呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(83)

  商工会と森林組合の規約を閲覧しようとしたら

四万十公社の定款類を読もうとしたら、思わぬ抵抗勢力に出くわしたことを前回書いた。12月の理事会の協議事項として上程された(やっと)のだが、公社HP上への定款類の掲載が、継続協議事項となったらしい。今開示請求中の公社ー企画課宛ての報告メールにはこう書いてあった。

他社も出していないのならば出さなくてもいいのでは。

事務所で閲覧できるのならば、HPに出す必要はない。

HPに何を出すかを規約に明記すべき。

時間をかけて規約の見直しを行う必要がある。

断わっておくが、これは全て理事会における理事の発言である。決して街角インタビューでマイクを向けられた際の素人の発言ではない。これで、日当1万円をちゃっかり受け取っていいのだろうか。さらに以上の学級会レベルの発言さえ議事録には残さないのだ。否学級会レベルだからこそ残したくないのである。総務課長のO氏が白状したところでは、理事達に発言を促す際には小休止を取って、議事録に残らないからと安心させているらしい。何という事だろうか。実はこのやり方は、川上哲夫教育長時代の教育委員会例例会でも使われていた。又四万十町議会でも、密かにこれが横行している。実に嘆かわしい。どいつもこいつも報酬は受け取り、発言責任は回避したいのである。実にずるくないか。このメールを企画課で見て唖然とした私は、この報告メールについて、公社のM理事に直に質問した。

西原:この発言中に、「HPに出せば悪用される畏れがあるという意見が理事会で出た。」という、この前直にM理事から聞いた内容が含まれていないのはなぜですか。

M理事:そのようなことは言っていない。理事会の後で西原さんに偶々言った自分の意見である。

西原:その意見をなぜ理事会で言わないのですか。あなたは唯一の常勤理事であり、理事会で発言しなくては意味がないのでは。

M理事:なぜ理事会で言わなければならないのか。

西原:そのための理事会であり、その為の議事録ではないのか。ところでメール中の発言者名が知りたいので教えてもらえませんか。

M理事:言いません。

西原:議事録に発言者名の記載の必要がないという認識を持っているのですか。

M理事:言いません。

かように全く話が噛み合わないのである。この人物が常勤専務理事に適任か否かは各人の判断に委ねるしかないが、この理事の月額報酬が55万円であることは、言を大にして言いたい。理事には、副町長森武士と元企画課町敷地敬介が名を連ねている。農協からは武吉貴子氏であり、今退職後の敷地敬介氏は農協で鳥獣被害調査員の職を得ているらしい。どこかの開発途上国のように、利権が外に漏れないように人員配置が為され、食い扶持を身内で融通し合っているという印象である。とにかく不透明で風通しが悪いことだけは、メール内容から伺える。因みに、M常勤専務理事には定年がないそうである。そこでふと、私の脳裏をよぎったのが、商工会と森林組合である。この二つの組織は表向きは営利目的ではないとされている。商工会法森林組合が存立根拠である(因みに農協にも農協組合法というものがある)。現商工会の事務局長である宮地正人氏は元四万十議会事務局であり、四万十町を定年退職即座に商工会事務局長に収まり、月額給与30万円を得ている。きの宮地氏や森林組合組合長で、中尾博憲町長の実質後援会長と言われる人物田村耕一氏の定年は、とふと気になり始めたのである。こうなったら早速行動に出る性格の持ち主である私は、商工会と森林組合に電話して、こう聞いてみた。

