呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(54)

     委員会資料を開示請求したら

 開示請求の結果通知が来た。請求相手が、中尾博憲四万十町長は、「開示」である。が、請求相手が下元昇四万十議会議長は、「非開示」であった。理由は、「不存在(委員会報告書が未提出の為)」と記載されていた。以下である。

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開示請求対象文書名は、「4月21日付の総務常任委員会審査、職員の時間外手当についての資料」であった。町によって開示された資料をここに公開したい。四万十町職員が四万十町民の福祉の向上を目指して適正な時間外勤務を為しているかに関心のある向きは、この資料に是非一度目を通してもらいたい。

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所で、古谷幹夫総務常任委長は、総務常任委員会の席で、傍聴者の私に対して、「委員長権限で資料の回収を命じる。」と断言した以上、非開示理由である「不存在(委員会報告書が未提出の為」の不存在理由が、委員会報告書提出によって解消された時は、改めて開示決定を為す必要が生じるのではないか、と思慮した。日本語として直截にその意味を解釈すれば、そうなるのではないか。そうなれば、総務常任委員会の場での回収決定と委員会報告書提出時点での開示決定に齟齬が生じるのではないか、この齟齬を、古谷幹夫委員長はどう釈明するつもりなのだろうか。そもそも、総務常任委員会は、大藤風力発電事業計画の中止を求める請願審査を付託されて、昨年10月11月と風力発電の視察に行っている。その報告書が未だ見提出であり、それを、「怠けている」とのうのうと自ら言ってのけたのが、委員会報告書作成義務のある古谷委員長なのである。この総務常任委員会の報告書が未提出であり、未提出であるがゆえに文書不在で開示請求に応じることができないことにも、全く良心の呵責がないのだろうと想像できる。議会の委員会であるからこそ、審査権、調査権を発動でき、委員長から時間外手当の調査がしたいと言われれば、総務課はこのような資料を作し、委員会に提出したのである会議資料と審議内容は本来一体的なものであり、委員会が公開であれば、当然資料も公開であり、議事録も公開であり、議事録公開時には資料も閲覧に付すべきである。という民主主義の根幹をなす原理原則が、理解され、適応されていない議会の実体が今回明らかになったとではないか。結論付ければ、議会の調査権は機能していないのである。総務常任委員は、古谷幹夫委員長を初め誰一人、可視化に基づく応答責任、説明責任の取り方を理解していないのである。この時の総務常任委員会は、吉村アツ子、下元昇両議員が、入院のため欠席であった。病状を詮索する考えも毛頭ないが、一般論として検査入院等が頻々と必要になる年代までの長きに渡る議員歴を持つ下元昇議長は、議会の可視化を演説しても議会の可視化の目的及び手法を理解していないがゆえに、議会の可視化は一行に進捗せず、この無残な迷走ぶりを露呈させているのである。改めて進捗実態を、振り返ってみたい。下元昇議員が、改選後の議長選で、「議会の可視化」を公約に議長に選出されて、1年と数か月が経過した。この間、委員会報告書のみが議会HPで公開されるようになったが、

1.報告書のフォーマットには、討議資料名の記載欄がない。

2.委員会報告書には提出期限がない

3.討議資料の報告書添付は、委員長判断とされている。つまり任意である。

4.委員会議事録は公開されていない。開示請求がいる。

以上が「議員が怠慢でいられ、能力、資質が衆目に晒されにくい、議員側に都合の良い」慣例として放置されてい以上、議会に法的に付与された調査権、審査権が、町民福祉の向上に資する方向で行使されることはあり得ないのである。外部から誰もその実態を検分できないように意図的に運営することが可能になるからである。因みに私が昨日の事、議会からの非開示通知を長谷部議会事務局長から直に受け取った時に、非開示理由を見て、念のために確認した。

西原:委員会報告書の提出を待って、不存在理由が消滅すると解釈して良いのか。

長谷部事務局長:今回は町民の方から開示請求があったと委長に伝えているので、報告書に資料が添付されて提出されると思いますよ。

西原:開示請求があったらというのが、全く釈然としない。本来委員会開催時点で、事務局が保管し、議事録の添付資料とすべきではないか。私は、偶々傍聴したから、資料の存在を知っている。知り、かつ回収されたから開示請求したのである。(ここで総務課が既に同一内容を開示したことを伝える。)

長谷部事務局長:総務が開示したものを議会が開示しなかったらおかしいなことになりますよね。

西原:実施機関が違うので、異なる判断はあって当然じゃないんですか。議会の独立性が、むしろ問われていると思いますが。議会側が執行部と対応を同一化したいというのは、議会側の町側へのすり合わせ、迎合なんじゃないですか。

長谷部事務局長:執行部が作成したもので、執行部が回収すべきと判断する資料って今までにもありましたよね。

注釈:徐々に相手が息切れしてくるのが分かるが、ここで容赦はできない。慣例を持ち出して理解を得ようとするのは、穏便主義、惰性であり、論点の噛み合った議論とは言えない。議会は本来議論すべきところである。本来議論すべきところで、議会文書の取り扱いについて、情報公開条例に基づいて議論しているのである。因みに四万十議会基本条例の一節を抜粋する。議会事務局長は法務機能を果たすことを回避できる立場ではないし、委員会資等は議会図書室に備え付けて、広く閲覧に供するべきであると、解釈できるのである。

四万十町議会基本条例

(議会事務局の体制整備)
第18条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
2 議会は、専門的な知識経験等を有する者を、任期を定めて議会事務局職員として採用する等、議会事務局体制の充実を図ることができる。なお、当分の間は、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するものとする。
(議会図書室の設置・充実・公開)
第19条 議会図書室は、議員のみならず、誰もがこれを利用できるものとする。
2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るほか、議員の調査研究の成果及び議会の活動により発生する資料等を整理し、町民が活用できるよう議会図書室の充実に努めるものとする。

西原:議会の要請に基づいて作成した資料であり、委員会公開を決定しているのは委員長で、委員や傍聴者に資料を配布したのも委員長の判断ではないか。その時点で、資料の公開も委員長が判断していると見なされないか。資料に予め非公開理由があれば、委員会自体を非公開にするのが筋なのでは。いずれにしても討議資料は議会に提示された時点で議会が保管し、開示請求の対象にするべきではないか。現況では資料の存在自体がうやむやであり、これは情報公開の制度運用上の著しい逸脱である。

長谷部事務局長:今回は開示になると思いますよ。委員長と協議しているので。

西原:今回と限定しているところが問題である。

長谷部事務局長:議会提示資料の回収、非回収は執行部や、議長、委員長判断で今までやってきましたから。

西原:だからこそ、古谷委員長が私に回収を命じたことと開示請求で開示することには齟齬が生じると初めから言っているのです。

ここで議論が完璧にループしているのが分かる。開示請求が出て、改めて協議しているのだ。有体に言って、彼らは情報公開条例も議会基本条例も正当に解釈できていない。

ここにあるのは、条例の正当な解釈に基づく運営ではなくその場しのぎの、「双方向顔縦立て処世術」とでもいうべきものである。誰も悪くない代わりに、誰も最終的に責任を取らない、のである。その場の所属員間の孤立と異論が周到に徹底的に回避されている。これこそが旧日本軍の「失敗の本質」という言説があり、私は、非常に共感を覚えているのだが、正しくコロナ禍の序盤であったダイヤモンドプリンセス内で起きたこがこれに酷似している。けれども出動した自衛隊に感染者が一人も出なかったというから、自衛隊だけは、旧日本軍とは体質が違っていると願いたい所ではある。むしろ旧日本軍的なのは、時の政権とその利権が配分する利権に汲々と群がっている人々の方であろう。否、実はそれにとどまらない。その体質は、私の近辺にモトリクルダウンしていたのである。私は議員時に、「議会の調査権を逸脱した」と政治倫理条例違反を問われ辞職勧告を受けたが、今回の事件で、明らかになったのは、私が、「議会の調査権を正当に行使できない議員達によって全会一致で、「議会の調査権を逸脱した」と事実認定されたという事である。そしてその事実認定の場は非公開であった(職員の個人情報保護のため)以下情報公開条例を抜粋する。

第6条 実施機関は、公開請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、当該公文書の公開をしないことができる。
(1) 法令又は条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより、明らかに公開することができないとされている情報
(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令等の規定により、何人でも閲覧することができる情報
イ 公表することを目的として作成し、又は取得した情報
ウ 法令等の規定に基づく許可、認可、届出等の際に実施機関が作成し、又は取得した情報で、公開することが公益上必要であると認められるもの
エ 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に関する情報

時間外勤務であろうと、現職議員による収賄斡旋が疑われる事案、はたまた町の事業内容の把握目的での単なる職員に対する質問であろうと(私の事例と自認している)、全て職場で職務上発生している以上、職務内容であり、それゆえに、政治倫理やパワハラの対象とされ得るのである。その職員側の証言内容のどこにも非公開理由はない。調査の公正を担保するには、本来公開しなければならないのである。ところが調査される側と調査する側が、一連托生意識をもって長年やってきたのである。そこには、部外者つまり、法令が想定している主権者が不在である。この意識構造を私は、「長年税金という同じ釜の飯を食ってきた間柄」と表現した。そして我々は、その税金を否応なしに徴取される側なのである。職員給与も期末勤勉手当も、議員報酬も全て条例化され、予算化されて初めて支給される。それであれば、全ての条例は等しく正当に解釈され、運用されなくてはならないはずである。その為に条例が存在する。法令こそが、町と議会の存立基盤である。中尾博憲町長は、四万十町中高校生に、学校を通じて四万十町通信を配布し、町が何をしているか、広く知ってもらい町政に関心を持ってもらうという施策を展開中であると聞くが、むしろ中高校生に四万十町条例を配布し、その読解力を養う事が、喫緊の課題である中尾町長が辞令を交付している四万十町職員職員及びその監視機関である四万十町議会議員の条例読解力の惨状を見るにつけ、今や近未来の地元高校卒役場採用者に期待するしかないのではないか。尤も、来るべき、高知地方裁判所における、議員報酬引き上げの手続上の瑕疵に基づく公金(議員報酬)の違法支出を巡る裁判には、中尾博憲町長は被告として出頭し、議会基本条例の自らの解釈を述べざるを得ないのだが、是非当時の議長酒井祥成議員や議会運営委員長堀本伸一議員の法廷での発言も聞いてみたいものである。もっともこのコロナ禍にあって、裁判は延期せざるを得ないので、いつになるかは分からない。議員報酬の引き上げ方については、当時議会に居た目撃者の私は、証言に立つ用意がある。極めて恣意的かつ議決権を持つ議会構成員に対して、恫喝的、意志拘束的であったことを証拠資料に基づき論証したい。このブログにも書いたが、ブログだけでは到底不十分である。正当な判決が下されることは元より、議会が町民の目から隠匿してきた事実が、より多くの町民の目に明らかになることを、何よりも公開の法廷に期待したい。

