呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(18)

     議長に調査特別委員会設置の申し入れ

昨日令和元年11月6日午後1時30分、やっと下元昇四万十町議会議長と、我々、岸本英昭氏、武吉廣和氏、武吉貴子氏の面談が実現した。場所は、四万十町議会議会図書室である。岸本氏が頻繁に連絡を取ってくれて調整し、やっと実現した。武吉廣和氏とは、大藤風力発電事業計画の航空写真(オリックス社作成方法書中記載)から立体模型を作った人物である。風車の設置図面や、搬入、工事に伴って排出される土砂量まで試算している。この試算は、長野県入笠山の風力発電事業計画住民シンポジュウム報告書から得た知見に基づき試算したと、本人から聞いた。この四万十町ではどうだろうか。

 土砂量の試算は、誰が行うのだろう。膨大な量の方法書は、土砂については現場で費消する(収支均衡)としか書いていない(らしい)著作権が設定されているので縦覧期間以外は、自由に閲覧できないのだ。残土が出ないと言い切られても風車一基当たりの設置時の切土の量に基づく、具体的な土砂の処理方法及び工事中や事後の保水量の低下に伴う土砂災害の危険性は誰が何に基づいて試算するのだろう。それに、搬入に伴う林道の拡幅や新設による排出土砂量も半端じゃないはずである。知り合いの民間林業者に言わせれば、「森林組合が施業している路網間伐でも土砂が毎回相当量出る」との事である。ではこの49基、高さ1120m、直径8mの風車の搬送、設置に伴う土砂量とは、実際問題として頭がくらくらしそうである。今環境影響評価法上の手続は、方法書段階である。次の評価書で、そのことが詳細に記載されるのだろうか。オリックス社は、アセス終了後に風況調査を実施し、最終的な立地が決まるので、それまでは正確な数字は出せないと言っているようだ。アセスメント終了後の話である。計画ができてからアセスが開始され、アセスが完了してから、最終立地が決まり、事業者がアセス完了後も土砂排出量の試算値を出せないなんて、根本的におかしくないか。

 だからこそ、我々は、アセスメント手続きの相手側である行政を監視する議会に赴いたのである。ところが、我々が昨日参集した目的である、特別調査委員会立ち上げ要請を伝えると、下基昇議長は、今日は議会の総意ではなく、現時点で議長として答えられる範囲で答えると、早速の退避姿勢を見せた上で、「特別調査委員会を対上げる意向を当初は持っていたが、オリックス社への町有地の賃貸借同意書提出は議決事項ではないので、取り止めた。」と9月12日の総務常任委員会での発言を繰り返した。既にここで明らかに、のらりくらりでやり過ごす意図が見て取れた。

 私が、「それは立ち上げれない理由にはならない。立ち上げない理由を明言するべきだ。議会の調査権からの逸脱を理由に、私に辞職勧告を出した側ですよね、下元議長はは。今回、正当な調査権を発動しない理由は何ですか。その無為無策は、町やオリックス社への加担にしか、外部からは見えないですよ。」

武吉廣和氏が、「議長として特別調査委員会を立ち上げないと言っておいて、都合の悪い時だけ、議会の総意ではないとか、答えられる範囲で、とか言うのはおかしい。」

武吉貴子氏が、「みんな注目してますよ。SNS上で、議会対応が酷いという書き込みだらけですよ。町民の健康被害がかかっているんですよ。今日は、特別調査委員会を立ち上げると約束して下さい。」

岸本英昭氏が、(諭すように)「臨時議会を招集して、特別調査委員会立ち上げの議決をしたらどうか。」

 この時点で、下元議長は、総務常任委員会を持ち出した。特別調査委員会を立ち上げなくても、総務常任委員会に、オリックス社に来てもらって説明してもらうことはできる、という言い分である。特別調査委員会を立ち上げない理由は、依然説明を回避したままである。ここがこの人物の、議員として実に不誠実な部分である。

 武吉廣和氏が畳みかけた。「オリックス社に排出土砂量の試算値と処理方法の具体的手法を示させるべきだ。総務常任委員だけで聞いても意味がない。公聴会形式で公の場でやるべきだ。」

私も我が意を得たりとばかりに加勢した。「立地予定地の立体模型を作成した、武吉さんこそ、学識経験者でだと言える。地方自治法によれば、委員会単位でも公聴会は開催できる。委員長意志と議長の承認さえあればいい。利害関係者として、オリックス社と武吉さんを呼べばいい。中尾町長が、議会で答弁したように、経済的恩恵を受ける側の町内事業者も利害関係者として呼べばいい。事業中止の反対署名を中尾町長に提出した、「四万十ふるさとの自然を守る会」の代表者も呼べばいい。賛成、反対両方の立場で、意見陳述をさせればいい。その様子をケーブル中継したらどうですか。ケーブルはこの町の公共の情報インフラですから、この際活用しない手はないじゃないですか。賛成意見、反対意見どちらの言い分に信憑性を感じるかかは、最終的にそれを聞く町民に任せればいい。報酬を22%引き上げて、高知県下で町村議会議員報酬トップに躍り出た四万十町議会じゃないですか。報酬引き上げ分の働きを見せて下さいよ。」

