呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(31)

 陳情請願制度について、四万十町議会は、非常に運用におかしな点がある。議会のHPに記載されている通り、陳情、請願は誰にでも保障されている政治参画の手法の一つである。ただし、匿名では受理できない。出所(氏名、住所)を明らかにして、議会に対して公式ルートで働きかける制度である.陳情請願を議会が受理したら議会運営委員会で付託先委員会を決める。ただし正式にはこれには議決が必要であるので、議会の初日に陳情文書表という名称の文書が、各議員に配布される。議決を経て、産業経済、教育民生、総務のいずれかの常任委員会に付託される。委員会審議を経て採択、不採択、継続審査が表決され、その結果が委員長により本会議に報告される。報告後に改めて議場で、報告者である委員長に対して質疑し、討論を経て、原案、つまり委員長報告結果(採択、趣旨採択、不採択、継続審査)への賛否が明らかになる。採択されれば国に送付し、町政に係ることであれば担当課に送付し、結果報告を求めることができる。このように陳情請願は、貴重な町政、国政への参画手段なのである。ゆえに当然、陳情文書表は傍聴者にも配布される。ここで問題が浮上する。「議員向け陳情文書表には提出者名が記載されているが、傍聴者向け陳情文書表には、提出者名の記載がない」のである。どうしてこのようなことになるのであろうか。公的な議決機関である議会には公開の原則がある。公開の場に出すものに、なぜ匿名性が要請されるだろうか。要望者が公知され、特定されることで、その要望者が不利益を被るだろうか。匿名で陳情、請願したい人間などいるのであろうか。弱者保護思想のようなものをが背後にあるのであろうか。それでは、陳情、請願の提出者は弱者であり、陳情請願を審査する議会は強者なのだろうか。可視性を犠牲にしてまで庇護しなければならないもの「個人情報」とは、一体何か。実例として、12月議会に提出された陳情請願には、

陳情31-6

件名「辺野古基地建設即時中止と、普天間基地沖縄県外、国外移転について、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書採択を求める陳情」