西原真衣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風力発電と蠢く町政(53)

 議会が職員時間外勤務をどう審査したか

4月21日総務常任委員会を傍聴した。議事は、

事件1:職員の時間外手当について

事件2:執行部からの説明について

事件3:その他

以上が議会HPに掲載されていたので、傍聴に行くことにした。事件1は、古谷幹夫委員長の説明するところによれば、「同僚議員の一般質問を受けて議題とした]

との事であった。説明のために委員会に招聘したのが、新総務課長熊谷敏郎氏と副課長人事担当小嶋氏である。3席用意された傍聴席には、既に資料が配布されていた。

資料1:過去3年間課別月別時間外勤務総時間数

資料2:過去3年間年間時間外総時間数上位10名(職員名アルファベット表記・所属課明記)

資料3:米々フェスタ職員業務分担及び充当時間一覧表(職員名表記)

「同僚議員の一般質問を受けて」の同僚議員とは、ほぼ間違いなく、味元和義議員であると咄嗟に思ったが、それはそれとして、事前に総務課に資料を作成させたこの調査目的は、一体どこにあったのだろうかと考え込んでしまった。というのも、上記資料1,2では、課内のどのような業務で時間外が発生しているかがさっぱり分からないからであった。又それを議員側も質疑しない。ただ、例によって、堀本伸一議員が十八番を開始した。

堀本伸一議員:自分が最も懸念するのは、これ時間外調査によって職員が意欲を失うことである。職員はなべて町民福祉の向上のために働いているはずである。時間外が恒常的に発生しているのであれば、正規職員を増やす方向性が望ましいし、このような質問が、今後議会で出てこないことが望ましい。

田辺哲夫議員:決して時間外が良くないと一律に思ってはいないが、時間外手当目的での時間外がないとは言えない現状があるのではないか。そこは管理職の責任になる。

水間淳一議員:時間外勤務はどのような手続きで行われ、管理職は業務内容をどのように把握しているのか。

彼らは、明らかに追及する気がないのである。不必要な時間外勤務を抑止するという本来の町民福祉の向上の視点に立てば、時間外勤務が発生している業務内容の経年比較によって時間外の発生要因が人的なものであるのか、業務内容自体であるのかの判別が、まず必要であるのも関わらず、ここには意識的に決して踏み込もうとはしない。又これに阿吽の呼吸で呼応するかのように、熊谷新総務課長は、応答したのである。

熊谷総務課長:時間外の発生要因には、恒常的、時節的、突発的なものがあります。自分も財政班に居たので、正しく時間外勤務が常態化していた訳です。(ところが、過去3年間の時間外上位10位の個票は課別に全くランダムであった。財政班が例年上位を占めていなかった。)最も良くないのは、上司への申告なしの時間外です。今働き方改革で、月80時間以上は産業医との面談が勧告され、また100時間以上は強制的な面談が義務付けられています。ただ、過去3年間の上位10位の時間外総時間の推移を見れば一定減少しているので、議会でご指摘を受けた効果かなと、ここは、非常に喜ばしく思っています。

玉虫色の答弁を志向していることが、ありありと見て取れる。御立派とまでは思わないが、かなり良くできている。少なくとも議員側とは雲泥の差である。議員の体面を立てながら、職員からの反感もかわしたいのである。実に公務員の鏡である。骨の髄までの保身なのである。ここで、最後に田辺哲夫議員が、自分の見せ場を作るべく、発言した。これはいつもの事である。

田辺哲夫議員:時間外が本当に減っているかは、上位10人じゃ分からない。職員全体の資料がいる。

熊谷総務課長:上位10名の傾向から全体の傾向は推測できるので、減少傾向にあると捉えています。

これには田辺哲夫議員は、反論しない。職員全体の時間外総時間数の推移は、ばらつきによっては、増減の傾向が異なってくる可能性がある。総務課が作成したザル的な統計資料を装ったものからさえ、伺われることはもっとあるはずだ。

古谷幹雄委員長:次回は全体の時間外総時間数が分かる資料を用意してもらうことにして、この議事はこれで終了したい。

注釈:時間外手当総額は決算から試算できるはずである。職員の定数管理ができているという前提で、手当額と時間数は合致する。議会図書室で決算資料から自作すればいいだけである。それにそもそも、150人は下らない非正規職員で一般行政職の事務補助に従事している人役を度外視していること自体で、本来の時間外発生調査になっていないのである。それに、最も肝心な業務内容の把握が欠けているので、不要な時間外を削減できているかどうかは、依然不明なままである。時間外勤務を本会議、一般質問で繰り返し指摘するという同僚議員の手抜き仕事の効果が精々、この上位10位までの時間外総時間数減少結果である。本会議で取り上げると時間外が減するという現象自体が、不要な時間外の発生を物語っている。それにしても何という効率の悪い、議会側の隠居仕事と、それに便乗した危機感に欠けた過疎地の役人仕事であろうか。彼らは決して互いに対峙しない。ただ弛緩と存続志向という似姿があるだけである。

税金という同じ釜の飯を食い続けて来た朋輩だけの事はある。町民福祉の向上が不在である。

さて、ここからの記述が、私の本題である。傍聴席を離れようとすれば、何と資料の回収を要請されたのである。要請者は小嶋副課長である。その理由とは、「総務常任委員会用に作成したものであり、町民向けには更に加工がいる。」からという事である。繰り返す。「総務常任委員会用に作成したものであり、町民向けには更に加工がいる。」からである。聞き返した。

西原:米々フェスタ業務一覧表以外は、記号化されて個人名はない。このどこに、公開できない個人情報があるのか。(誰も答えない。)古谷委員長判断はどうなのか。

古谷幹雄委員長:委員長権限で回収する。

田辺哲夫議員:議員も回収するのか。

古谷幹雄委員長:(相好を崩して)悩ましい部分である。(決して悩んでいるようには見えない。この人物は権限を発動するのが相当お好きらしい。)

四万十町民にとって、上記の会話は記憶するに値する。なぜなら、資料作成を要した側(議会)も、それに応じた側(総務課)条例の解釈、運用を誤っているからである。その条例とは、四万十町情報公開条例であり四万十町個人情報保護条例である。この二つの条例は、「職員の職務内容は、個人情報から除外する」と明記している。総務課課長と副課長は条例を適正に運用できていない。両者の職務遂行能力を疑わざるを得ない。議員側は、更に目も当てられない。彼らは、議会の体を為していない。地方自治法上、委員長の議事整整権は認められている。委員会には調査権審査権も付与されている。今回は職員時間外勤務の調査である。資料と審議は本来一体的なものであり、公開でやった会議の資料が持ち出し禁止であるという矛盾をどう説明できるのか。資料抜きで議事録を作成するつもりか。町民の町政への参画を保障するのが,代議制の一義的な存在意義である。議会に法的に付与された調査権の目的は、調査権の行使により、主権者である町民に対して、町政の実体を明らかにすることである。資料共々明らかにされた実態を議事録に残すのが彼らの責務である。その議事録によって町民から付託された代議制の実質を担保しなくてはならないのである。ところが、「議員だけが知り得る事実があること自体」が彼らの特権であると、曲解している。議員だけが知り得る事実は、民間人のプライバシーの保護目的以外にはない。議員のために議員の特権があるわけではないのである。これが分からないからこそ、議会で事前に合意して、議員報酬引き上げを図るようなことができたのである。よく考えてみれば、このような蛮行に及べた議会が、立法の主旨が理解できるはずもないのである。彼らはかくて、悪意と作為なく、ただの愚かさで、ただの慣習で、法治国家の基盤の腐食、崩壊に日々,手を貸し続けることになる。後日議会事務局に確認したところ、総務課は、議員には、回収を求めず、古谷委員長もこれに同調したという。総務課が、議会の要請に応じて作成した資料は、そもそも総務課に取扱い上の裁量権があるのだろうか。私は、ないと思う。なぜなら四万十町議会は独自の情報公開条例を持たず、四万十町情報公開条例の実施期間に位置付けられているからである。情報公開条例によれば、実施機関が保有す公文書の定義は、「職員が職務上作成、入手した資料で、組織的に用いるもの」である。地方自治法上に、議会の調査権が明記されている以上は、議会の要請に応じて作成し、組織的に用いた(委員や傍聴者に配布して時間外勤務の説明資料とした)文書は、総務課が保管する公文書でもあり、同時に、議会が、職務上入手し組織的に用いた(委員会審議の基礎資料とした文書でもあり、同一内容文書であるとはいえ、異なる実施機関である総務課と議会の各々が保管し、開示請求の対象とすべき文書である、と考えるからである。その意味では総務課が、傍聴者に対して回収を要請すること自体に、条例上の権限の根拠がない。「職員が特定化される懼れがあるので回収したい」が通用すると思っているのである。ここが根本的に間違ってる。たとえ、職員が結果的に特定化されようと、業務内容を特定化することで、不要不急の時間外勤務を抑止し、その業務が本当に必要であれば、恒常的な時間外の発生に対して、過労防止や人員配置の目配りが必要となる。又その職員がその業務に関しての職遂行能力に欠け時間外が発生する可能性も否めない。いずれにしても、職務内容の特定が先決である。これが、「職職内容は個人情報から除外する」規定の真の意図である。これを理解せず、ただ漠然と職員の特定化を回避しようとする出鱈目な運用に終始する総務課は、総務課の名に値しない。条例の本来の意図に適った運用を、監視を通じて、執行部に執行させるのが議会の責務である。そのために調査権が法的に付与されているのである。私は過去に、「議員個人に調査権はないにもかかわらず、情報を得るための議会の調査権から逸脱た調査活動」によって、「議員の地位を利用して、職員に圧力をかけ、業務に支障が生じた」疑義で、政治倫理審査会にかけられ、辞職勧告を受けた。私が実際に為したことは、何人でも利用できる情報公開制度を使って四万十町公文書を入手し、その公文書に係る関連質問を、自ら赴き担当職員に対してしただけの事であり、それが無ければ、電話一本で把握できるようなことをわざわざ本会議で聞くという愚劣にして効率の悪い議会質疑しかできないと考えていたからである。そしてそれは事実ではないだろうか。現況の議会を見れば一目瞭然ではないか。酒井祥成議員などは、議長選で、地方自治法の議員の調査権に触れ、私を標的とした議会運営について力説して議長に選任されたが、それならそれで、酒井祥成議長に対して「地方自治法に基づいての議会の調査権についての首長の見解を聞く」という一般質問通告をした時に、議会運営委員長の堀本伸一議員を通じて、「町の一般事務に該当しないので、却下する。」判断を下したのは、明らかな自己矛盾である。質問を許可するべきであった。あの時それを却下したがゆえに、議会の調査権についての、執行部と議会間で議会の調査権についての正しい認識の共有が未だなく、今回のような、意味不明にして有害な、会議資料回収事件が勃発するのである。議会の調査権について演説して議長となった酒井祥成議長は、町政の監視機関である議会は常に、執行側が法令の適正な理解に基づく、適正な運用を執行しているかをこそ監視しなくてはならないという自覚に欠ける議長であった。当時の堀本伸一議会運営委員長もしかりである。彼らは恐らく法令を理解していない。現職議会議員が、法令を理解していない。これは有害事象である。彼らの罪は重い。ところで、今仕方山本たけし氏の起こした裁判の相手側答弁書が私の手にも渡った。被告四万十町長中尾博憲は、訴訟代理人に顧問弁護士行田博文氏を立てた模様である。この人は、過去に「西原真衣議会報告」を町立図書館に置いて欲しいという、私から教育委員会に対する要望に対して、教育長川上哲夫が相談した相手でもある。「公共の施設の貸付、譲渡に当たるので、条例を制定するか議決が居る」が、行田弁護士の回答であった。「公共の施設の貸付、譲渡に当たるので、条例を制定するか議決が居る」が想定しているのは、売店や飲食店等の営業を目的とする事業体であるというのが、総務省行政課の解釈である。こじ付けもいいところである。その証拠に私が、行田氏に対して、「本会議室、委員会会議室、議図書館、議会事務局は、公共の施設の貸付、譲渡に当たらないのか、条例もなければ、議決もないが。」と聞き返したたところ、「それは別途調べてみないと分からない。」と対応したのである。随分とあやふやではないか。議会は言論の府であり、議員個々の言論の自由有権者へのその流布が最大限保障されていなければならない。これが民主主義の基本である。言論抜きに議員でありたい議員達と言論によって糺されることを渾身の力を込めて回避したい執行側、考えてみて欲しい、私が発刊したかった議会報告書「町政報告」を町立図書館の一角に議会共有スペースを設置して、置かせて欲しい、これだけの要望に対して、顧問弁護士に相談するほど、渾身の力を込めて回避行動に走った川上哲夫教育長と生涯学習課課長辻本明文氏が居たのである。背景にあるのは何か、「能力と資質を問われない採用と人事」これに尽きるのである。能力、資質を問われず、地位と報酬を死守したい議会と執行部は、互いの暗黙の了解で、法令の作為的な曲解をなし続けて来たのである。「地方議会は時の政権のインフラである」というのが私の持論であるが、四万十町議会HPの陳情・請願タブをクリックしてみて欲しい。直近3月の定例会で、陳情書 「「桜を見る会」徹底究明を求める意見書採択のお願い」が議長預かりになっているのが、見て取れる。「議長預かり」とは、「棚上げ」「議会で審議しない」という意味である。彼らから、安倍政権と同質の応答拒否の卑劣さが匂ってこないだろうか。

