呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(22)

 前回、中尾四万十町長が前参議院選挙の時に高野光二郎選挙カーに同乗していた件を書いた。記事投稿後、ふと町長は、特別職公務員でも常勤だから、日中堂々と選挙カーに乗っていたのかと、改めてふと「いやな感じ」が胸に来たので、総務課に電話して確認を試みた。何でも思いついたら早速確かめないと、気が済まない性格なのである。総務課職員によれば、中尾町長本人は、「政治のことは自分に直に聞いてくれ。」「高野光二郎選挙カーに同乗していない。」と応答した。私は午前中自転車で、庁舎前を走行中の選挙カーの横を走り抜けたのだ。だから、選挙アナウンスを聞いた。「中尾四万十町長にも地元武石俊彦県議にも同乗してもらっています。」である。高野光二郎高知事務所にも確認した。我ながら執念深いとは思うが、どうにも気が済まないのである。事務所職員によれば、「選挙時には市町村長には、選挙カーへの同乗をお願いしています。私自身は乗っていませんので、事実は分かりません。自民党支部からお願いが行く場合もあります。」との事である。私は、尚も聞いた。「中尾四万十町長、と確かに聞きました。中尾町長には、同乗して頂けませんでした、と選挙アナウンスする訳はないですよね。」「そんな挙げ足を取られても。」この辺で、雰囲気が険悪になりかけたので、電話を切った。私は、決して、高野光二郎高知事務所職員を疑って、挙げ足を取ったのではない。中尾町長発言の真偽を確認したい一心だったのである。結果は、やはり、この中尾町長は自分が窮すると平気で嘘をつくという事であった。「政治的判断で、乗った。」と言えばいいものを。「乗っていない。」なんて、見え透いた事を、わざわざ、嘘をついてまで誤魔化すのである。このレベルで、咄嗟に条件反射的に嘘をつく人物であることは、公式発言も同様であることを意味する。嘘は不実の表れである、このような人物が、町民に対して誠実な仕事ができるとは、思い難い。それで、11月15日に開催された全員協議会での発言も、信憑性を疑うのは、私でなくても無理からぬところではないかと思う。

 全員協議会とは、執行部から議会への本会議提出議案やその他の重要施策の説明の場である。今回の会議次第は、議題1、(執行部からの説明について)風力発電における町有地の賃貸証明書について 議題2、その他1、四万十町政治倫理条例の見直しについて、2、地域聞き取り調査の日程等について 3.その他、となっていた、これは、四万十町議会HPで開催日時と共に周知されている。CATVでも周知されている。ただし、傍聴者はまずいない。私はまめに議会HPをチェックしているので、議題1を発見して, すかさず傍聴に赴いた。選挙で自分が選んだ議員がこのような場でどのような発言をしているかを私は多くの町民皆さんに是非ともチェックしてもらいたい。それが民主主義を正常に機能さす上での、製造物製造者責任の基本ではないか。勿論、時間がないとか、遠いとか、個々の事情はあるとは思う。けれども、ケーブル中継される本会議は、年僅か16日しかないし、これは事前に丹念に調整された表舞台であり、議員各位の本当の資質、能力、力量はここだけでは到底分からない。全員協議会、常任委員会、議会運営委員会、広報広聴委員会等で、議員間審討議を聞いて初めて、議員各井の力量が力量が分かる。全て原則公開でやっている。議事録は、公開されていない。開示請求すれば出てくる。ここがみそである。彼らは,言質を取られたくないという議員にあるまじき、ご都合主義を従前貫徹してきたのである。会議の存在が知らされず(従来はHP掲載だけであった)、議事録は取っても、議会事務局のファイルキャビネットの中に保管され、開示請求(開催日時、会議名を記載して特定する必要がある)があれば、仕方なく出すというのが、今だに現状である。ここは,極めて肝心な点である。「傍聴圧力がないところで何が展開されてきたか、そして今後も起こり得るか」を、今から紹介してみよう。全て私の体験談であり、事実である。議員であった時、議会放送を熱心に見ている知人、友人からは、何で発言中止になるのか、と散々聞かれてきた。分からない。私自身が未だに理解できない。私に対して「発言中止」を議場で頻発した議長は、橋本保と酒井祥成である。その前の議長宮地章一は、隣の議会事務局長に相談しながらの、いかにも、もたつき加減の自信無げな議事整理であったので、条件反射が遅く、発言中止を出すタイミングがうまく取れなかった。議事内容に議会規則を瞬時に適用する反射神経(正確には理解上)の問題があったのだろう。この議場における発言中止は、議事整理を通じて行政利権をあぶり出す、格好のケーススタデイを提供してくれたので、又の機会に詳細に書こうと思う。だが、当時の私にとっては、言論封鎖その物であったことは間違いなし、事実理解に苦しんだ。行政利権と彼らが思っているもの、それが彼らの利権の原資であるという観念が彼らにとって自明であったが故に、そうでなくて、「町長提案で、議員報酬を上げてもらおう。そして町民の反感をかわして次の選挙にも勝とう。」などという野卑な発想がどこから生じる必然性があるのだろうか。結果的に、彼ら歴代議長の私に対する発言中止措置が、結果的に現況の行政利権をあぶりだしてしまったのである.つまり彼らの議事整理とは、次元を変えれば、失言集のごときものである。私はことさら利権のあぶり出しに邁進していた訳ではない。自分にとっての従前の疑問をストレートに口にしただけである。私はそれが目的で議員になったので、それを封鎖されること位腹立たしいことはなかったのである。発言中止理由は、主に、「通告外」と「議題外」であったが、もう少し内容が込み入った場合は、「不穏当発言」「事実に反する」や[議会が事実確認できない」「個人に対する誹謗中傷」から「議会の品位を貶める」と勢揃いであった。最終的には、議会の品位と彼ら自身の品位を見比べることで、いまだに私の中にくすぶっている彼らに対する憤慨を発散したい所ではあるが、怒りが風化しないという自己の性向を活用しつつ、この貴重な体験を、あるべき議会論や行政論に繋げてみたい、いうのもまた本心である。