※注釈

地方自治法115条の2

普通地方公共団体の議会は、会議において、その他重要な議案、請願等について公聴会を開き、真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聞くことができる。

普通地方公共団体の議会は、会議において、当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認める時は、参考人の出頭を求め、その意見を聞くことができる。

地方自治法109条

⑤第115条の2(利害関係者からの意見の徴取)の規定は、委員会について準用する。

 最後に武吉貴子氏が、「何もしない四万十町議会は、SNS上で行状をさらけ出され、嘲笑されているんですよ。風車に最も近い大正の住民に与える健康被害についての本を読んで下さい。」と一冊、汐見文隆医師の遺稿となった、「風車から出る低周波音の健康被害を追って」を下元議長に進呈した。この本は既に、武吉貴子氏から「これから健康被害について勉強する」と9月議会で答弁した直後の中尾町長にも進呈されている。この人の情熱とエネルギーはマグマのように内側から燃え盛るかと思えば、時折頭上から放電する雷のようでもある。下元議長の頭上に落雷が命中して、感電してくれればいいと、私は本気で思ってしまったのである。それは下元議長が、以下のような、気の抜けた、のらりくらりの戦術に徹したからである。この人物の厚顔振りはここに極まれりであった。

「土砂に付いては総務常任委員会の全員が心配している それで11月(今月である)総務常任委員会津野町に風車の視察に行く、風車基数は少ないが、そこでの排出土砂量から大藤風力発電での土砂排出量を推計することを考えている。」

※「心配」とは聞いて呆れる。まるで人ごとである。責任観を感じているようには見えない。

高知新聞で、今後オリックス社が大正地区で10か所の住民説明会を開催するという記事を見たが、議会としても、日時が分からない状態で、困っている。」

※この「困っている」も人ごとである。この記事を書いた記者によれば、区長を通じて、集落の人間を集めている、と言う事なので、行政は協力しているのだ。行政を通じて開催情報を入手すればいい。オリックス社は嫌とは言えないはずである。わかっててやらないのだ、この下元議長は。

「オリッスクから議員対象の説明も聞いたが、時間もなかったので、詳細は分からなかた。」

※この日は午後から、全議員が高知市高知県市町村議会委議長会記念式典参加予定であった。下元議長が自ら、改めて、時間を十分に取った説明の機会の提供をオリックス社に求めなかっただけの事である。これも、この人物の不作為である。

宇和島の視先では、風がなく風車の騒音は聞こえなかった(当たり前である)。風のある時にもう一度視察に行かなきゃいけないと言う話は出ている。」

※何という、やる気のなさであろうか。実に受け身である。機動力に欠ける。「シルバー大学再生可能エネルギー社会勉強視察旅行」並みである。そもそも風車に起因する公害で最も問題視されている健康被害の原因は、騒音ではなく、超低周波音(周波数20ヘルツ以下)がら発する振動(音量と違い距離によって減衰しない)である。それさえ知らないという事である。今回面談を申し入れた我々4人は全員、汐見先生「風車から出る低周波音の健康被害を追って」を読んでいる。だから、風車がもたらす健康被害、俗に言う風車病について必要最低減の基礎知識を持っている。総務常任委員委員とは、下元昇、堀本伸一、田辺哲夫、吉村アツコ、水間淳一、古谷幹夫である。彼らは全員、風車病に関わる必要最低限の基礎知識(一冊の本を読めば手に入る)さえ持ち合わせないままに、愛媛県宇和島市愛南町に視察に行き、風がなく風車が回っていなかったのを理由に、今後はまた津野町に、風車を見に行こうと計画しているのだ。実に呆れた話である。 

 議員報酬を上げる前からそうであったように、体面上の(外から見て尤もらしい)必要最低限の言動で、その場をやり過ごそうとしているのだ。今回の下元議長の対応が、それそのものである。槙野章議員の本会議欠席の件でも、欠席届(うつ状態)が出されたので、10日間の欠席が認められた。ところが、その間に、槙野章は、地元の飲み会に参加したり、近くに住む孫の保育園の送迎をしたり、ホームセンターに出没している。さすがに狭い街中で、議会周辺にも通報が届いた以上、ずっと手をこまねいていれば、議会の体面に関わってくる。その様な状況下で、槙野章の地元ではどうも嘆願書が出回り始めたらしい。大方、本会欠席中の不謹慎な行動に関して懲罰を与えないでくれという内容の嘆願書であるらしい。これは本人が根回しした可能性が高い。なぜなら、町民から聞き取った要望を陳情書に清書して、議会に提出し、自分が委員長を務める産業建設常任委員会で採択し、その成果を一票一票積み上げて毎選挙上位当選するという姑息な地道さを発揮してきた人物である。嘆願書の自作自演位のことは、朝飯前であろう。尤も今は、不倫慰謝料請求事件のまっただ中でもある。慰謝料の減額と懲罰を避けて、選挙に影響しないようにし、うつ状態を偽装して辞職もせずに議員を続けること(議員報酬を受領し続けること)は、槙野章の中で、合目的的な行動なのだから、相談中の弁護士の入れ知恵もあるかもしれない。好色と吝嗇がこの人物のなかに共存していることは間違いない。尤もこれは、槙野章に限ったことではない。今回の面談時の下元昇議長の応答にも如実に表れているように、彼らの内側には、若くないので、最低限の体面を維持しながら、知力、体力、気力を温存させて、議員を可能な限り長く続けて、議員報酬を受領し続けたいという吝嗇がはびこっているのである。ただし知力は元々疑わしい。職務上必要な一冊の本を読み上げることさえできないのだ。あとは押して知るべしである。さらに、知るべき物事を知らないまま放置できるというのは、厚顔さそのものである。今回の面談の最後のやり取りがそれを物語っている。