西原真衣

 

 

 

 

 

 

風力発電と蠢く町政(51)

                             官僚的言語不明瞭

コロナ禍の最中、知人の岸本氏が精力的に動いてくれて、大藤風力発電を考える会の立ち上げに奔走してくれた。現職議員と感心を持つ町民有志が一堂に会して、通り一遍に風力発電賛成、反対ではなく、この巨大開発事業が、町にとってどのような影響を及ぼすのかを、利点と弊害の双方から冷静に論点整理して、知見を蓄えていこうという極めて健全な趣旨で、目下動いているつもりではある。そして、その知見が今後我々が主権者として国のエネルギー政策を考える上での、有効な視点の獲得に繋がっていくことをも、眼目としている。その点で岸本氏と私の意見は一致している。その意味で、岸本英昭氏や嶋岡幹雄氏等の40年前の窪川原発を戦った当事者が、この会の構成員であることは、当時当地にいなく、年齢的にも一周り以上下の世代である私にとって非常に刺激的でもあり、頼もしくもある。とにかく私が知っている限り、岸夫しにしても島岡氏にしても、情報を自ら探知し、自分の頭で、倦まず弛まず考え抜き、そして何らかの行動に移すのである。意見の個々の細かな相違はあっても、私はこのような人と連帯したい。その行動する様をいかに評されようともである。そのようなときにこのコロナ禍である。岸本氏は、最初ふるさと未来館の会議室を押さえてくれていた。でも、この高知県下でも日増しにコロナ感染者が増えている。医療センターも幡多県病院も満床を超え、6協力病院の19床も既に3床が塞がっているという。このような時節に会合って無謀じゃないか、と何度も考えた挙句、次善の策を講じるために、四万十町本庁総務課に赴いた。最も広い会議室である東庁舎1階の多目的大ホールを借りれるのか、覚束なかったからである。総務課の担当は佐竹正人氏、配属2年目の庁舎運営管理担当である。

西原:本庁内で、どこが貸会議室として借りられるか。

佐竹正人:公共的団体とか、非営利目的~。

西原:それは申請者要件じゃないのか。

佐竹正人;そうです。勘違いでした。

西原:それにしても一般町民は、借りにくいのか。(公共的団体とか言われると、そのような懸念が沸く。)

ここで、部下の女子職員吉村愛の所に行って盛んに相談し始める。配属2年目にしては業務の把握が乏しいこと夥しい、一体不断何をしているのかと考えながら待つ。吉村の方が詳しければ吉村に対応させればいいではないか。待つことしばし。佐竹氏は、地域交流拠点施設条例を印刷して私に渡した。申請要件の記載や利用料金表もその中にある。これを読めと言う事か。概要位頭に入れて説明しろ、と思う。詳細は条例を見ながら答えればいい。第一公共的団体などという記載はどこにもない。要するに、担当者でありながら条例を読んでいないのである。一読でもしていれば、そこに書かれていることと書かれていないこと位思い出せるはずである。それが無いから部下に聞くしかない。何という弛緩した暇な職場なのだろうか。腹立たしさがこみ上げてくる。条例と同時に、部屋ごとの料金表が表、設備(机、いす、マイク、ホワイトボード等)のありなしの一覧表が裏の紙も、佐竹は私に見せて説明しようとした。裏には、飲食に関する簡単な記載(弁当等は禁止、飲料等は持ち込み可)もあった。マイクが使えるというのは必用な情報であった。広い会場に振り替える理由は、席を離し、窓も全開する予定であったからである。これだけあれば取り合えず間に合うと思いながら、条例とその紙を持ち帰ろうとした。途中企画課に用があり、そこで職員と話していた。すると、佐竹氏が私を追いかけてきて、その最も有用な紙を回収したいというではないか。何で向こうの方から説明目的で私に見せた紙をわざわざ回収しなくてはならないのか、すんなり理解できるだろうか。相手は、こう言ったのである。「メモですから。内部資料ですから回収したい。」私が今、最も必要としている、公共の施設の利用規定に係る記載が、なぜ個人的メモで、内部資料なのだろう。それならなんで私に見せたのか。意味不明の言動ではないかそこで、思わず私はこう言った。

西原:条例中にこの内容に記載があるとあなたが予め確認すれば、これを渡しましょう。私には、この情報が必要ですから。これは本来町民に周知すべき情報でしょう。

佐竹正人氏:周知すべきであるとは思いません。もういいです。

ここで非常に憤りが沸いてきた。総務課のカウンタ―に戻って相手の意図を確認すべきと判断した。そして、佐竹氏にこの内部資料とやらを提供した吉村愛氏に、聞いた。

西原:これを作成した目的は何か。

吉村氏:電話等で問い合わせがあった時にこれを見て答える、前任者が作成した。

西原:それでは施設の利用規定として、対外的に既に周知しているではないか。それがなぜメモなのか。なぜ利用規定として明文化し、町民に周知できないのか。本来するべきではないか。

吉村愛氏:沈黙。

佐竹正人氏:沈黙。

この吉村愛氏は、過去に四万十議会事務局の書記であり、その時の事務局長が田辺卓氏であり、次長が武田絵里氏であった。私は議事録の作成以外に議会事務局職員が一体何をしているのか不可思議で仕方がなかった。それでこの両者に直に聞いてみたのだ。全国町村議会議長会から依頼された調査に協力して、記入シートに記入している」とかの返答があった。所属議員毎の一般質問の回数とか、所属委員会とか、議会活動に係る統計調査のようなものに勤務時間を使って協力していたのだ。そしてその調査結果の集計は、全国町村議会議長会によて為され、最終成果物が議長会から送付され、議会図書室に鎮座している。誰も、議図書室の存在さえ知らないので、この成果物はまず、人目に触れることはない。この全国町村議会議長会には、都道府県支部があり、ここに、町議会から年額80万円の負担金が拠出されている。もうお分かりだと思うが、全国4500相当の市町村から負担金が、県、国と上納され、国家公務員に準じた待遇で、大学卒の優秀な人材が採用され、全国津々浦々の市町村議会事務局の法務機能を担い、会議規則の雛形を作成し、議会制度に関する調査研究を行っているのである。背後に精緻なクモの巣のように張り巡らされた官僚制の手厚い庇護の元に、言われたことだけを粛々とやっている議会事務局の職員は、完璧な思考停止状態であったし、勿論法律や条例など読む必要にも迫られないので、ぞっとするような無知が横行していたのである。議会図書室は、一義的には議員の調査研究目的で設置されているが、一般利用も可である(地法自治法100条)。それを事務局長から聞いたことがあるらしい、当時の書記吉村氏は、その根拠法を全く知らなかった。今もしかりである。偶々問い合わせがあれば、前任者のメモとやらで応答し、それを予め町民に周知する必要性に思いが至ることは一切なかったのである。議会図書室が保管する公文書に関する認識で、次長の武田絵里氏と問答したことがある。認識が余りにも低次元であるので、聞く方の私の語気がついつい荒くなったと記憶する。法律と条令を読まず、理解せず、職位からして年間900万円近い給与を付与されているこのような事務局職員に憤りを覚えるのは、人間として自然な感情であると、今でも私は思う。ところが、である。ここに特筆すべきことがある。