西原:定款を始めとする組織の運営上の規約を見れる立場の人はどのような人でしょうか。

商工会:会員限定です。

こんなことでは引き下がらない。

西原:では会員の知り合いに依頼して閲覧申請し、複写を交付してもらうことは可能ですか。

商工会:前例がないので内部で検討させてほしい。

ここまでで相手方が相当に気色ばんでいるのが手に取るように感じられる。単なる定款や規約ではないか。世の公益法人NPOで、定款等はおろか理事会や評議員会等の議事録をHPで公表しているところは数多ある。そうやって会員を募ったり、組織の設立理念や運用方針を対外的にPRしているのである。究めて普通の事である。商工会は例年四万十町から1000万円相及び高知県商工労働部経営支援課から4500万円相当の補助金が出ている。この補助金で人件費を賄い運営されているのである。又森林組合組合にも町農林水産課から作業道の開設や高性能林業機械の導入に多額の補助金が出続けているし、建設課からは国土調査が委託され、又森林環境譲与税の行先の大半や町有林の管理の委託先も森林組合である。その実態を踏まえれば森林組合には、民間林業事業体とは一線を画す対外的説明責任というものが存在する」のでは、と私は考えるのだが、どうも森林組合本体はそうでもないらしい。因みにここ四万十町においては、アグリ窪川の取締役会にも商工会枠、森林組合枠があり、先だっての議員報酬引き上げ時の中尾町長の諮問機関である、四万十町報酬等審議会」の委員にも、森林組合と商工会からは代表者が委嘱されている。報酬等審議会議事録によれば、森林組合組合長田村耕一氏も議員報酬引き上げに賛成を投じた委員であったことも、私にとっては記憶に新しい。確か商工会からは井原建設の井原貴仁氏が委嘱されており、この人物も議員報酬引き上げに賛成を投じている。井原貴仁氏は、四万十公社ともかかわりが深い。評議員選定委員会というものが公社には設置されており、その選定委員の一人である。とにかく、商工会、森林組合の両組織は補助金面でも人事面でも町との関わりが非常に強固である。一体なぜこのような状況が生じているのか。一行政区に一つと占有権を実質付与されているこのような組織は、法的には「公共的団体」と規定されてる。根拠法は、商工会法森林組合法である。市町村の行政区に一つだけ設立できる、そしてそれらを束ねる県組織、全国組織がある。商工会連合会、全国商工会連合会森林組合連合会、全国森林組合連合会という具合に。この辺りは、議会における議長会や自治体における町村会と同様である。つまり全て縦系列で組織化され、末端組織が判断不能な事態が生じれば、上に聞いて指示を仰ぐことができるようになっているのである。結果的に上部組織への依存が生じやすく、何事につけても上級組織に判断を委ねているが故に、「地元で何か聞かれても,狼狽、硬直して応答不能状態になる。」という事態が往々にして発生する。だから規約について問い合わせただけのことで大慌て状態となるのだ。いかにも不可思議である。一体何を考えているのだろうか。電話に出た商工会事務局長宮地氏などは、私に対して、「どうしてそのようなことに答えなくてはならないのか。」と聞き返して来た。恐らく、私が、聞いていることの意図と意味が分からないのであろう。そのような人物を事務局長にいただく商工会青年部等、欲求不満にならないのだろうか。

商工会経営指導員T氏:会員に定款規約をここで閲覧させることはできますが、複写、持ち出しはできません。定款の変更時には県(商工労働部経営支援課)に届けています。全国商工会連合会のHPに規約の雛形が載っています。商工会法に準拠してやっていますから。(困惑と嫌悪感が貌に出ている)

森林組合事務員:県(森林組合連合会)を通じて全国組織(全国森林組合連合会)に打診しました。閲覧申請時には、一筆書いてもらって閲覧の目的を記載してもらうようにと言われました。暴力団排除とかが今非常に言われていますから。給料とかでしょう、申請内容は。(何か非常に引っ掛かる表現である)

西原:特に:給料に特化していません。が、規約や基準に給与体系や役員報酬支払い基準は当然含まれていると認識しています。

私は仰天した。「定款や規約が漏洩して、暴力団が悪用する可能性がある」という発想だろうか。が、給料でピンときた。実は少し前に一度、森林組合組合長田村氏に対して、四万十町産業経常任委員会議事録(傍聴による概要速記録)を届けたことがあるのである。その委員会の委員は、委員長槙野章、武田秀義、橋本章央、林健三、味元和義である。説明のため委員会に招聘されていたのが、池上農林水産課課長、多賀林業振興室長であった。「コロナ禍で家が建たなくなって原木が下がって経営が苦しい。町有林伐採の仕事を前倒しでやらせてくれ、と町が森林組合から陳情を受けたと聞いている。」と槙野章委員長が切り出した。農林水産課が作成した森林組合の過去数年間の経営状況を示した資料が配布されていた。大正集成材工場の赤字が問題視されていた。武田秀義議員など、「この数字が議会質疑に出たら執行部は答えようがない。」などと発言していた。この時やおら興奮した面持ちで、林健三議員が、以下の内容を発言した。

