呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(54)

     委員会資料を開示請求したら

 開示請求の結果通知が来た。請求相手が、中尾博憲四万十町長は、「開示」である。が、請求相手が下元昇四万十議会議長は、「非開示」であった。理由は、「不存在(委員会報告書が未提出の為)」と記載されていた。以下である。

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開示請求対象文書名は、「4月21日付の総務常任委員会審査、職員の時間外手当についての資料」であった。町によって開示された資料をここに公開したい。四万十町職員が四万十町民の福祉の向上を目指して適正な時間外勤務を為しているかに関心のある向きは、この資料に是非一度目を通してもらいたい。

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所で、古谷幹夫総務常任委長は、総務常任委員会の席で、傍聴者の私に対して、「委員長権限で資料の回収を命じる。」と断言した以上、非開示理由である「不存在(委員会報告書が未提出の為」の不存在理由が、委員会報告書提出によって解消された時は、改めて開示決定を為す必要が生じるのではないか、と思慮した。日本語として直截にその意味を解釈すれば、そうなるのではないか。そうなれば、総務常任委員会の場での回収決定と委員会報告書提出時点での開示決定に齟齬が生じるのではないか、この齟齬を、古谷幹夫委員長はどう釈明するつもりなのだろうか。そもそも、総務常任委員会は、大藤風力発電事業計画の中止を求める請願審査を付託されて、昨年10月11月と風力発電の視察に行っている。その報告書が未だ見提出であり、それを、「怠けている」とのうのうと自ら言ってのけたのが、委員会報告書作成義務のある古谷委員長なのである。この総務常任委員会の報告書が未提出であり、未提出であるがゆえに文書不在で開示請求に応じることができないことにも、全く良心の呵責がないのだろうと想像できる。議会の委員会であるからこそ、審査権、調査権を発動でき、委員長から時間外手当の調査がしたいと言われれば、総務課はこのような資料を作し、委員会に提出したのである会議資料と審議内容は本来一体的なものであり、委員会が公開であれば、当然資料も公開であり、議事録も公開であり、議事録公開時には資料も閲覧に付すべきである。という民主主義の根幹をなす原理原則が、理解され、適応されていない議会の実体が今回明らかになったとではないか。結論付ければ、議会の調査権は機能していないのである。総務常任委員は、古谷幹夫委員長を初め誰一人、可視化に基づく応答責任、説明責任の取り方を理解していないのである。この時の総務常任委員会は、吉村アツ子、下元昇両議員が、入院のため欠席であった。病状を詮索する考えも毛頭ないが、一般論として検査入院等が頻々と必要になる年代までの長きに渡る議員歴を持つ下元昇議長は、議会の可視化を演説しても議会の可視化の目的及び手法を理解していないがゆえに、議会の可視化は一行に進捗せず、この無残な迷走ぶりを露呈させているのである。改めて進捗実態を、振り返ってみたい。下元昇議員が、改選後の議長選で、「議会の可視化」を公約に議長に選出されて、1年と数か月が経過した。この間、委員会報告書のみが議会HPで公開されるようになったが、

1.報告書のフォーマットには、討議資料名の記載欄がない。

2.委員会報告書には提出期限がない

3.討議資料の報告書添付は、委員長判断とされている。つまり任意である。

4.委員会議事録は公開されていない。開示請求がいる。

以上が「議員が怠慢でいられ、能力、資質が衆目に晒されにくい、議員側に都合の良い」慣例として放置されてい以上、議会に法的に付与された調査権、審査権が、町民福祉の向上に資する方向で行使されることはあり得ないのである。外部から誰もその実態を検分できないように意図的に運営することが可能になるからである。因みに私が昨日の事、議会からの非開示通知を長谷部議会事務局長から直に受け取った時に、非開示理由を見て、念のために確認した。