①.次長武田恵理氏は、私が疑義を持たれた政治倫理審査会の呼ばれ、証言し、その内容は、「職員の個人情報保護のため」議事録に残されていない。武田恵理氏が呼ばれたことだけが 秘密会の議事録に残っている。

② 書記の吉村愛氏は、3年間の育児休暇を取り切って復職し、今総務課に配属されている。民間の育児休暇取得の上限は、1年半である。彼女の出産祝いの御祝儀の打診が議会事務局よりメールで来た。法律や条例を読む必要もなく、ただひたすら和気あいあいが重んじられる職場であったと言う事であろう。極端に暇な職場である。

③.現職議員槙野章の不倫相手の女性も議会事務局書記であったことは、注視に値する。異性関係に耽溺できるほど、職員のための究極の福利厚生である心のゆとりが、議長会という背後に存在する盤石の官僚制による庇護によって担保されているのである。因みにこの女性にも職務内容を質問したことがある。回答が振るっている。ここに公開する。

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この回答を見てどう思うだろうか。「議員必携」これも全国町村議会議長会が作成し、議員に売りつけている。議会事務局用は、公費でこれを購入している。何を聞かれても「議員必携」の該当箇所を探し出して終わりである。読んでくださいと言う訳である。当時の議会事務局長の宮地正人氏が議員必携のページを書記に指南している声さえ、電話の向こうから聞こえてきたのである。このような環境を用意されている議会事務局が、法務機能のなど担えるはずはないのである。だらこそ、歴代書記は、地方自治法も読まず、従って議図書室が一般利用できるという法律上の規定も知らず、「一般利用できる公の施設は公に周知すべきである」という発想に全く欠けていたのである。この環境から様々な言語不明瞭が発生し、議会に関する質疑応答を巡る私を含めた一般町民との悶着も発生しているのである。彼らは社会人として半人前もいいところである。まず質問の意図を理解しない。制度を体系的に説明できない。業務上の知識が極端に乏しい。私が、4年前に公務員給与推移表を作成したのは、彼らの給与に見合う職責について、一般の人に再考してもらうためである。そして遅まきながら、彼らの職務実態を今報告してる。

四万十町議会議員  西原真衣

 

 

 

風力発電と蠢く町政(46)

  昨日は「文化的施設と育つ会」主催の「ARCさんを囲んでの」文化施設懇談会」に出た。ARgさんとは一体何か。Academic Resourece  Guideさんである。実に大仰なお名前である。私としてはこの機会にAcademic Resourece Guideさんに是非とも聞きたいことがあった。それはこの町のLibrary Resourceをどう探知、評価,位置付けるかという事であった。私がここで言及しているLibrary Resourceとは、公立図書館以外の教科書センター議会図書室の事である。教科書センターは、高知県が県内6か所に設置する文部科学省教科書検定に合格した図書(小、中、高校)の常設展示コーナーの事である。議会図書室とは、地方自治法102条に基づいて、議会に設置を義務付けられている、議会議員の調査研究に資する資料を取り揃えた図書館の事である。これは一般利用も可能である。この二つの専門図書館は、公立図書館と同様に公費で設置、運営されている図書館であり、一般住民に殆ど知られていない、Library Resourceである。これに対しては、ARDさんには、特にコメントがなかったところを見れば、悉く知識を見せびらかすのが彼らの常態なので、どうも知らなかった可能性が高い。行政の生き血を吸う稼業の割には、随分と勉強不足である。なめられたものである。行政よ怒れ。まあ無理だろう。そのような矜持があれば、そもそもこのようなコンサルは雇わない。ARGの代表岡本真氏は、何でも全国4000館の図書館中、既に2000館を視察したらしく、一つの自治体当たり数年かけて、図書館、美術館、郷土資料館等の複合施設の立ち上げの総合プロデュースを手掛けている自治体職員にそのような意欲や時間やノウハウ(力量)がないので、やむなくコンサルタントに委託せざるを得ない。」というのは一見正論に聞こえるが、本当にそうだろうか。それ以外の可能性はないのだろうか。熟考の余地はありそうである。そもそも外部の知見の導入自体を否定する気にはなれないが、どんなに秀逸、有用な知見もそれを理解、解釈、運用するのは、結局自治体職員なのである。もっと言えば、知見に内在する秀逸さや有用さは、本質的に伝授不可能なものなのである。それを評価導入できるぐらいであったら、それは既に導入側の自治体職員側に内在しているので、コンサルはその時点で必要ではなくなる。その意味では、コンサルタントとは、建築、河川、土木等の工学的な特定の分野を除く、図書館、美術館、人材育成、起業支援、教養教育分野等の人文系においては、自治体職員の人材資源の惨憺たる枯渇状況に寄生する、時代のアバ花のような存在であるとしか、私には思えないのである。

 実際の所、自治体職員に見切りをつけて、古民家カフェ半平指定管理をプロポーザルによって勝ち取った、NPOの代表を務める元四万十町職員は、今や地元コンサルタントとして商工会の起業支援の単独事業を受託するまでに成長したらしい。が、私は、ここにも、事業委託する側の四万十町商工会における、事務局長がまず、恐らく現職議員で商工会会長の武田秀義の斡旋が疑われる、商工観光課課長歴を持つ役場退職者宮地正人であり、さらに、経営指導員と起業支援員の給料の原資が、高知県商工政策課からの補助金4500万円と四万十町賑わい創出課からの補助金1600万円であることが、この地元コンサルタントとなった元役場職員が設立したNPOの町や商工会に事業受注状況に大きく影響していると推測している。更にこのNPOが商工会から受託している事業の事業実態をつぶさに観察してすれば、一件しかないアンテナショップの管理委託料が月に18万円であったり、またそもそも商工会が直に雇用している起業支援員という職種がありながら。起業支援をNPOに再委託しているという根本的な矛盾も見えてくる。

さて、ARGの岡本氏も一朝一夕で自治体事業の受託に漕ぎつけた訳ではないだろう。なんせ先述のNPOと違って全国レースであるので、並み居る競争相手を常に出し抜かなくてはならないのである。図書館に特化したコンサルタントは今までいなかったので占有状態が続いているもかもしれない。ニッチな分野を嗅覚で嗅ぎつけたのだろう。岡本氏は総務省に地域情報化アドバイザーとして登録、自治体から派遣要請があれば、3日間は総務省費用負担で自治体に赴くことができる仕組みである。そこで、取り合えずアドバイザーを呼んでみた教育委員会職員は、岡本氏の自信たっぷりな振舞いとその学識に救世主を見た思いで、ついついそそくさと委託契約を結んでしまったのである。なんだか結婚詐欺に似ていると思うのは私だけであろうか。以下がその契約書である。

 

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これを見れば、自治体職員の人文系素養の枯渇状況こそが、人文系コンサルタントへのニーズを生みだしていることが如実に分かる。岡本氏は、ヤフーで知恵袋を開発した経歴を持つ。今や人文系とは、IOTや5G抜きには語れない時代が到来しているのだろう。IOTや5Gが包摂されていなければ, Academic(学術的)なResource (資源)をGuidance(案内)することなどできないのだ。ところで「ヤフ―知恵袋」は、質問を入力すれば、アルゴリズムによってたちどころにベストアンサーが最上位に表示されることは誰でも知っている。私とて使ったことはある。けれどもベストアンサーを選出するアルゴリズムとは一体どのようなものなのだろう。質問とアンサーのビッグデータから質問類型とアンサー類型を含まれている語彙の組み合わせの(索引機能)から出現確率計算するアプリケーションかと、今考えてみたが、これは新井素子さんが書いた「教科書が読めない子供達」の中に登場する東大の入試試験に合格したロボット「東大君」のアルゴリズムからの類推である。実に岡本氏の座談会における応答ぶりもこれに似ていると言えば似ていた。そりゃそうだ。なんせ開発者なんだから。

 例えば、ある参加者が「図書館と美術館の融合施設全国で何館ぐらいある。」と質問した。「10館です」と岡本氏は即答した。「同じくこの町の文化財で最も価値が高いと思うものは。」これも即答した上で、「逆にここにこんな形であっていいのかと思った。」と付け加えた。即答内容は、私が、文化財に実に疎いせいで聞き取れなかった。参加者の図書館職員が職員同士で目くばせしながら、実にためらいがちに切り出した。「町とパートーナーシップで主体的に図書館運営に関わる住民組織であるサポーターと自分たちは今後どのように関わればいいのか教えて欲しい。」岡本氏は余裕綽々で答えた。「いい意味での緊張関関係を保ちつつサポーターから出てくる要望、提案の無理難題に挑戦していくことで、図書館職員としての成長が期待できる。」が、岡本氏は、同じ参加者である私の質問には以下のように応答した。

質問1:4月に立ち上がる「サービス計画検討委員会」の委員に現場図書館職員が委員として委嘱され、図書館業務における現場で培った知見の披歴を期待されていると聞くが、図書館職員とは生涯学習課所属の町職員(嘱託職員)である。審議会委員の位置付けは、一般住民であるので、委員に委嘱された図書館職員側が非常に解釈に苦しむことになるのではないか。

岡本氏:単年度契約でコンサルタント業務を請け負っている。来年度の事は了知していない。

注釈:議会における執行部答弁に似ている。答えられないを装った答えない答弁である。

質問2:この町のLibrary Resourece(図書館資源)である教科書センター四万十町議会図書室についてのAcademicResourece Giudeさんの見解を聞きたい。

岡本氏:無回答

注釈:見解についいては無回答が通用すると思っている。どうすればいいか以上の要請は想定外、業務外であるからである。それでいて、無理難題への応答が人材育成に繋がると蘊蓄だけは目いっぱい垂れて、「できる男」を印象付けている。所詮図書館とは「女、子供の世界」なので「できる男」が効を奏してきたといういう成功体験があるのだろう。(参照:質問3への回答)

質問3:教育委員会を初め、公務員が少な過ぎ多忙であると繰り返し発言しているが、その根拠は。

岡本氏:東日本大震災時にボランテイア活動経験がある。災害時に緊急出動を要請される公務員数の少なさを実感した。南海トラフにはとても対応できず町が麻痺するのが目に見えている。

