呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(39)

      町政懇談会は誰のため

町政懇談会の開催趣旨は、まずは、町民に対する町の施策の周知、活用であろう。特に中尾町政は、若者定住、若者支援を公約に開始された経緯があり、若者支援策を周知することは、即ち中尾町政の喧伝材料となるのである。

1.広報の拡充(東京事務所開設、広報誌配布先拡充等)

2.若者住宅支援策

3.出生祝い金の支給や15歳までの医療費無償化

4  . 公設塾や子供未来塾、産業振興塾等の創設(人材育成センター事業)

等が、中尾町政の目玉事業である。若者支援、若者定住のためには、若者を対象にした事業の拡充と周知が必要であると、中尾町長は考判断している.そのこと自体に異議を唱えようとは思わない。増してや2と3の創設は、若者世代への直接的な支援策となっていることは疑いない。問題は、1と4である。

1.広報拡充の指令を町長より受けて「まちづくり推進室」は以下を試みた。

(a) 町内中高校生に四万十町通信を配布し朝の読書の時間等で活用してもらう。

(b)  公共施設や報道機関にも四万十町通信を配布する。

注:配布先は、オーテピアーとNHKだけ

(c)中高校生に「広報誌につい」とその保護者に対して、「町からのお知らせ」全般に        ついてアンケートを実施する。

注:アンケートの公表は思いついていなかった

(d) アンケート結果を参考に、四万十町通信特集ページで情報発信する。

注:中高校性の意見の反映が必要だろうか。タウン誌では無い。

(e)「町からのお知らせ」について、町民2000人にアンケートを実施する。

注:「暮らしについて」のアンケートと説明した。「町からのお知らせについ」が正解である。業務の表題と細目の分類、区分が怪しい。テーマを聞けば、内容の細目で答える。頭を抱える。これは地元高校生の学力レベルに起因する。

以上を把握するには、3日がかりで、「まちづくり推進室」職員延べ3人に聞き取りを行う必要があった。つまり、町民向け以前の課内情報発信とその共有に、重大な隘路があるのである。この「まちづくり推進室」が町政懇談会を主宰している。やっつけ仕事になっても無理からぬ所である。中町町長は、ここが分かっていない。恐らく本人の学力に問題がある。

続いて4である。

公設塾「じゅうく」のコストパフォーマンスの低さは突出している。概括すれば、公費負担月額費用 高校生一人当たり10万円強で、県内国公立一般入試合格実勢は、開設以来0件である。産業振興塾は、「地域イノベーター養講座」とビジネスプランコンテストを実施している。最優秀者は2年以内に100万円の補助金支支給を申請できる。事業開始以来町内で立ち上がった新規事業は0件である。

子ども対象の人材育成事業で、直近の物と言えば、「子ども議会」であろう。議題は「図書館」であった。この事業は、人材育成センターがNPOlifeに委託して実施した「地域をつなぐ人材育成事業」の一環である。子供議会と言えば、子供たちが本物の議場で議員に扮して、首長に対して質疑し、首長の答弁を引き出し、それらの質疑応結果をうまく取りまとめた提言書が最後に子供議会代表から首長に手渡されて幕引きという形式が最もありふれているが、今回のlifeの企画は異なっていた。議員、執行部、傍聴者の三者が子供達であり、議員役の質疑、執行部役の答弁後に、議会事務局長役の岡本真氏(株式会社アカデミクリソースガイド社長、四万十町複合文化施設コンサルタント)が取り纏めを務め、最後に傍聴者役から感想が述べられ、川上哲夫教育長、下元昇議会議長の感想と続き、幕引きとなった。四万十町議会本会議場が使われ、本物の議会電話番号「図書館」を所管する教育委員会生涯学習課職員、「地域をつなぐ人材育成事業」所管の人材育成センター職員であった。私は、四万十ケーブルテレビでこの子供議会を見たのであるが、番組締括りにナレーターが、「大人顔負けの子供議会でした。」と定番通りにこやかに締めくくったことも踏まえて、私は、ここに及んで、この子供議会を含め、町の広報のありかたに、様々な疑義を改めて感じたのである。

疑義その1

子供議会はケースルが率先して取材、道されるが調整懇談会は、屋外放送で参加を呼び掛けながらも、なぜケーブルが取材、報道しないのか。

疑義その2

議事の整理役、議論の取り纏め役は、議場では議長である。議長役の川添窪川窪川小学校長を差しおいて、なぜ一介の図書館コンサルタントが、議会事務局長席で、議事整理や議論のとり纏め役をするのか。