「理事の伊藤は山の事を何も分かっていない。田村は中尾の選挙をやった事で俺は頭にきた。田村は今月給を63万円取っている。今理事会を開いて組合長の65歳の定年を70歳まで延長しようと目論んでいる。森林組合は若い子が居つかん。すぐに止める。」

ここで、私にはある出来事が想起された。2年ま絵の1月に十和の旧広井小学校で村井真菜立候補予定者を囲んで「議員体験について」の話を村井陣営から頼まれてした後の質疑応答部分で、会場にいた、ある十和在住の子連れ女性にこう聞かれたのである。

「主人が森林組合の作業班に入っている。作業班は、黒字の仕事を回してもらえるところとそうじゃないところがあって、主人の班は黒字の作業がなかなか回ってこない。この前は、一旦受け取った月給の30万円から赤字を理由に5万円返還させられた。こんなことできるんですか。事務方とうまくやっている班は黒字の仕事が、そうじゃない班には赤字の仕事が回されているらしいです。」

切実な訴えであるが、私には、そこでは返す言葉がなかった。単純に驚いた。一旦渡した給料(おそらく日給月給ではないだろうか、その人の夫は山で森林伐採のきつい仕事をやって給料30万円で家計を支えているのである。)から「赤字が出たから5万円返せ」と会社から言われ実際に返した。このような状況下で妻が私に嘘をつくとは思えない。本当にそのようなことが行われているとすれば大問題である。そこで、後日、高知労働局に問い合わせた。回答は以下である。

高知労働局:採用時に給与を含む労働条件は、相手に明示しなくてはならない。通常労働条件を記した書面が交付される。その書面に違反する会社側からの申し出は拒否できる。それでも会社に強要されたら、労働基準監督署に通報すれば、調査に入ることができる。

以上を手紙に書いて当人に渡した。ただし、時が随分経過しており、その人の夫はその時には、既に森林組合を辞職していたのだ。この体験のある私は、林議員の発言に咄嗟に反応し、休憩時間に上記の内容を委員会の場で傍聴席から発言し、その部分も記して「私製議事録」として森林組合組合長に早速届けたことがあるのだ。今回の事務員の給与発言はこの辺が恐らく出何処だろう。想像するに、森林組合内部では、「西原が、役員報酬や従業員の給与を嗅ぎ回っている」と受け取られているのであろう。いつもの事である。それだけで大騒ぎとなる。実は私には、森林組合絡みのもう一つの出来事がある。数年前、開示請求によって入手した森林組合総会資料にには、預金残高が6億円と記載されていた。この時も早速農林水産課に赴き、時の長谷部農林水産課課長に、6億の預金が有れば自己資金で、大正集成材工場の商談室(高知県産業振興総合支援事業補助金2500万円で建設)や古市の事務所を新築(町の一般財源より2500万円拠出)できるのではないかと積め寄ってみたことがある。その時即答しなかった長谷部農林水産課課長は、森林組合に問い合わせた上で、「年毎の仕事の受注量に波があり雇用継続目的で人件費分として余剰資金を確保しているとの事である。」と私に説明したが、この時の森林組合の言い分と、十和で私が聞いた話は全く背馳している。人件費の確保目的で内部留保額を6億円にも膨らませているのなら、30万の給料から5万円も返金させたりするのであろうか。作業班の若い男性が得る30万円と役場退職者宮地正人氏が商工会事局長として受け取る給与月額30万円は同じ30万円でも30万円の重みが全く違うのである。規約に話を戻したい。森林組合に電話した時に、事務員が組田村組合長が電話を繋いだ。そこで、「組合員であれば規約を閲覧できるという事を聞いたが、総会に招待されているという四万十町(中尾博憲町長、森武士副町長、多賀林業振興室)は組合員なのか。」と聞いてみた。森林組合の場合、組合員とは出資者である。田村組合長は、以下のように説明した

田村組合長:大正町、十和村、窪川町時代から森林組合には出資している。町の出資額は、8000万円で出資総額は、25000万円である。

何のことはない。町は最大の出資者だったのだ。今まで知らなかった。それなのに、そのことを含め、定款や規約がなぜ町民に公開されていないのだろう。答えは出ている。知られたくないのである。「知られていないこと」こそが利権の温床となっているのである。外部から一切チェックされずに都合よく組織運営できるからである。この辺りは四万十公社も同様である。森林組合法の該当部分は以下である。