災害時(非常事態対応のために常勤世紀公務員数を確保すべしという論法である。百年に一度の水害想定の下に長年建設省砂防ダムを造り続けて来たこ時の論法に似ている。

 岡本氏は行政コンサルタントになる当たって、行政応答アルゴリズムをほぼ完璧に習得している。さすがヤフー知恵袋の開発者だけのことはある。彼に取って、我々を相手にしている限り、目新しい質問など存在しないのである。「何でも知っている男、頼られたら、いつでも相談に乗ってくれ、そうすればいいのかを伝授してくれる男」が、役場内に存在しない以上は、ついつい岡本さんを頼ってしまう周辺の女性たちを責めるわけにもいかないのだろうけれども、私は、「文化施設と育つ会」発足の情報を得た時から、今まで、生涯学習課管理職男性たちによる図書館現場職員(副館長の森山氏以外は全員女性)の知見の収集や活用の意図など微塵も感知できないで来た私としては、「何を今さらコンサルタントの飯の種にされっぱなしでこんなこと持ち出して」としか正直思えなかったのである。「現場の事は現場に聞け」は、言い古されてきた格言のようなものであるが、ここ四万十町では、伝統的に、これができていない。アンテナショップ「四万十の蔵」の二の舞であるで。現場の意欲的な職員が何ら決定権限もなく次第に疲弊していく傍らで、正規職員はとことん資質、能力、責任を問われることなく守られ続け無傷のままである。 

 この文化施設の基本構想にも、「図書館に関わる人として図書館職員、議員、行政職員、一般町民」と記載されていたのを見て、生涯学習課副課長の味元伸二郎氏に、「これではまるで、図書館職員が行政職員では無いみたいじゃないか。」と指摘したところ、「あ、いけない。」とばかりに大慌てで書き直したという出来事があった。その味元副課長のことを「文化財に造詣が深い、多忙であり、その中で最善の仕事をしている。」と褒めちぎったのが、コンサルの岡本氏である。現場と図書館職員には住民組織と共に切磋琢磨してスキルを向上さすことを勧奨していながら、業務委託先を選ぶ権限を持つ担当課管理職だけは必ずよいしょするのである。実に露骨である。それにしても議員を図書館の利用者にカウントするくらいなら、図書館構想における議会図書室の位置付けについてまずは答えろと、私は思う。無理に答えさせれば委託業務外であると言いそうであるが、ARCの一行が座談会の会場に登場した時には、既に生涯学習課課長林瑞穂氏は退席していた。私は、生涯学習課管理職の林氏と味元氏の両者には、基本構想策定の時点で、「議会図書室と教科書センターを視座にれるべきではないか。」と進言していた。だから、コンサルが業務外と言うならば、業務の仕様決定の責任は彼らにある。林課長が同席していれば、そこを詰めれたが、正規職員が職位が上がり管理職となるにつれ、危険を察知し、逃げるタイミングの見計らい方だけはスキルアップの一途を辿るのであろう。役所という生態系の特質がここに出ている。役人とは、いざと成ったら逃げる方向に適応、進化している種族なのである。そのスキルを職場で日々見よう見まねで習得しているのである。だから岡本さん、災害時に彼らは逃げるに決まってるじゃないですか。本当は分かってるんでしょう。全く人が悪いんだから。嫌あね。

 

四万十町議会議員  西原真衣

 

風力発電と蠢く町政(45)

 2月20日の9:30から四万十町議会教育民生員会が開催された。付議事件2が、複合文化施設となっていたので傍聴に出かけた。とにかく図書館のことは気になるのである。櫂は、林生涯学習課課長が、経過報告目的で招聘されていた(事前確認済み)。ところが、今回は、付議事件1で大いに引っかかってしまった。案件は、陳情審査であった。

陳情内容:サッカーの公式試合ができるような人口芝生の多目的総合グラウンド整備

人口減、特に少子化が進むこの町で今更、そのような施設整備が必要なのか理解に苦しむというのが私の率直な感想である。金上野総合グランドもあれば小、中、高校には運動場があり、小、中、高共、少子化による統合が視野にある時期にである。非現実的な要望というのが、私の個人的感想であった。ところが、驚いたことに、この陳情を受けた四万十町教育委員会生涯学習課は、昨年6月時点で、要望者2名と共に、中尾町長、生涯学習課社会教育担当職員で、徳島県吉野川市の上桜スポーツグラウンド視察に公費で同行していたのだ。この要望者に二人のうち一人は、木質バイオマス事業の川下業者(木質バイオマス燃料の需要者)である養鰻場経営者で、もう一人は、ごく最近年齢を理由に現役引退した年配のサッカー指導者であり、中尾町長の後援会長でもある人物である。つまり町の施策と長の選挙に関連した人物なのである。収賄斡旋疑惑(議員の地位を利用し町の人事に介入した)を持たれて、辞職勧告を受けたことのある私としては、実に看過し難い事象である。陳情、請願権は、憲法に明記された国民の権利である。陳情すること自体は全く問題ない。議会のHPには陳情請願の仕方が記載されている。原則何人でも、陳情、請願を議会に提出できる。陳情提出者の、氏名、住所、捺印が必要であり、一定の書式がある。町に対しても同様に提出できる。原則文書で、提出者名は明らかにする必要がある。つまり、匿名で出所不詳の物は受理されないという事である。これは考えてみれば、当然のことである。行政や議会という公的な機関に対して、ある要望を出すのである、これに対しては町も議会も誠実な対応と結果の通知を求められる。だから、提出者の氏名、住所、連絡先は、要望提出先に対して明らかにされなくてはならないのである。私の知る限りでは、町に提出された陳情は、陳情処理カードによって陳情内容と処理及びその結果が、起案、決裁、処理、記録されている。ところが、上記の陳情が文書で提出されたのが昨年11月であり、視察同行は6月である。陳情を正式に受理する前の視察同行である、単なる出張命令だけで公費で同行している。ゆえに陳情処理カードにもその記載がない。「桜を見る会」に似ていないだろうか。一部の人間が町民の知らないとこ税金で饗応され、特別扱いされているのである。中尾町長は、選挙の功労者から依頼を受ければ二つ返事で即公金を拠出して、その要望に沿うのである。川上教育長にしてもしかりである。この教育長は、高瀬満伸町長時代から、当時は教育委員であったが、何かと町長室に駆け込むことで有名であったらしい。高瀬氏がマラソン仲間の川上哲夫氏と谷脇健司氏を教育委員に推薦したのは、私がかって取った裏情報であるが、彼らの今までの言説から、さもありなんと頷ける。彼らの公式発言かして、教育行政に対する素養があるとは到底思えなかったからである。川上氏は、今の教育長職にも当時の宮地章一四万十町議会議長兼土地改良区会長会長の計らいに中尾町長が応じた経緯があるので、この川上教育長が中尾町長の後援会長の依頼に応じた中尾町長からの依頼の即時に応じるのは目に見えているのである。されど私は、この事態の異様さに警鐘を鳴らしたい。なぜなら教育委員会はそもそも首長から独立した独立行政委員会という建前の組織である。だから教育委員は、首長が選任し、議会の同意が必要とされる。教育行政の執行機関は教育委員会である。教育長は、教育委員によって監視されるべき執行機関教育委員会代理人である。四万十町教育行政においては、この法的な位置付けが全く不問にされている。これは由々しいことである。なぜ由々しいかと言えば、教育行政がこれによって恣意的に歪められ、機能不全に陥り、町民に対する説明責任を回避し続けることになるからである。ここも安倍政権とそっくりである。たかが町政と侮ってはいけない。時代の空気はシンクロ(同期)しているのだ。本来ならば法に体現された制度の趣旨に沿って、教育委員会に提出された陳情、要望は、まずもって教育委員会定例会にかけられるべきである。教育予算の提出権こそないが、予算案に関して事前審議と長に対して意見を挙げる権限を持っているのが教育委員会である。教育長ではない。だからこそ陳情は、事前に視察同行させたりする前に、正式な要望提出を待って教育委員会で審議すべきなのである。小中学校の教員の人事権は、高知県教育委員会にあるが、教員の内申を県教育委員会に具申する権限は市町村教育委員会にある。その為の校長ヒアリングが定期的に開催されている。川上教育長は、この教育委員会の教育関連予算に対する事前審議権限と教員内申の具申権限についての、法に基く正確な理解が乏しかった。法律名は地方教育行政の組織と運営に関する法律である。議事録からそれが判明した。教育予算の事前審議(議会提出前)を非公開でやっていたのである。理由は、議会提出前であるからというものであった。槙野章産業経済常任委員会の委員長の非公開理由とそっくりである。相手が相手の判断、責任で出してくる前は非公開が無難であるという発想しかないのである。法律の趣旨や理念は関係なし。自己保身と思考停止があるだけである。ここは、安倍政権の加計学園問題にそっくりである。かくて、我々町民は、つまり主権者は主権の行使に当たって必須の情報基盤を侵食される。本来非公開にすべきものでもないものが非公開になる。これは厳然たる汚職行為である。教員人事に関する校長ヒアリングもかっては教育委員同席であった。教育委員が校長に質疑できた。そして最終的に教育委員会定例会の席で県教育委員会に具申する内申書の内容に教育委員が一人一票で合意する。教育委員にとって校長ヒアリングの場は判断材料を得る場である。ところが今は、教育長と次長のみが校長ヒアリングを実施している。川上哲夫教育長が最も忌避していることは、情報の共有とそこから来る判断の根拠を問われることである。判断の根拠を示す。これこそ教育行政の要であるにもかかわらず、これに真っ向から反することが、肝心の教育長によって実践されている。つまり彼は最も教育長に向いていないメンタリテイの持ち主なのである。勿論川上氏の選任責任は、中尾町長と四万十町議会にある。議会に至っては、教育長に説明責任を負わせまいとする計らいが随所にあった。前回書いた、一昨年8月の大正中学校ソフトボール部部活事故について、事故調査結果報告書は議会に開示されなかったし、それを問題視した議員は私を除いて誰もいなかったのである。高知県教育委員会長小学校教育課に報告書が提出された。それだけである。教育行政は、国、県、市町村の縦割で自己完結し、なべて対外的な説明責任を果たそうとはしないのだ。私が本会議で、事故調査委員会の構成と事故調査報告書の共有範囲を質しても、酒井祥成議長は、「答えがなければ答えなくてもいい。」としか議事整理しなかった。では今回の、陳情案件での教育民生員会の審議内容は、果たしてどのようなものであったのか。目撃者としてここに事実を報告したい。まず、四万十町議会教育民生員会の構成は、委員長、中屋康、副委員長、村井真菜、岩井優ノ介、緒方正綱、酒井祥成である。