疑義その3

岡本真氏は、窪川小学校は、総合学習の時間を使って質疑応答内容を用意したらしい。小学生たちは全員文章を読み上げていたので、用意周到に事前準備が為されていたことが分かった。岡本真氏は総合学習の時間からこの事業のファシリテーターとして介入している(NPOlife 代表井上氏談)。最後の岡本氏の取り纏めの言葉が、私は、かなり引っかかった。「子供の居場所づくりのための開館時間の延長(議員役の子供からの提案、執行部役の子供が人件費増加を理由にできないと答弁)は、利益を追求する民間企業ならできるかも知れないが、町が作って、町が運営する図書館の目的は、利益の追求ではなくて、町民を幸福にすることなんだ。だから図書館行のバスを出ことも町が考えている。」である。まずは、質疑応答内容の取り纏めとしての、論旨が不明である。おまけに図書館運営に関しては、今後2年かけて策定される予定の「図書館運営計画」の検討過程には、民間委託である指定管者制度の導入についても審議されるはずである。それを承知の上で、岡本氏は、このようなことを子供相手に言うのである。昨年7月に開催され図書館シンポジュームに参加した私の発言四万十町は、淡路島と同じ面積でであり広大な広さがある。私自身の長年の図書館利用者としての実感から言えば、図書館の利用条件は住居に近いことである。そこで、そこで窪川築地区に大きな図書館1館ではなく、窪川、大正、十和に1館ずつ作って図書館間を専用バスでつないだらどうか。」に対しても司会役の岡本氏が、「立地予定地は、白紙だ」と応答したのだ。ところが、後日生涯学習課に確認すれば、「旧庁舎跡で進行している。」と言うではないか。現に今、実施設計のプロポーザルの実地中である。立地予定地は旧庁舎跡である。「子供議会の最後に、川上教育長が、感想を述べる中で、立地は旧庁舎跡であることに言及した所、下元昇議長が、「まだ、決まっていないこと明言するのは民主主義の原則に反する」とビシット決めたことで、議会のリアルが子供に伝わって良かったと思います。」というのは、勿論ケーブルテレビのナレーションではではなく、村井真菜議員が、事後的に自身のSNSで発信していた内容であるが、これも、実態は、岡本氏同様、プロポーザル実施中を知って、あたかもそうではないかのような内容を外部発信している、下元昇議長のパフォーマンスでしかないのである。コンサルタントの岡本氏の大口顧客は生涯学習課、下昇議であり(私の知る限り、岡本氏が、今までに町から受領しているコンサルタント料金は、1200万円を下らない)、下元昇議長議員報酬の元出である大口顧客は、窪川小学校保護者及びケーブルテレビを見ている全町民であるので、彼らに最も受けるように事実を平気で捻じ曲げている様が手に取るように分かる一幕でなのである。尤も村井真菜議員も同様である。彼女は一見純朴な印象を与えるが、実は中々したたかに要領を心得ている新人若手女性議員である。昨年9月議会の村井議員の一般質問が、「議員になって8ケ月、矢面に立つことの大変さを実感しています。町長、副町長の御苦労がしのばれます。けれども一方で、街中を歩けば、町民の皆さんから暖かい声をたくさんかけてもらえるので、本当に暖かい街だなと感じています。」で始まったことと、今回の「議長がビシっと発言したことで、子供に議会のリアルが伝わって良かったと思います。」とは同一の構造を持っている。村井議員の狙いは、おそらく、その場の実権者に阿りながら同時に自己の議員としての真剣さや懸命さの印象を、町民向けに喧伝する事ではないだろうか。それを同時にやってのける。その意味では彼女は既に、現況の町議会文化に見事な適応を示しつつある、いっぱしの町議会議員である。先日、高知市の旭町にある通称ソーレ、「男女共同参画センターで開催されたソーレ祭りの企画の一つに、「女性議員を増やす」取り組みをしているポレールいう名称の団体主宰の懇談会があった。女性議員が全国的に少な過ぎる実態があるのは周知の事実であるが、まず議会で新人女性議員がぶつかる壁は、「平気で事実を捻じ曲げて伝える高齢者男性議員集団」の壁である。少なくとも私自身の場合は、そうであった。「議会とは、質疑応答を通じて町政に関わる事実を明らかにし、明らかにすることによって、より良い、町政の方向性を見出して行く場である。」という議員間の共通認識がないところでは、本質的に何事も改善しないと、私は、信じて疑わない。その意味では、子供議会が、はからずも、人材育成を目玉政策にした中尾町政における、議員を巻き込んだ(本会議場の使用許可権限は議長にある)「大人の自己喧伝の場」なってしまっていることに対し,大人は、子供の人材育成上の大人の責任をまずは自らに問わなくてはならないのではないかと、私は思う。一昨年4月に、私が四万十町議会教育民生員会に情報提供した、当時の窪川小学校元6年生の「いじめ問題」は、議会教育民生委員会で、教育委員会トップを招聘して説明を受けた後に審議されたが、その時の委員会報告書(委員長納屋屋康議員欠席のため副委員長村井真菜議員が作成)は以下である。