 まずは、「通告外」の事例報告から始める。以下の文書を見て欲しい。前段で公開した、通知文「四万十町議会議員への対応について」をそのまま通告した。森武士副町長名での通知であるので、通地内容の法的根拠を質すためにである。ところが議会運営員会、堀本伸一委員長は、この一般質問通告を却下した。理由は「町の一般事務ではない。一般質問に馴染まない。」である。質問通告は議長に対して為される。議会運営員会は、議長の諮問機関である。議会運営員会には通告内容の検閲権はない。却下された。「執行部に都合の悪いことは、質問させない。」が通用したのだ。安倍政権と相似形である、と感じるのは、私だけではないだろう。権力に阿りながら蠢く利権に占拠されているのは、国政も町政も同様である。

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この 通告内容が、町の一般事務に当たらないとは、こじつけではないか。森副町長の四万十町全職員宛てのメール(通知)が、なぜ町の事務に該当しないのか。理解できない。中尾町長は、この通知文の法的正当性を本会議の場で、立証しなくてはならない立場である。議会はそれをさせなくてはならない。これは町の一般事務である。私が相談した弁護士もそう言った。今回、公開したこの通告文には、右上に日付と、甲42号証と記したシールが貼られているのが、見て取れるだろうか。私は、議会で圧力をかけられ、言論を封鎖されて、本気で裁判を起こすつもりでいたのである。議会とは、公権力である。彼らの権力の行使が職権乱用であると証明しなくてはならないのは原告側である。裁判所は、公権力側に忖度するので、裁判に勝つのは非常に困難であり、まず裁判所は訴えを受理しない、と何度も通った岩崎淳二事務所の林良太弁護士には諭された。そこで私は、本会議を裁判所に見立てて、堂々と、議長の職権乱用論を法律論に基づいて口頭弁論陳述したかっただけである。そのために地方自治法四万十町会議規則を読み込んだ。ところが議会運営委員会は、これを検閲して、却下した。この時の議会運営委員長が堀本伸一氏であり、この人が同じく議会運営委員長として平成30年度12月定例会閉会直後に、「議会運営委員会の委員から(議員報酬引き上げ議案への)反対討論が出たことで、委員長の自分が、議会を混乱させ、町民に騒動を引き起こした責任感から町長に謝罪した。委員から自分にはまだ謝罪がない。」と発言したこと及び、12月定例会開会直前の議会運営委員会の場で、岩井優ノ介議員に対して、「反対するなら黙って反対するように。」と諭したことは、覚えてていいことだろうと思う。そのようなやり方で、議会を隠然と統制しようとすることは、私は、看過できない。「隠然と」と言い切ることができるのは、事務局からの却下通知メールを見てもらえれば分かると思う。却下理由が、会議規則と議会運用実務書の抜粋コピー添付だけであり、自作の文章が存在しない。つまり、自らの言葉で説明できないのだ。だから議会運営員会でまともな議論があったとは思えない。議会運営員会という8名の議員編成の場の同調圧力だけで物事が決着しているのは明らかである。これを「隠然」と表現した。本来議会とは、行政に対して説明責任を果たさせるために存在している機関である。少なくとも私は、それ以外の定義を知らない。ところが、町民から見えないところで、見えないからこそ、このような内部統制が、隠然と行われてきたのだ。私が受けた言論統制は、その体質を如実に表面化させた。だから今、議会で私に何が起きたかをレポートすることを通じて、「権力の根源は情報の非対称性にある」ことを立証して行く考えなのである。

