地について調査検討する必要はない。このような要望が次から次へと上がってきたら対応に苦慮することになる。

酒井:声が大きい人間の要望が通るというのは好きではない。要望の趣旨が分からない。そもそも必要なのかどうかをここで審議すべきだ、必要があれば本来このような社会体育施設設備については、総合振興計画や、過疎自立促進計画中に織り込んでいるべきである。この資料(上桜総合グランド)でも整備費が16億円で過疎債が使われている。防災関連予算を充当するとすれば、サッカー協会公認公式試合の開催施設という事になれば、防災時の仮設住宅建設等の使用範囲が制限される可能性もある。

岩井:陳情は、町民からの政策提言と位置付けると議会基本条例にも書かれている。

村井:要望に対応するというのは大事なことである。町民の要望が通れば、町民側に町政に参画するという実感がわき、町が活性化する。

生涯学習課課長林:教育委員会としては、窪川高校のグランドが使えないか、社会体育委員会の諮問したら、ソフトは土の上でやる、総合グランドは残して欲しいとの意見も聴取した。人口芝生は導入コストはかかるが維持管理が容易である等の調査はした。目下要望者と協議中であり、いつまでに結果を出すとかは未定である。

中谷:町がある程度結論を出してから我々もそれに歩調を合わせたらと考えている。

酒井:これは内々の話だが。

緒方:課長がいるので、これ以上話を広げるのも難しいと思うが

この中屋、緒方、酒井の三者の発言からうかがい知ることができるのは、委員会の席に課長を呼ぶ目的の本質が、聴聞による調査とそれに基づく委員間の審議と討議ではなく、間もなく到来する本会議での委員会発表のための、情報収集とすり合わせである、ということである。委員会採決のための審議、討論のための情報収集ではない。だからこそ、委員会議事録は公開を渋り続けているし、私が過去に一般質問通告した「委員会の録画放映」は「議会内部の問題」として却下されたのである。中谷、酒井、緒方は、任期を重ねたベテラン議員である。が、本来議会に内々などあってはならず、止むを得ない一般人の個人情報が含まれる案件以外は全て議事録を公開するべきである。

中谷:町がある程度結論を出してから我々もそれに歩調を合わせたらと考えている。
酒井:これは内々の話だが。
緒方:課長がいるので、これ以上話を広げるのも難しいと思うが。

が調整済みの議事録に挙げるかどうかが、見ものであるが、私はこれを直に聞いた。

村井と岩井が、年齢こそ離れているが、議会内部の純朴な(?)ポピュリストであることも発言から伺われる。けれども議会は、本来的には、行政と擦り合わせる必要もなければ町民に迎合する必要もない。その意味では、町民からの要望に対しては、全町的な視点での要、不要の見極めがまずは必要であるのではないか。その点では酒井議員の発言が正論であると思う。町民代表であるから町民からの陳情を受理する責務を負っているのである。町民は町にも陳情を提出できる。これも全て日本国憲法請願法が根拠となっている。だから町の陳情対応について議会が聞き取りを行うのは自由であるが、それはあくまで町の対応を監視し、質すのが目的であるはずである。それが二元代表制の制度の趣旨である。それなのに、四万十町議会教育民生員会の面々は、「歩調を合わす」だの「内々」だの「課長が居るから議論が広がらない」だのと、まるで楽屋裏の打ち合わせ会議の体を臆面もなく晒してしまっている。傍聴者がいてこうである。つまり彼らはそれが問題だとは全く思っていないのである。。何という恥知らずな振舞いで有ろうかと、私は思う。「衣食足りて礼節を知る。」とは孔子の言葉であるが、彼らはどっか,依然として、極めて失礼ながら、本質的に衣食が足りていないに違いないと思うことしきりである。議員報酬引き上げの時にこれを痛感した。名誉欲と権勢欲、そして吝嗇と好色が錯綜しつつ、決して次世代にバトンを渡そうとしない、今の日本の老害政治の縮図がここにある。雄猿は雄猿いつまでたっても、生きている限り縄張りを拡張し、メスを占有し、他の雄に威勢を張りたいのであろう。実に御苦労さんではあるが、海の向こうでは、我が世の春を謳歌していたハリウッドの大物プロデューサー・ワインスタインが、MeToo運動のうねりを引き起こした、彼の性犯罪で被害者となった複数の女優からの告訴が結審し、禁固25年の実刑が確定したというニュースが流れてきている。かっての人もうらやむ栄華を誇った雄中の雄が今や、歩行器に縋って法廷に向かっている姿が世界で放映されている。おそるべし、女禍である。昔の映画タイトルにあった「女はそれを我慢できない」から来る執念の結実、快挙でもある。四万十町議会に長年生息してきた方々に対しても今、私からの一押し映画として、取り合えず推薦しておきたい。

 

四万十町議会議員 西原真衣