この提出者は、沖縄県那覇市銘1丁目3番36号ハピネス新都心Ⅱ302号「新しい提案」実行員会 代表 安里長徒」である。

陳情1-8

件名「「辺野古基地建設即時中止と、普天間基地沖縄県外、国外移転について、民主主義及び憲法に基づき公正に解決するべきとする意見書採択を求める陳情」

この提出者のは、「東京都新宿区四谷2丁目8番地 全国青年司法書士協議会 会長 半田久之」である。

陳情1-9

件名「米軍普天間基地辺野古移転を促進する決議案採択のお願い

この提出者は、沖縄県宣野湾市真栄原町 2-15-10 「宣野湾市民の安全な生活を守る会」会長 平安座唯雄である。

私は議会事務局からこの提出者情報を得た。「団体であるので、聞かれれば答える。」らしい。提出者が判明したので、「新しい提案」実行員会 代表 安里長徒」は、全国青年司法書士協議会の会員であり、沖縄での全国青年司法書士協議会での全国大会時に採択された陳情案件であったことや、この陳情が、県民投票反対の対場であった名護市議会でも採択されたこと、また「宣野湾市民の安全な生活を守る会」会長 平安座唯雄氏が、元名護市議会議員で名護市に対して、県民投票への支出を巡り住民監査請求を起こしている人物であること、又この「宣野湾市民の安全な生活を守る会」の街頭デモの様子が統一教会系の機関紙「世界日報」で記事になっていること等がネット上で調査できた。そしてその調査結果は、これらの陳情案件の含意の合理性、妥当性を判断する上で、私には非常に参考になった。傍聴者も、このようにして判断するからこそ、議会判断の是非を問えるのである。それにそもそも「誰の意見かが分からなければ、含意を吟味できない」という良識が、議会側に見受けられないこと自体が非常に奇怪である。そもそも四万十町議会基本条例は、「陳情、請願を町民からの政策提言と位置付け、提出者を委員会に呼んで、陳情、請願内容の趣旨説明を受けるものとする。」と明記しているのだ、それでなぜ原則公開の委員会の傍聴者向け配布資料に提出者名が記載されていないのか、合理的な説明が成立するだろうか。だが、私の知る範囲では、昨今、これは全国的な現象である。個人情報保護法が、2005年に施行されて以降、氏名と住所を見れば、条件反射的に個人情報と判断する習性が、行政組織に定着しつつある。議会事務局職員は、町長部局からの出向の位置付けであるので、このような運用に無批判に走っているのだろうが、肝心の議会も漫然とそれに追従している。おそらく議会側が、「よく分からない」がゆえに判断を回避しているのだ。遡る事平成14年、旧窪川町情報公開懇話会の席で、議会より参加した川村三彦義議長と山岡義正副議長が、総務課長辻不可死氏が、「行政の情報公開と議会の情報公開は本来別物なので、議会は議会で審議してもらい、最終的に窪川町情報公開条例として取り纏めたい。」と意向表明したにも関わらず、それに異論も唱えず、議会内審議もせず、ずるずると行政におんぶにだっこで、令和元年の今まで来たのだ。今更議会に、情報公開や個人情報保護について見解を求めたところで回答が得られるはずもないではないか。平成14年時、現議長下元昇議員は、窪川町議会に籍を置いていたのだ。従って今さら議長になりたくて「議会の見える化」などと言ってみたところで、この人物には、単なる便利な標語以上のものではない。畢竟知的レベルの問題である。議会の情報公開を定義できなければ、行政の情報公開も定義できないのは自明の理ではないだろうか。議会とは行政に説明責任を果たさせるために存在する。それで、行政の情報公開とは何かが判然としなければ、説明責任を果たさせる上での有効な質疑が生まれて来ようがないので、議会の体を為さなくなるのである。今、多くの町民が実感していることが、この議会の体を為していないという事である。議会ばかりではない。平成14年から16年の時を経て、増々行政と議会は、共に手を携えて、「質疑に答えることができない」方向、言い換えれば何一つ明確に説明できない方向、つまり瓦解傾向に突き進んでる。そして自分達の懐を増やすことだけに余念がない。時の政府と実に酷似しているのである。これほど酷似しているからには、彼らは一連托生の運命共同体であるのであろう。昨日のことである。農業員会と四万十町議会産業建設常任員会の意見交換会が開催されたと聞いて、産業経済委員会が農業員会を招聘したのか、農業委員会からの申し出なのかを、農業委員会事務局長西田尚子氏に聞いた。西田氏は、大正振興局の町民生活課課長佐々木優子氏、十和振興局の町民生活課課長の細川理香氏と並んで数少ない女性管理職であるが、その西田氏の回答は以下であった。

西田農業委員会事務局長:農業委員会も議会も町長部局ではない外局なので、持ち回りで意見交換会を実施して町長部局に意見を上げていってます。

私:議会が外局とは初耳ですが。それがあなたの認識なのですね。予土線利用促進協議会が沿線の市町村で構成されており事務局が沿線市町村の持ち回りとかならすんなり理解できるのですが。

西田氏が理解しているのは、農業委員会と議会が町長部局ではないという事だけである。地方自治法には、「地方公共団体に議会を置く」と規定されているが、農業委員会、教育委員会、人事委員会、公平委員会、労働委員会等の執行組織(町長部局屋知事部局を指す)からの独立性が担保された(人事に議会承認がいる)「独立行政委員会」を置くこともできる、と規定されている。だから議会は独立行政委員会ではない。直接選挙で選ばれるからこそ、首長の監視機能を持つ、地方公共団体の意思決定機関なのである。これは、地方自治制度の基本構造であり、そして西田氏はこれを理解していない。そして管理職である、総務課長の清遠康彦氏も私に対して、「議会は行政委員会だから」と発言したことがある。清遠康彦氏は、四万十町総務課長である。総務課長としては罷免級の認識の錯誤、職務遂行能力の低さであるが、中尾町長も森福町長も、決してそれを理解しないだろう。理解しないからこのような人事が行えるのである。西田農業委員会事務局も清遠総務課長も、議場で、議会と独立行政委員会及び監査委員を含む、執行側が質疑側(議員)と対峙して座っていることの意味自体が分かっていないのである。因みに西田氏に対して私は過去に、生涯学習課副課町の時に「次世代子供子育支援5ケ年計画書」中、ワークライフバランスの項目下に無料職業紹介所の就労実績の表が掲載されていた際、表中の数字の根拠が記載されておらず、それを質問したことがある。西田副課長の回答は以下であった。