 傍聴者が不在であること、議事録を自らが公開しないことは情報の非対称性の存立条件である。彼らは現職であり、「隠然と内部統制を諮りながら、議会の集団としての利権を守る」という体質が今も脈々と受け継がれているからだ。大藤風力春電事業で、特別調査委委員会が、立ち上がらなかった背景にも、このような体質が潜んでいる。総務常任委員会に対して、公聴会開催の請願を出すのは、その体質を衆目の下に晒すのが、真の目的である。公聴会に招聘すべきは、前回書いた、反対運動代表者、賛成派代表者、地元学識者、武吉廣和氏、オリックス社、参考人として中尾町長、中井四万十川対策室長、山本康夫企画課課長に追加して吉岡建設課長、多賀農林水産課林業振興室長である。吉岡建設課長は、風車の輸送路に大正期の川の橋向こうの町道が含まれる可能性がある(山本課長弁)件で、「町道拡幅工事費用負担は、基本的にはオリックス社との協議事項であるが、オリックスからまだ申し入れはない。最終的には町長の政策的判断で、町負担もあり得る。」と私に答えたし、多賀林業振興局長は、「オリックス社による保安林解除の申請時期は、土地の賃貸契約締結後になると推測する。契約が成立していなければ、オリックス側が、利害関係者として申請者になれない。」と私に答えている。私一人がこの回答を持っていても仕方ない。公聴会と言う公開の場で発言してもらわなくてはならない。特に、吉岡範満建設課課長発言「町長の政策的判断で、町道拡幅に町負担もあり得る。」は大いに気になる所であるし、愛媛県愛南町では、愛南町長を被告として地愛南町僧十地区住民が、保安林解除の差し止め請求を松山地裁に提訴していることからしても保安林解除も争点である。(原告名と原告代理人弁護氏名を松山地裁に問い合わせたが、教えてもらえなかった。代理人弁護士は、おおよそ、「四万十ふるさとの自然を守る会」と「四国風車ネット」が共催した、9月7日の勉強会「みんなで学ぼう風力発電四万十川にいる、いらない」の講師を務めた市川守弘弁護士であろう。被告が愛南町長であることは、四万十町議会事務局から聞いたので、確かな情報である。)さて、中尾町長、前回の参院選時の高野光二郎候補者の選挙カー同乗(複数の情報筋から乗っていたと聞く)さえ、「政治のことで、直に聞いてくれ。自分は乗っていない。」と発言する御仁である。明らかに正直さに欠ける、この人物の「政策的判断」に基づく発言をどう料理できるか、議会主導の公聴会の開催は、四万十町議会の力量が、この巨大開発事業に絡めて衆目に晒される絶好の機会となると、私は、思う。議員報酬引き上げで委員会活動を活発にすると申し合わせたのは、私は決して忘れていないし、又同時に四万十町民の皆さんには、是非この公聴会開催と傍聴によって、「政治とは利権と選挙である」だけではなく「政治とは、他者と共有できる社会的価値観を制度として実現していくプロセスそのものでもあり得る。」という認識の多面化への参画を期待したい。認識の多面化は、判断と選択肢の副層化を通じて現実の多面化をもたらすのではないか、という期待が自分の中にはある。それは、そこに暮らす人の物心両面の活気と豊かさの指標ともならないか。「人はパンのみにて生きるにあらず」は真言である。今回は、全員協議会議題1(執行部よりの説明)風力発電の町有地賃貸証明書について、の議事内容を書くゆとりがなかったので、次回に譲りたい。

 

四万十町議会議員 西原真衣