緒方:町長の意向を確認した。規模や予算額、立地について具体的なな要望がなければけない、と言うのが町長の意向である。委員会が規模や予算額、立地について調査検討する必要はない。このような要望が次から次へと上がってきたら対応に苦慮することになる。

酒井:声が大きい人間の要望が通るというのは好きではない。要望の趣旨が分からない。そもそも必要なのかどうかをここで審議すべきだ、必要があれば本来このような社会体育施設設備については、総合振興計画や、過疎自立促進計画中に織り込んでいるべきである。この資料(上桜総合グランド)でも整備費が16億円で過疎債が使われている。防災関連予算を充当するとすれば、サッカー協会公認公式試合の開催施設という事になれば、防災時の仮設住宅建設等の使用範囲が制限される可能性もある。

岩井:陳情は、町民からの政策提言と位置付けると議会基本条例にも書かれている。

村井:要望に対応するというのは大事なことである。町民の要望が通れば、町民側に町政に参画するという実感がわき、町が活性化する。

生涯学習課課長林:教育委員会としては、窪川高校のグランドが使えないか、社会体育委員会の諮問したら、ソフトは土の上でやる、総合グランドは残して欲しいとの意見も聴取した。人口芝生は導入コストはかかるが維持管理が容易である等の調査はした。目下要望者と協議中であり、いつまでに結果を出すとかは未定である。

中谷:町がある程度結論を出してから我々もそれに歩調を合わせたらと考えている。

酒井:これは内々の話だが。

緒方:課長がいるので、これ以上話を広げるのも難しいと思うが

この中屋、緒方、酒井の三者の発言からうかがい知ることができるのは、委員会の席に課長を呼ぶ目的の本質が、聴聞による調査とそれに基づく委員間の審議と討議ではなく、間もなく到来する本会議での委員会発表のための、情報収集とすり合わせである、ということである。委員会採決のための審議、討論のための情報収集ではない。だからこそ、委員会議事録は公開を渋り続けているし、私が過去に一般質問通告した「委員会の録画放映」は「議会内部の問題」として却下されたのである。中谷、酒井、緒方は、任期を重ねたベテラン議員である。が、本来議会に内々などあってはならず、止むを得ない一般人の個人情報が含まれる案件以外は全て議事録を公開するべきである。

中谷:町がある程度結論を出してから我々もそれに歩調を合わせたらと考えている。
酒井:これは内々の話だが。
緒方:課長がいるので、これ以上話を広げるのも難しいと思うが。

が調整済みの議事録に挙げるかどうかが、見ものであるが、私はこれを直に聞いた。

村井と岩井が、年齢こそ離れているが、議会内部の純朴な(?)ポピュリストであることも発言から伺われる。けれども議会は、本来的には、行政と擦り合わせる必要もなければ町民に迎合する必要もない。その意味では、町民からの要望に対しては、全町的な視点での要、不要の見極めがまずは必要であるのではないか。その点では酒井議員の発言が正論であると思う。町民代表であるから町民からの陳情を受理する責務を負っているのである。町民は町にも陳情を提出できる。これも全て日本国憲法請願法が根拠となっている。だから町の陳情対応について議会が聞き取りを行うのは自由であるが、それはあくまで町の対応を監視し、質すのが目的であるはずである。それが二元代表制の制度の趣旨である。それなのに、四万十町議会教育民生員会の面々は、「歩調を合わす」だの「内々」だの「課長が居るから議論が広がらない」だのと、まるで楽屋裏の打ち合わせ会議の体を臆面もなく晒してしまっている。傍聴者がいてこうである。つまり彼らはそれが問題だとは全く思っていないのである。。何という恥知らずな振舞いで有ろうかと、私は思う。「衣食足りて礼節を知る。」とは孔子の言葉であるが、彼らはどっか,依然として、極めて失礼ながら、本質的に衣食が足りていないに違いないと思うことしきりである。議員報酬引き上げの時にこれを痛感した。名誉欲と権勢欲、そして吝嗇と好色が錯綜しつつ、決して次世代にバトンを渡そうとしない、今の日本の老害政治の縮図がここにある。雄猿は雄猿いつまでたっても、生きている限り縄張りを拡張し、メスを占有し、他の雄に威勢を張りたいのであろう。実に御苦労さんではあるが、海の向こうでは、我が世の春を謳歌していたハリウッドの大物プロデューサー・ワインスタインが、MeToo運動のうねりを引き起こした、彼の性犯罪で被害者となった複数の女優からの告訴が結審し、禁固25年の実刑が確定したというニュースが流れてきている。かっての人もうらやむ栄華を誇った雄中の雄が今や、歩行器に縋って法廷に向かっている姿が世界で放映されている。おそるべし、女禍である。昔の映画タイトルにあった「女はそれを我慢できない」から来る執念の結実、快挙でもある。四万十町議会に長年生息してきた方々に対しても今、私からの一押し映画として、取り合えず推薦しておきたい。

 

四万十町議会議員 西原真衣

 

 

 

 

 

風力発電と蠢く町政(44)

予算の可決と否決

平成31年度当初予算案に対して、質疑の後に岩井優ノ介議員から反対討論が出た。

反対意見の趣旨は、「10月に予定されている消費税増税対策であるプレミアム商品券予算等を織り込んだ予算編成となっているから、消費税増税反対の立場で予算案に反対する。」というものであったらしい。一見なるほどである。けれども予算案とは一般会計、国民健康保険特別会計国民健康保険大正診療所特別会計、国民健康保険十和診療特別会計、大道へき地診療所特別会計後期高齢者医療特別会計介護保険事業特別会計簡易水道事業特別会計、農業集落排水事業特別会計、下水道特別会計、水道事業特別会計毎に議案を構成しているのである。ここで一般会計予算案が、質疑、討論、議決を経て初めて一般会計予算の執行が可能になる。後も同じである。岩井議員は、共産党所属議員であり、田辺哲夫議員と会派をなしている。この3月定例会には、共産党有志からの「消費税増税の反対を求める陳情書」も四万十町議会に対して提出されていた。つまり、共産党は消費税増税に党を挙げて反対であったということである。それは、本質的に自由な、政党としての公式見解である。ところが、四万十町議会ではこれに、妙な物言いがついた。議会での妙な物言いには慣れっこになってしまった私ではあるが、岩井議員の反対討論に次ぐ、堀本伸一議員の賛成討論の内容という形で展開された妙な物言いについて、深い疑義を覚えたので、ここで改めて検証してみたい。堀本議員の賛成討論を議会議事録から抜粋する。

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今、岩井議員のほうから当初予算の編成の中で、疑義が感じる予算があると。そういう場合には反対ということで討論がありましたけれども、予算の仕組みとして、そういった状況が理由として、予算に対する反対を感じ投じたら、この予算の中で全ての予算に対して、各議員が賛成の意思を持っておられるでしょうか。ですから予算の編成に対する討論ということになれば、私はそういうものではないと認識をしております。ですから私も気になる予算のところがあります。それを、それぞれの議員がそれを理由に否決したら当初予算は飛びますよ。ですから、予算の編成というのはそういったことが理由で反対ということにはならないと私は思います。

これに対して当の岩井議員からも反論は出ていない。なので結局、この堀本議員発言があたかも正当であるかのような印象だけが残ってしまったのである。堀本議員の言うように、予算案に個々の議員が各々の対場で反対したら、本当に当初予算が吹っ飛ぶのであろうか。もしそうであれば、なぜ、予算案が一議案として上程され、質疑、討論を経た議決の対象とされているのだろうか。反対多数で予算案が吹っ飛ぶという仕組みが本当にあれば、どの議員も恐ろしくて反対などできないのではないか。堀本議員には是非この質問には答えてもらいたい所ではあるが、地方自治法とその公式解釈(総務省行政課が示すものをここではそう呼称する)によれば、予算案は吹っ飛ばないのである。

議案に対する議決権は議員各位に付与された基幹的な権能である。だから、勝手であろうがなかろうが、議決権の行使は各議員の完璧な裁量の範疇にある。その行使結結果如何(否決に至る可能性)を踏まえた規定が地方自治法には明記されている。以下がそれである

地方自治法176条第1項

長は、議決の内容に関して異議があれば、再議に付すことができる。否決によって、再議に付さねばならないものは、

地方自治法176条第4項

議会の議決がその権限を越え又は法令若しくは会議規則に反するものと長が認める場

地方自治法177条第1項

収入また支出に関し執行することができないものがあると長が認める場合

地方自治法177条第2項第1号

義務費を削除または減額する議決をした場合

地方自治法177条第2項第2号

非常災害等に要する経費を削除または減額する議決した場合

再議に付して尚且つそれが出席議員の2/3以上の賛成により再議決された場合は、長はその議決に拘束される

注釈:義務的経費とは、法律や条例で執行が予義務化されている予算枠を指す。

概括すれば、否決によって予算が執行できなくなるのを防ぐための予防措置が法に規定されている。それでも最終的に否決されれば、それは、議会の長への不信任を意味する。長には占有的な予算編成権、提出権が付与されている。予算案哀愁否決には議会解散で対応できる。若しくは辞任する。これが長と議会の対峙、拮抗関係であり、議会の長に対する監視権能の本体である。堀本議員をはじめ、他の議員もこの基本原理を理解していない。若しくは理解していない振りをしている。いずれにしても、実におぞましいことである。

議事録によれば、岩井議員は消費税関連予算が織り込まれているがゆえに、一般会計当初予算案に反対したのであり、議決権を行使できる以上、反対討論に立ち、反対に賛同を求め最後に反対票を投じる権利は当然ある。その前段での反対討論である。反対意見への賛同を募るものであるこの岩井議員の反対討論に触発された形での堀本議員の賛成討論が続いたが、予算案が一議案である限り、それに反対する権利は全ての議員にある。だからこそ、上記の方の規定が存在するのである。従って予算の編成に対する討論ということになれば、私はそういうものではないと認識をしております。ですから私も気になる予算のところがあります。それを、それぞれの議員がそれを理由に否決したら当初予算は飛びますよ。ですから、予算の編成というのはそういったことが理由で反対ということにはならないと私は思います。という内容の堀本議員の発言は本質的に虚偽であ。が、誰もこれ反論できない実態が存在したことを、町民は注視すべきである。このレベルの法律知識さえないがゆえに、このレベルの堀本議員の議会のフィクサー気取りの作為的なミスリードが議場で通用しているという事である。そしてそれに、議員はおろか執行部さえ、誰一人反問さえしない。平成21年の議会基本条例制定後には、執行部は議長の発言許可を得たならば、反問できるのである。私の知る限り、執行部が反問権を行使したのはわずかに2回である。1回目は、自由討議の最終場面での中尾町長の反問である。