西原:委員会報告書の提出を待って、不存在理由が消滅すると解釈して良いのか。

長谷部事務局長:今回は町民の方から開示請求があったと委長に伝えているので、報告書に資料が添付されて提出されると思いますよ。

西原:開示請求があったらというのが、全く釈然としない。本来委員会開催時点で、事務局が保管し、議事録の添付資料とすべきではないか。私は、偶々傍聴したから、資料の存在を知っている。知り、かつ回収されたから開示請求したのである。(ここで総務課が既に同一内容を開示したことを伝える。)

長谷部事務局長:総務が開示したものを議会が開示しなかったらおかしいなことになりますよね。

西原:実施機関が違うので、異なる判断はあって当然じゃないんですか。議会の独立性が、むしろ問われていると思いますが。議会側が執行部と対応を同一化したいというのは、議会側の町側へのすり合わせ、迎合なんじゃないですか。

長谷部事務局長:執行部が作成したもので、執行部が回収すべきと判断する資料って今までにもありましたよね。

注釈:徐々に相手が息切れしてくるのが分かるが、ここで容赦はできない。慣例を持ち出して理解を得ようとするのは、穏便主義、惰性であり、論点の噛み合った議論とは言えない。議会は本来議論すべきところである。本来議論すべきところで、議会文書の取り扱いについて、情報公開条例に基づいて議論しているのである。因みに四万十議会基本条例の一節を抜粋する。議会事務局長は法務機能を果たすことを回避できる立場ではないし、委員会資等は議会図書室に備え付けて、広く閲覧に供するべきであると、解釈できるのである。

四万十町議会基本条例

(議会事務局の体制整備)
第18条 議長は、議員の政策形成及び立案を補助する組織として、議会事務局の調査・法務機能の充実強化を図るよう努めるものとする。
2 議会は、専門的な知識経験等を有する者を、任期を定めて議会事務局職員として採用する等、議会事務局体制の充実を図ることができる。なお、当分の間は、執行機関の法務機能の活用、職員の併任等を考慮するものとする。
(議会図書室の設置・充実・公開)
第19条 議会図書室は、議員のみならず、誰もがこれを利用できるものとする。
2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るほか、議員の調査研究の成果及び議会の活動により発生する資料等を整理し、町民が活用できるよう議会図書室の充実に努めるものとする。

西原:議会の要請に基づいて作成した資料であり、委員会公開を決定しているのは委員長で、委員や傍聴者に資料を配布したのも委員長の判断ではないか。その時点で、資料の公開も委員長が判断していると見なされないか。資料に予め非公開理由があれば、委員会自体を非公開にするのが筋なのでは。いずれにしても討議資料は議会に提示された時点で議会が保管し、開示請求の対象にするべきではないか。現況では資料の存在自体がうやむやであり、これは情報公開の制度運用上の著しい逸脱である。