西田副課長:うちは各課から上がってきたものを取り纏めただけですから、これは商工観光課から上がってきたものですから、商工観光課で聞いて下さい。

私:でも取り纏める過程で数字の意味の把握ぐらいするのが普通じゃないですか。

注)「次世代子ども子育て支援5ケ年計画」である。課を横断する個別施策の集合体である、個別施策の概要理解がなくて、なぜ取り纏めることができるのかが不明であり、この辺が長年放置されてきたという「役場特有職場文化」があるに違いないのである。臨時職員でもできる単なる切梁作業であれば、正規職員待遇が必要であるのだろうか。正規職員でありながら、担当業務内容の把握がないのだ。「対外的に説明できる程度に理解しているか」という問題意識が全くないのである。私は、西田氏から回答を得られそうもなかったので、仕方なく商工観光課(今の賑わい創出課)に行った。下藤広美課長と部下の戸田ゆかり氏が対応した。「調べてみないと分からない」と言われ、回答を得るのに2ケ月かかった。結局戸田氏は、オンラインで生涯学習課から送られてきた記入シートに、無料職業紹介所の就業実績値の経年変化を作表したものを入力し、更に備考欄に、無料職業紹介所を商工観光課内に開設した平成21年だけ実績値が飛び抜けて高くて(22人)、以降は軒並み1人とかに落ちている理由を「人口の高齢化で職業紹介を求める人の減少が一因」と記入していた。この備考欄で、一般求人に対する就労実績値であることが判明したが、戸田氏は、次世代育成子ども子育て支援計画中の施策として無料職業紹介所実績表を送付することにためらいがなく、西田氏もまた「次世代子ども子育て支援5か年計画」中のワークライフバランスの項目下にその表を挿入することに、何らためらいがなかったという事である。おまけに戸田氏に、無料職業紹介所の周知をどのようにしたかと聞けば、「開設年度に広報誌で一回だけ掲載した。」と答えるではないか。だから開設年度だけが数値が突出して高かったのである。実に、西田尚子氏と戸田ゆかり氏の2人共、杜撰で上の空の仕事振りではないか。槙野章議員不倫事件の際に不倫相手の元議会事務局書記が上の空の仕事振りであったと書いたが、上の空の仕事振りである四万十町正規女性職員は、かように数多存在する。私が、西田副課長に最も言いたいことは、「取り纏めるとはまず部分を理解することから始まるのではないか」という基本である。おそらく彼女は入庁以来誰からもそれを教わったことがないのであろう。繰り返しになるが、私が西田副課長に聞いたことは、たった一つ、「これは、子育て中の人の就労実績なのか。」である。数字の根拠説明がないので分からなかったのだ。私は、議員として「次世代子ども子育て支援事業計画書」を配布されたので、読んで内容を理解しようとしただけである。商工観光課からやっと回答を得た私は、再び生涯学習課に赴き、そこで以下のように言わなくては気が済まなかった。「このような流れ作業、まるでコピーアンドペーストじゃないですか。公務員人件費は最も高額な行政コストです。町民は、誰もこのようなコピーアンドペースト作業に公務員人件費という高額なコストをかけたいとは思っていないと思いますよ。単純な資料の切梁作業であれば、臨時職員で十分だと思いますけど。」

ところがこれが後日、「給料が高いと西原議員に暴言を吐かれた。」と政治倫理審査会に上がってきたでのである。私は「職員の給与が高いと言ったか。」と、政治倫理審査会審査会長、酒井祥成議員に、真顔で聞かれたのだ。川上哲夫教育長が教委員会内で事情聴取した際の西田副課長の証言であることは間違いない。辞職勧告決議前の弁明時に「職員の職遂行能力を職務上の事実に基づいて問うことを、誹謗中傷とはいわない。」と発言したが、他にもあるが、もちろんこの西田案件も念頭にあったのだ。政治倫理審査会は、自分が担当している仕事の内容を対外的に説明できない、少なからずの四万十町職員、これは町民にとっては、実害その物であるが、この職員の個人的利益を守るために「職員の個人情報保護のため」秘密会とした。どこに個人情報があるのか、意味不明ではないか。私は詳述したように、職務上のやり取りしかしていないのである。従って、中尾町長がどのように、町政懇談会等で、子育て支援、若者支援、地元高校応援等々吹聴したところで、このような職員の職務遂行実態を知る私としては、とてもじゃないが信用できないのである。全ての事業は、それを運用する職員の職遂行能力にかかっている。職務遂行能力とは、対外的説明能力だけではもちろんない。だが、説明できないという事は、自分がやっていることの、目的と意味を理解していないという事である。それでその事業が機能し、町民の福祉の向上に寄与するはずはない。それが今や管理職レベルで常態化しているのだ。農業委員会事務局長西田尚子と総務課長清遠康彦は、議会が行政組織の一部であると認識しているのだ。これで議会質疑に、まともに答弁できるはずはない。対峙していないのだから。安倍政権の国会対応と酷似している。実に身振り、口振りが同じではないか。四万十町民の皆さん。地元議会から国政が透かし見える。地元議会を御注視あれ。

四万十町議会議員  西原真衣