 武吉貴子氏「総務常任委員会委員長の古谷幹男議員に、オリックス社を説明のため委員会に呼ぶ段取りを早速して下さい。」

 下元昇議長(表情を緩めて)「幹ちゃんは、今頃どこにおるかわからんから(農作業をしている現場が分からない、つまり連絡が取れない。)。」

  この古谷幹夫議員は、議員報酬引き上げ議案可決議に、全議員の前で、「議会で決まったこと(事前に)ことを翻し、報酬引き上げに反対者が出たことは不快であった。責任を取ってもらいたい。」と発言した。又ある日、私が、議会図書室で調べ物をしている時、議会だよりの編集のために古谷議員が現れた際に、「今日は天気がいいから、昼までに済まして(議会だよりの編集を)田んぼをやりたい。」と全く悪びれず、にこにこして口にしたので、驚いたことがある。そう言えば、古谷幹夫議員、一般質問でも、「答えれる範囲で答えてもらいたい。」とよく答弁者側に言っていたことを思い出す。例え、総務常任委員会オリックス社の担当者を呼んでも、きっと同じ口調で言うだろう。「答えれる範囲で答えてもらいたい。」と。古谷議員,それじゃ調査にならないのよ。槙野章議員も古谷幹夫議員も農協出身である。だから古谷幹雄議員の質問を聞いていると、農協陳情団みたいだと、私はよく思っていた。「答えれる範囲で答えてもらいたい。」は、本質的に質問ではなく、陳情である。そう言えば、農協職員のお兄さんが昔フィリピンンパブで作った謝金の返済目的で、農協のATMをユンボで叩き壊した挙句、中の現金900万年円を窃盗し、あろうことか、その晩、件のフィリピンパブで豪遊し、その店に偶々居合わせた高知新聞の記者に翌朝記事にされたという、傑作極まりない事件があった.あの時、近所の婆さん達が、「あの子はえいこ(良い子)や、罪を軽うしてやってもらいたい。」という内容の嘆願書を取って回ったという話を聞いて、増々傑作で、大笑いしたことがある。槙野章議員と古谷幹夫議員の共通項は、農協出身という事であるが、その昔、私が事あるごとに、「議会が組織であることを認めない」という理由で議会内部で圧力をかけられていた時、古谷幹夫が、私について、「いい加減なことを言って個人攻撃をする、人を褒めるときは人前で、人を叱るときは人に隠れて。」と発言したので、その内容の意味不明さに驚いた。私が、本会議で既に「職員の職務遂行能力を職務上の事実に基づいて問うことを誹謗中傷とは言わない。むしろそれがなさすぎるから情実人事が横行する。」と弁明した挙句のこの古谷発言であったからである。職員とは職務上のやり取りしかしていない。その時の職員対応記録は事実である。古谷幹夫は、農協の社歌「一人が皆なのために、皆なが一人のために」に洗脳されているのだろうとしか、私には思えない。結局、農村共同体に帰属意識ととアイデンテイテイを帰着させてきたことと孤立と村八分に対する本能的恐怖心は表裏一体であるという事ではないか。槙野章も同様である。私が、かって、田辺哲夫議員が選挙資金の収支報告書を5年間選管に対して未提出であったことが新聞記事になった時、その振舞いについての政治倫理を問うために臨時議会を招集するよう中尾町長に要望書を出す目的で、全議員に賛否を打診したことがある。(招集を長に要望するには議員定数の1/4の賛同が必要)その時にも槙野章は、「林さん(林健三議員)や堀本さん(堀本伸一議員)が賛成するなら、自分らあも賛成する。」と私に言ったのである。ここの槙野発言、自分「らあ」に注目して欲しい。自分はこう思う、と言えないのである。個人が浮き彫りになることが、これほど怖いのである。嘆願書を回すはずである。例え、農村共同体に生を行けても、自分の生まれ育った環境を相対視できる強靭な知性に裏付けられた自律心がなければ、議会の調査権など、絵にかいた餅にしかならない、と私は思う。オリックスからも、町からも、経済的恩恵を受ける町民からも、反対運動を展開している町民からも、そして他の議員からも等しく距離を取れる精神の強靭さと知性が必要ではないか。本来。議員という職業には。

 

四万十町議会議員  西原真衣