ケーブル中継を見ている多くの町民の皆様にあたかも公平公正な補助事業が執行されていないような印象を与えるは発言がありましたが、私はあくまで公平公正に補助事業を執行しております。

2回目は、私の一般質問に対して、川上哲夫教育長が行使した反問権である。

町長室である人を推薦したと16番議員は発言したが、推薦というのはどういう事かな、私はこの行為は、四万十町議会議員政治倫理条例違反であると思う。私には、政治倫理審査会の立ち上げを要望する権限はないが、ここはぜひ、議員の皆さんに政治倫理審査会を立ち上げていただきたい。

上記2か所しか、私には、記憶にないのである。敢て注釈すれば、中尾町長の反問内容は、単なる自己喧伝であり、議論が全くかみ合っていない。補助事業が、公平、公正に行われているというのは証拠、具体性に基づかない、自己喧伝でしかない。

川上教育長発言は更に、奇妙奇天烈である。私からの推薦後、森副町長からの公募導入の勧告を経て、教育委員会定例会で公募ではなく選任と決定したのは、川会教育長その人である。私は公募を受け入れたし、推進者の名前も出していない。私に取っては単に、公募によらない選任という名称の縁故採用(役場退職者や学校教員退職者に退職後のポストを占有的に提供する)の悪習を立つ目的の試行であった。

総じて、議会の参加者が、法律や条例に無知であるために。虚偽が通用し、議会が空転し、結果的に既得権だけが守られていくのである。既得権とは、具体的に言えば、情実人事の横行に留まらず、補助事業の周知が特定の事業者に偏る傾向や、中には特定の事業者が、補助事業の制度設計を町に働きかけている実態もある。また、本来不必要である職員の時間外勤務も後を絶たない。議会の監視機能とは、これらの諸問題に具体的にメスを入れ、行政の事務事業遂行の実態を露見させ、その露見によって、執行体制の是正を促すことである。そのためには、行政の事務事業執行の詳細を事前に綿密に調査するしかないのである。私はこれを実践していた。自分のやり方が唯一とは思わないが、不当であるとは全く思えない。これによってしか、抑止力は生じないのである。職員の時間外手当追及は、味元和義議員の十八番となっている感があるが、味元議員は基本的に不勉強が著しい議員であり、かっての同僚議員よれば、自分を詐欺師と言ってみたり、はたまた聞予算書を議員ロッカーに入れっぱなしであったらしい。それはそうであろう。増してや法令等真面目に読むはずもないのである。その証拠が味元議員の議場の見せ場「職員の残業問題追及」場面である。答弁に立った清遠総務課長は、「職員が特定される恐れがあるので課名や職務内容は言及を控える。」と答弁してきた。味元議員は、それ以上は追及しない。そこから始まるのは単なる味元議員の与太話的な説教である。「自分は自営業で汗をかいている。そのようなやり方は、民間企業では通用しない。民間感覚を持たなくてはいけない。」が定番である。議会とは、説教する場ではないし、教え諭す場でもない。実態を明らかにする場である。四万十町情報公開条例にも、個人情報保護条例にも、一読すれば分かる事であるが、職員の氏名、職務内容は個人情報に該当しないと明記されているのである。従って法外な時間外手当を発生させている職員の氏名及びその時間外職務内容は、個人情報ではない。本来はこれを根拠に本会議で時間外職務内容を詳細に答えさせるべきである。その際、その時間外が止む得ない正当な職務内容であれば、本人には何ら不利益を与えないはずである。条例の趣旨はここにある。「職員の氏名、職務内容は個人情報に該当しない」には、対外的に説明できないような時間外勤務を抑止する趣旨、実効性があるのである。

これが議場で質疑する側(味元議員)にも答弁する側(清遠総務課長)にも理解されていない。私は断言する。彼らは条例を読んでいないのである。前述の堀本議員に至っては、総務常任委員会委員長であった時、味元議員に進言されて時間外実態調査を実施した。私は当時、総務常任委員会委員であった。各課から管理職を委員会に招聘し、半日掛りで実態調査を実施した。各課に堀本委員長が作を要請した資料は、「時間外の月別平均値」であった。委員会冒頭には、「この調査の目的は職員の福祉の向上である。」と発言した。更に「調査結果によっては正規職員の増加も視野に入れる必要があるのではないか。」とも発言した。そしてその調査結果を執行部に送付さえしなかった。この堀本議員、親類縁者に役場職員が多い(子供及びその配偶者)のは、果たして偶然であるのか、はたまた、過去の私の議会質疑「シルバー人材センター事務局長と教育研究所所長、しまんと町雇用創出協会事務局長が、歴代役場退職者と学校教員退職者で占めらえているのは問題ではないか。」に対する中尾町長答「役場退職者と言えども優秀な人材は排除できない」を捩れば、「 現職議員の子弟と言えども優秀な人材は排除できない。」であったのだろうかと考えざるを得ない、堀本伸一議員の公式発言の数々なのである。いずれにしても私としては道半ばである。退職後ポストが町の補助交付団体である組織、具体的には、シルバ人材センター事務局長、教育研究所所長、しまん町雇用創出協議会事務局長、商工会事務局長の当該ポスト就任者に関しては、「公務員退職者だからと言って排除できない優秀さの持ち主であるかどうか」を実証検分するという仕事がまだ残っている。ある程度の進捗もあるのでこのブログで、その実証結果を追って四万十町民に報告したい。

 

四万十町議会議員  西原真衣

 

風力発電と蠢く町政(42)

ああ図書館、されど図書館

「図書館ってどんなところ」

高知県の小学生は「図書館」について、「どんなところか知らない」とされているらしい。「図書館ってどんなところ」というのは、四万十町人材育成センターが「地域つなぐ人材育成事業」の一環で実施した「子供議会」の準備のための総合学習の時間の一部が、四万十ケーブルテレビで報道されていた際に、生涯学習課が、文化施設建設のために雇ったコンサルタント岡本真氏が、窪川小学校6年生の授業に入った際のスライド教材のタイトルである。そのタイトルの下は、「日本各地の図書館」であり、長野県立図書館や、岐阜にあるメデイアコスモスが紹介されていたらしい。早速この2館についてネット検索をしてみた。

長野県立図書館:平賀研也

 館長:平賀研也氏の経歴からして、館長の属人性に頼った斬新なコンセプト狙いの公立図書館づくりを目指している。館長は、中央大学法学部、アメンリカのイリノイ州立大学経営学部、ヤナセ(外車デイーラー)企画、法務部門管理職、NIRA(公益財団法人総合研究開発機構 発刊月刊誌「NIRA政策研究編集、長野県伊那市立図書館という華々しい経歴の持ち主である。

岐阜市立図書館メデイアコスモス

メデイアコスモスという命名からして察するに、あらゆるメデイア(媒介物)を提供する

という趣旨であろう。アナログからデジタル、そして視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚の五感を通じて入って来るあらゆる情報といったところだろうか。その内実はともかく、現代の図書館構想のある種のプロトタイプ(原型)であろう。

 ところで地元四万十町では、四万十町議会教育民生員会が招集されていた。事件に、「複合施設」とあったので、傍聴に出かけた。会場は議会図書室である。ここは、議会だよりの編集と会議の場としてしか活用されていない。設置目的は、「議員の調査研究のための資料の収集」となっているのだが、彼らは調査研究していないのだろうか。

委員会審議内容からどうも、新たに土佐市の複合文化施設を視察したらしい。以下が概略である。

岩井優ノ介議員:今までに視察した県外の図書館に比べると、住民参加という面で各段に見劣りがする。町立図書館は子供の利用が少ないと聞く。子供の動線は、学校配置かららして学園通りなので、立地は学園通りが良いのでは。

村井真菜議員:緑林公園周辺地が、中高校と近くて、高校の存続面からもいいのでは。

一方、対等合併だったはずなのに、十和地区と、窪川、大正知己には教育格差がある。

旧庁舎跡は、交流の場、駄馬と言う感じはない。十和では、旧昭和中学校跡地利用で図書館やアート作品の工房づくりができないかと働きかけたが、振興局に利用予定があると一蹴された。

酒井祥成議員:合併時に教育基本法に基づいた計画が織り込まれていればよかったが、その余裕がなかった。旧昭和中学校は、高齢者住宅利用が言われていたが、自宅の管理ができなくなるという理由で、自分が一般質問で止めた。十和の診療所も老朽化している。現況では、行政側の動きが分からない、議会に報告がない。予算計上まであと2年、総事業費16億で、合併特例債が財源らしいが、全員協議会で、委員会からこれまでの経緯を報告しなくては大正、十和の議員は図書館に関心がないまま議決になりかねない。

緒方正綱議員:学生目線に立てば、緑林公園周辺地への用地買収をしたほうが良いのでは。旧庁舎跡は、鉄道が近く学童の安全確保上に問題がある。

村井真菜議員:「子ども議会」で、図書館内に障碍体験コーナーを設置することに全員が賛成したことに感銘を受けた。旧庁舎跡は、近所で聞いてみれば誰も、複合文化施設予定地とは知らなかったし、今職員の駐車場に使われているので、ここに文化施設ができれば職員が駐車場を別の所で借りなくてはならなくなるので、職員に経済的負担がかかることになるのは好ましくないと思う。