いじめ問題が「学級環境の動きについて」(窪川小学校元6年生の学級状況の報告)とぼやかされているのが分かる。前回提示した、教育委員会議事録

「放課後子供教指導員間のトラブルについて報告、協議する。

        こ・こ・に・中・身・が・な・い

今後は、放課後子供教指導員は教育委員会責任をもって配置する。」

と同様であることが分かる。つまり、虐め問題への教育委員会の回避行動に議会教育民生委員会も追随しているのだ。事実内容に触れないでは、審議にはならない。行政や議会が、まずは、「事実に基づく議論を回避しない」ことからしか始まらないのではないか。その意味では、このような議会は不要である。監視機能を果たせていないからである。こような行政と議会が手に手を携えるかのようにして今回開催された「子供議会」である。議員役の子供が「子どもの居場所づくりのために図書館の会館時間を延長したらどうか。」は彼らの本音かもしれない。役場本庁に張り出された意見の中に「ゲ-ムセンターを作って下さい。」や「イオンを町に誘致して下さい。」を見た時は笑ってしまったが、これは彼ら子供の本音である。スーパーハマヤの広場で、ゲームに興じる男子小学生や菓子を食べながらおしゃべに興じる女子小学生を見かけるたびに、彼らが求めているのは、「気兼ねなく、時間制限なく、思い思いに過ごせる、居心地のいい場所」であるということが、感知される。年配の女性グループもよく休憩しながらおしゃべりをしている。この点では、大人も子供もないのである。だから「子供のための居場所づくり」は実は子供が、大人を前にやっと言えた、本音ではないか、と思うのである。そこさえ押さえことができれば、特段、「文化」「情報」「交流」「学習」を振りかざした作文(複合文化h施設基本計各)をコンサルタントに依頼しなくてもいいのである。実は町立図書館では過去に意見箱が撤去されたことがある。「子供に対して図書館内での私語を注意したら、注意した職員に対して実名で誹謗中傷があった。」ので意見箱が撤去された過去を持つ町立図書館である。これでは子供が委縮し、大人に受けのいいことしか言わなくなるのも無理はないと思う。職員の人材育成ができていない、としか思えないのだが。それでも外に対して人材育成を臆面もなく標榜し続ける中尾町長こそが、役場内人材育成がどのようなものであったかを象徴しているのではないだろうか。中尾町長の「中身のなさ」に議員時代に随分と悩まされもし、かつ実害を受けた私は、窪川町役場に採用されて以降、目の前ににいる人間に迎合し、機嫌を取って入れば何とかなってきた(年功序列の昇給と昇格)が中尾博則憲自身の唯一の成功体験なのであり、その成功体験は、自己研鑽と無縁であったはずであり、その環境が育て上げた認知能力からは、実態のない「人材育成」しか出てこないだろう、という考察に至った。このような行政職上がりの首長は、「行政の事務事業の事実に基づく検証」を要請されることが生じない環境下でこそ育成される。そのような環境下で、町議を目指して町議になれた村井議員は、その言動から明らかに、町長や議長の「受け」に配慮している。その意味では「女性にとって、男性の受けが、その女性の生存環境の質(生存の糧の手に入れ易さ)を規定する。」を、村井議員は地で行っているのである。だからこそ、この土壌が形成された文化、歴史への深い、的確な洞察なくしては、「女性議員は増えようがない」し、だからこそ、現に今この四万十町議会における唯一の新人若手女性議員である村井真菜議員が、議長や執行部に阿る言説と自己喧伝を同時多発させている現況の解析も、その一助となると,私は思うのである。「スローガンよりケーススタデイの蓄積を」といのが、「女性議員を増やすには」に対する、目下の私見である。その内ポレールで発表してみよう。

四万十町議会議員 西原真衣