(定款等の備付け及び閲覧等)

第43条の2 理事は、定款、規約、信託規程、共済規程、林地処分事業実施規程、共同施業規程及び森林経営規程(以下この条において「定款等」という。)を各事務所に備えて置かなければならない。

2 組合員及び組合の債権者は、組合の業務時間内は、いつでも、理事に対し次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、理事は、正当な理由がないのにこれを拒んではならない。

一 定款等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧の請求

二 前号の書面の謄本又は抄本の交付の請求

三 定款等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を農林水産省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて組合の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

3 組合員及び組合の債権者は、前項第2号又は第4号に掲げる請求をするには、組合の定めた費用を支払わなければならない。

組合員及び債権者は、森林組合の定款、規約を閲覧申請し、謄本或いは抄本の交付を求めることができる。「交付を求めることができる」のならば最大の出資者であり、債権者(森林組合に1億円を貸し付け毎年1600万円の返済を受けている)でもある四万十町は、定款、規約を交付させ、議会や町民に対して閲覧に付すべきではないだろうか。ところが、田村組合長によれば、中尾博憲が平成26年に町長に就任して後1年後に組合長に就任して以降、中尾町長による閲覧申請を受けたことはないそうである。森林組合法以外にも、地方自治法には、こう書かれている。

第百五十七条 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の綜合調整を図るため、これを指揮監督することができる。
 前項の場合において必要があるときは、普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等をして事務の報告をさせ、書類及び帳簿を提出させ及び実地について事務を視察することができる。
 普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の監督上必要な処分をし又は当該公共的団体等の監督官庁の措置を申請することができる。
 前項の監督官庁は、普通地方公共団体の長の処分を取り消すことができる。
定款や規約さえ読もうとしない中尾町長が、上記の権限を発動させるとも全く思えない。代わりに中尾町長がしたことは、自分の選挙の功労者である田村組合長役職就任や数々の補助事象の大盤振る舞いで報い、選挙事務所に日参していた、副長町長職を約束されていた、選挙絡みの特別職待機者として町職員を早期退職していた伊藤理事(経験的に山の事は詳しくないかもしれないが、私の眼から見て決して見識に欠ける人物ではない)を森林組合理事に斡旋したことである。その選挙事務所で中尾夫人は私にこう言ったのである。
中尾夫人:主人は町長になりたいわけじゃないんです。他にやってくれる人がいないか町政の課題を解決するために立候補したんです。

 西原:町政の課題とは具体的にどのような。

中尾夫人:そんなこと私に聞かれても困ります。知識がありませんから。

町長になりたいわけじゃないだけ伝えて、町政の課題を夫人に全く伝えてない中尾博憲氏だったのである。今日はアメリカ大統領の就任式を、BBC とCNNで見た。バイデンを見るジル夫人の眼差しとアメリカ初の黒人にして女性副大統領カマラ・ハリスを見る夫のユダヤ人弁護士という人物の眼差しを見て何だか感動した。夫婦で信じ合い、支え合っているといるのが、こちらに伝わってくるのだ。それで言えば中尾夫人など、私が偶々漏れ聞いた選挙事務所での会話によれば、子供のサッカー保護保護者仲間であり尚且つ同級生でもあるというご婦人とテレビのワイドショーを見ながら、「若いころにドクターと知り合いになりたかった。」と打ち興じていたので、中尾夫人は町政については関心がなくても、町長夫人には並々ならぬ関心があったのであろうと推測する。アメリカが日本の政治を突き動かす最大のモメンタムであることは周知の事であるが、アメリカの政治家は日本の政治家より遥かにある意味大真面目なのではないだろうか。宗教的背景があるとは思うが、政治家が倫理観を問われる政治風土があり、政治家の発言が厳しく継続的に検証される。ともあれ、「町政の課題」は夫婦間の話題にはなっていないらしい中尾夫妻であるが、次期町長選の話題では必ず名前の上げる武石俊彦県議夫妻は、果たして県政や町政の話題で盛り上がっているのか。大真面目は、この辺りに出るのじゃないかというのが、私見である。因みに私が在籍していた四万十町議会の議員控室では、時事ネタも一切出ないくらいだったので、夫婦間の話題等「論外」とだけ言っておきたい。

西原真衣