それぞれが感想、実感を述べている。審議というより、座談会である。

「行政から報告がない」のは、行政を議事説明員として委員会に呼ばないためでもあり、それ以前に各議員が担当課に問い合わせたり、検討委員会の議事録等読まないためであり、各議員の「自己責任」である。さらに、酒井議員の、「十和、大正の議員は図書館に関心を持てない」は、上記の窪川小学校で児童に見せられたスライドの表題と同様に、図書館らしきものがない環境下で育っているので、何歳になっても、「図書館ってどんなところか知らない。」ので、「関心などまず持てない。」と教育民生委員会の長老酒井祥成議員は、赤裸々に語っているのである。おまけに旧昭和中学校を高齢者住宅化する子ことに関しては、「自分が一般質問で止めた」という自画自賛振りである。実態は異なる。大正、十和で開催した住民説明会の場で、十和地区の住民意見の趨勢は、「何のためにそのようなものがいるのか。」であったからである。酒井議員が、「自分が一般質問で止めた。」と言うのは、酒井議員本人が文献(住民意見を集約したもの、健康福祉課が作成)に疎く、文献に当たる習慣を持っていないことから来る事実誤認である。これは、議会の長老としては、実にいただけない。我々は、文字文化を生きているのである。口承による部族社会の住人ではない。ましてや行政とは、文字、文書によって正当化された統治機構の事である、その監視役である議会が、文書のありかに疎くては、監視は全く不可能なのである。これは、国会を見れば一目瞭然である。文書のありかこそが、説明責任のありかである。その意味では四万十町議会の長老を自認していると思しき酒井祥成議員には、そろそろ、ダグラスマッカーサー元帥の残した名言「老兵はただ去るのみ」で有終の美を飾ってもらいたいところである。さて、

図書館に関心がないのは、

①.図書館が身近にない(実際はある)。

②.本人に読書週間がない。(学校には読書の時間がある。図書室もある。)

③.①②と連動して親が図書館に行かないし、自宅で本も読まない環境下で養育された。

なんだか、どっかで見た子供の「貧困」調査と項目がダブってきたが、要は経済的背景と余暇の問題が、読書習慣図書館問題の背景には必ずあるのではないか。その意味では村井真菜議が発言したように、十和に図書館がないというのは、「親の貧困と子供の貧困が教育格差を媒介して連鎖する。」という側面からの、図書館環境における教育格差の現れであることは間違いがないと思う。養育環境とは、世代を跨いで原因ともなり結果ともなる。酒井議員は村井議員からすれば父親というより祖父に近い年齢であろうが、村井議員は知らないだろうな、と私は思うのである。私が議員の時に、「議会図書室」について、一般質問通告を出したら、当時の議運営委員会は、これを認めず、却下した。理由が振るっていた。「議会図書室は、議会内部の問題であり町の一般事務ではない。」

議会図書室は、断じて議会の占有物ではない。議会図書室は、地方自治法上に明記された、議員の調査研究目的で設置が義務付けられ、一般人も利用できる議会内に置く公共施設なのである。そもそも、地方自治法は地公共団体に議会を置くと規定している。議会とは地方公共団体内の意思決定を担う最終意思決定機関なのである。それであれば、議会に内部などあるはずもない。これを理解しなかったのが、当時の議会運営委員長堀本伸一議員であり、議長酒井祥成議員であったのだ。「西土佐生まれ四万十育ち」をキャッチフレーズに選挙を戦った村井真菜議員は、地元出身議員のかような認識、判断が教育格差の原因なのか、結果なのかに、今や頭を悩ますべき時が到来しているのである。人は皆な悩んで大人になったのであるから、ここは大いに悩んでもらいたい。

この教育民生員会には、複合文化施設検討員会の公募委員である酒井紀子氏も傍聴に来ていた。酒井氏は、3人の子供の子育て間最中で、子供のため(もちろん子供だけではないが)の図書館環境作りに積極的に関わっている。酒井氏は、図書館基本構想と図書館基本計画策定公募委員として過去4年間関わり、今は新しい図書館運営に町と対等な立場で関わる住民パートナー組織として「図書館基本計画って何」というてテーマで住民懇談近く開催する予定とのことでもある。その積極性と行動力が実に頼もしい。私としては、傍聴人が一人より二人の方が実に好ましいという内実もある。窪川小学校に戻って、人材育成事業の一環で開催された「子供議会」の準備には、複合文化施設コンサルタント岡本真氏が、事業委託を受けたNPOlifeの企画で関わったということらしいが、CATVで放映された子供議会を締め括った岡本氏の言葉に、私としては、強く反感を覚えたのである。

岡本氏:ホテルに併設された図書館は、箱根の「本箱」にしても利益を追求することが目的の民間企業がやっています。ここは一点抑えておくべき点であるかなと。だから行政側の答え(図書館が併設された図書館を作ると、人件費が増額するし、職員の労働時間が長くなって働き方改革にも逆行する)は、致し方ないのかなと思います。けれども民間と違って町がやる図書館の目的は町民を幸福にする事です。だから図書館行のバスを出すことも出来るし、図書館でお泊り会だってできるんですよ。

確かに、コンサルタントの言う通り、箱根の図書館付きホテル「本箱」は、ホテルに図書館機能を付けて、ホテルを差別化する、ホテル経営の新たなビズネスモデルとして紹介されていることが多い民間企業の取り組みである。けれども、子どもがバスに乗って図書館に行きたいと思うだろうか。図書館でお泊り会をしたいと思うだろうか。私は、違うのではないかと思う。子供は、子供達だけで、監視されず、叱られず、気がねなく、飲み食いしながら、寝そべりながら、心ゆくまで、友達とゲームをしたり、漫画を読んだりできる「空間」が近場(徒歩や自転車で行ける距離)に欲しいのではないだろうか。「ホテルに併設されている図書館」とは、子供たちが日常の中ではなかなか見いだせない、学校でも家庭でもない、大人の監視から逃れた自由な時空間に本があるといい、という隠れたメッセージではないかと、私は思ったのである。町が本当の意味で町民の幸福に意識が向いていれば、コンサルに言われるまでもなく、子供の発言から気が付くことではないだろうか。村井真菜議員が発言したような、「子供議会」で、図書館に障碍体験コーナーを設置するに全員が賛成したなどは、おそらく(私は、子供議会をつぶさに見る機会がなかったの、確信をもっては言えないが)、今時の子供たちが晒されている大人環境の空気を鋭く読んだ挙句の「ポリテイカルコレクトネス」発言の類ではないかと、私は想像する。尤も議会内部における最年少の子供である村井真菜議員自身が、議会内長老の受け狙い的なポリテイカルコレクトネス発言をたびたび弄している。大人になるための修練は、かようにエンドレスである。そのような中で、上記の子供議会発言に実にのうのうと及んだコンサルタントの岡本氏は、昨年7月に開催された図書館フォーラム(出席者の大半が生涯学習課職員、企画課まちづくり推進課職員、子供の絵本の読み聞かせサークルのメンバー図書館嘱託職員、一般人は私を含めて2,3人という会合)で、参加者の私が、出席していた生涯学習課課長に対してシンポジストの一人の刈谷委員(酒井氏と同様複合文化施設検討員会の公募委員の一人)が、「図書館は、子供だけでなく、親の私にとっても、継続的に貴重な学びの機会を提供し続けてくれる所であって欲しいと思う。」と発言したのを受けて、私は、出席していた林生涯学習課課長に対して、「生涯学習課課長の林さんは、自分事として、この地でどのような生涯学習の機会を得て来ましたか。それについてこの機会に聞かせてもらいたい。」と発言した。するとしたことか、ファシリテーター役のコンサルタント岡本氏が、「このような場での役場の人の発言が後で、どう言ったこう言ったと、外で言いふらされると、役場の人は何も言えなくなるんですよ。町民と役場が対等な対場で座談会形式でやっていますから、答えたくなければ答えなくても構いません。」と、まるで、議場における議長と見紛うが如き尊大な議事整理をしたのである。その前段では、岡本氏は、「私は役場に雇われていると思っていません。町民に雇われていると思っています。図書館作りは町民の合意形成に時間をかけることが、最も重要です。今日のフォーラムもそのために企画しました。仮に私に任せてくれたら、図書館計画は、1月足らずで完成させることができますよ。」と発言したのである。その後、一呼吸おいて、コンサルタントに手厚く庇護された(雇われ人が雇い主を庇護したのである。)格好の林生涯学習課課長は、何だか気の毒なことに、緊張し、意を決したような面持ちで、「図書館と自分との関わりという事ですが、高校生の時は高知市に居たので、夏場は県立図書館に冷房目当てで行きました。仕事では、大正町教育委員会で図書館担当で、寄贈本の受け入れに関わりました。」と、私の問いかけに答えて発言したのである。ここで問題、

この林氏は、「自分と図書館」というテーマの作文を求められたら上記のように作文するのである。つまり、

「図書館と自分との関わりという事ですが、高校生の時は高知市に居たので、夏場は県立図書館に冷房目当てで行きました。仕事では、大正町教育委員会で図書館担当で、寄贈本の受け入れに関わりました。」

このような回答では、箱根にある「本箱」の支配人には勿論なれないと思う。それは小学生でも分かる事である。それは、読書体験が、その人の内面の糧になることを読書体験を通じて理解していない人であることが、この回答に出ているからである。では、コンサルタントの岡本氏が言うように、利益追求が目的ではない、町民の幸福実現が目的である役場の職員、それも図書館長には、なれるのだろうか。寄贈本は二人の人から、本箱一つ分ずつ寄贈されている。四万十町立図書館大正分館に、この二人の人の寄贈本からなる本棚が二つ並んでいる。その二人とも私設図書館を作るのが夢であったそうである。これらは、大正分館に勤務する嘱託職員の一人から聞い話である。林課長は、職員として、この寄贈本に関わったと発言している。「利益追求ではなく、町民を幸福にする」ために、最も必要なことは、この私設図書館を作りたかったという二人の人の夢の中身に興味、関心を持てるという事なのではないのだろうか。けれども寄贈者の夢の中身の話は、林課長からは出て来ていない。ここが最も重要な点である。林課長の自己責任とまでは言わないが、本来町民の幸福実現のために尽くすべき役場の人が、全体としてそのような姿であるという事は、由々しい事実として直視すべき、重要なことであると私は思うのである。コンサルタントの岡本氏は、その言動から推察するに、小学生だけでなく四万十町役場職員、四万十町民、複合文化的施設検討委員会委員全員が「図書館について知らない」ので、「図書館ってどんなところ」から、教育、啓発しなければならない、と本気で思っているようである。実に尊大な失礼極まる輩ではないだろうか。でなかったら「アカデミックリソースガイド」なんて臆面もない、恥ずかしい自分の会社名つけないと思うのである。公設塾の運営を町から委託されている会社名の「ファウンデイングベース」といい、ああ嫌だ、品位に欠けると思うのが私だけでないことを、ひたすら祈りたい気持ちである。ところで誰が最も品位に欠けるのであろうか。正解は、勿論、これら一連の事業の推進を「公約」と称してはばからない、中尾博憲町長その人である。

四万十町議会議員 西原真衣