長谷部事務局長:今回は開示になると思いますよ。委員長と協議しているので。

西原:今回と限定しているところが問題である。

長谷部事務局長:議会提示資料の回収、非回収は執行部や、議長、委員長判断で今までやってきましたから。

西原:だからこそ、古谷委員長が私に回収を命じたことと開示請求で開示することには齟齬が生じると初めから言っているのです。

ここで議論が完璧にループしているのが分かる。開示請求が出て、改めて協議しているのだ。有体に言って、彼らは情報公開条例も議会基本条例も正当に解釈できていない。

ここにあるのは、条例の正当な解釈に基づく運営ではなくその場しのぎの、「双方向顔縦立て処世術」とでもいうべきものである。誰も悪くない代わりに、誰も最終的に責任を取らない、のである。その場の所属員間の孤立と異論が周到に徹底的に回避されている。これこそが旧日本軍の「失敗の本質」という言説があり、私は、非常に共感を覚えているのだが、正しくコロナ禍の序盤であったダイヤモンドプリンセス内で起きたこがこれに酷似している。けれども出動した自衛隊に感染者が一人も出なかったというから、自衛隊だけは、旧日本軍とは体質が違っていると願いたい所ではある。むしろ旧日本軍的なのは、時の政権とその利権が配分する利権に汲々と群がっている人々の方であろう。否、実はそれにとどまらない。その体質は、私の近辺にモトリクルダウンしていたのである。私は議員時に、「議会の調査権を逸脱した」と政治倫理条例違反を問われ辞職勧告を受けたが、今回の事件で、明らかになったのは、私が、「議会の調査権を正当に行使できない議員達によって全会一致で、「議会の調査権を逸脱した」と事実認定されたという事である。そしてその事実認定の場は非公開であった(職員の個人情報保護のため)以下情報公開条例を抜粋する。

第6条 実施機関は、公開請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報が記録されている公文書については、当該公文書の公開をしないことができる。
(1) 法令又は条例(以下「法令等」という。)の定めるところにより、明らかに公開することができないとされている情報
(2) 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、特定の個人が識別され、又は識別され得るもの。ただし、次に掲げる情報を除く。
ア 法令等の規定により、何人でも閲覧することができる情報
イ 公表することを目的として作成し、又は取得した情報
ウ 法令等の規定に基づく許可、認可、届出等の際に実施機関が作成し、又は取得した情報で、公開することが公益上必要であると認められるもの
エ 当該個人が公務員(国家公務員法(昭和22年法律第120号)第2条第1項に規定する国家公務員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第2条に規定する地方公務員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に関する情報

時間外勤務であろうと、現職議員による収賄斡旋が疑われる事案、はたまた町の事業内容の把握目的での単なる職員に対する質問であろうと(私の事例と自認している)、全て職場で職務上発生している以上、職務内容であり、それゆえに、政治倫理やパワハラの対象とされ得るのである。その職員側の証言内容のどこにも非公開理由はない。調査の公正を担保するには、本来公開しなければならないのである。ところが調査される側と調査する側が、一連托生意識をもって長年やってきたのである。そこには、部外者つまり、法令が想定している主権者が不在である。この意識構造を私は、「長年税金という同じ釜の飯を食ってきた間柄」と表現した。そして我々は、その税金を否応なしに徴取される側なのである。職員給与も期末勤勉手当も、議員報酬も全て条例化され、予算化されて初めて支給される。それであれば、全ての条例は等しく正当に解釈され、運用されなくてはならないはずである。その為に条例が存在する。法令こそが、町と議会の存立基盤である。中尾博憲町長は、四万十町中高校生に、学校を通じて四万十町通信を配布し、町が何をしているか、広く知ってもらい町政に関心を持ってもらうという施策を展開中であると聞くが、むしろ中高校生に四万十町条例を配布し、その読解力を養う事が、喫緊の課題である中尾町長が辞令を交付している四万十町職員職員及びその監視機関である四万十町議会議員の条例読解力の惨状を見るにつけ、今や近未来の地元高校卒役場採用者に期待するしかないのではないか。尤も、来るべき、高知地方裁判所における、議員報酬引き上げの手続上の瑕疵に基づく公金(議員報酬)の違法支出を巡る裁判には、中尾博憲町長は被告として出頭し、議会基本条例の自らの解釈を述べざるを得ないのだが、是非当時の議長酒井祥成議員や議会運営委員長堀本伸一議員の法廷での発言も聞いてみたいものである。もっともこのコロナ禍にあって、裁判は延期せざるを得ないので、いつになるかは分からない。議員報酬の引き上げ方については、当時議会に居た目撃者の私は、証言に立つ用意がある。極めて恣意的かつ議決権を持つ議会構成員に対して、恫喝的、意志拘束的であったことを証拠資料に基づき論証したい。このブログにも書いたが、ブログだけでは到底不十分である。正当な判決が下されることは元より、議会が町民の目から隠匿してきた事実が、より多くの町民の目に明らかになることを、何よりも公開の法廷に期待したい。

西原真衣