呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

地方議会から日本を見る(2)

     まちなか再生「戦略本」の顛末

「戦略本」とは何か。殆どの四万十町民はその存在さえ知らないでいる。大半は町役場に秘かに保管されている。この作成に四万十町は800万円を費消した。

まず「戦略本」策定プロセスと現況を時系列で整理してみたのが以下である。

※令和3年戦略会議会議立上げ(官民混成、役場職員10名と窪川地区民間事業者9名で構成、人選はスターパイロットM氏一任、委員は町が委嘱せず、行政職員には時間外手当支給(全員若手なので時間外手当40才、時給換算2250円と見積もって合計30万円相当、民間事業者にはM氏から交通費相当の謝金が支払われたとのこと、全8回の会合

※令和3年8、9月窪川地区在住町民8000人に郵送アンケート実施費用36万円相当

※令4年4月に「戦略本-生産に囲まれた四万十の中心」完成、1000部印刷、戦略会議委員に各5部ずつ配付、「戦略」の概要を口頭で説明した上での知人友人に配布を依頼、以降委員による追加配付用冊子の入手依頼なし

※令和4年6月22日に、窪川中心市街地活性化協議会に「戦略本」の配布兼報告、策定受託者スターパイロットM氏がオブザーバー参加、M氏から直に「戦略本」についての解説がなされる。この折委員である「しまんと街づくり応援団」団長K氏及び観光協会会長I氏より「戦略本」の内容への強い異論が出たことで、協議会の総意による「窪川中心市街地活性化計画」への戦略本の中核的な位置付けが見送られた。この経緯は、「窪川中心市街地活性化協議会」議事録(6月22日開催分)に詳しい。

※令和4年度まちなか再生支援事業(事業費500万円)-

予定では、「戦略本」に基づく「中心市街地事業者及び住民への聞き取りを行い、空き家の有効活用や事業継承に繋げる狙いがあった」。ところが、協議会における協議不調により「今年度は、スターパイロットM氏との契約が見送られることに決定した。今後協議会に諮った上で、賑わい創出課の職員による中心商店街の事業主や住民対象に聞き取りを行った上で利活用可能な空き家の発掘や商店街事業者の事業継承に繋げたい。」(賑わい創出課O課長)。抑々「戦略本」が無くても職員によるそのような「基本的、原則的な」聞き取り調査は出来るのではないだろうか。それとも「M氏による戦略本に基づく戦略的聞き取り」を本気で期待していたのか。果たしてその戦略の中身とは何か。公開されず僅か95部しか配布されていな以上「戦略本」を直に見てもらうしかない。町が公表しないので、敢てここに公開したい。この作成に800万円近くが費消されたということを念頭に見てもらいたいのである。

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さらに表には出ていないが、根本的に疑義を感じざるを得ないことが別途ある。時系列的には令和2年文化的施設基本設計業務プロポーザルに遡る。この時の応募全18社が町に提出した見積書中にあったスターパイロットの見積もり(生涯学習課課から開示請求によって入手)によって、以下が判明した。

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B標準外業務

エリアイノベーション基本計画策定業務  800,000円

ワークショップ・レクチャー企画及び運営補助費  1,500,000円

は当然受注者スターパイロットの基本設計受託業務に含まれる。基本設計委託業務契約書は、上記2業務の資料提出を成果品として明示した契約内容であった。当然成果品は生涯学習課に提出された。では当の、「エリアイノベーション基本計画策定関連資料」「ワークショップ・レクチャー企画及び運営補助費関連資料」はどうなったのか。令和2年度に生涯学習課と賑わい創出課はM氏を交えて何度が協議の場を持った。その結果、市街地再生事業は賑わいに移管することになった。これ自体協議以前の問題ではないだろうか。生涯学習課と市街地活性化はなじまない。賑わい創出課とは元商工観光課である。辛うじてまだここまではいい。文化的施設構想は、抑々基本構想策定時から、「中心商店街活性化と絡めて旧庁舎跡を立地予定地とする。」と検討委員会でも議会でも説明されてきたのである。従って「市街化活性化」を織り込んだ文化的施設基本構想、基本計画を受けて、標準外業務エリアイノベーションをプロポーザルしたことが効を奏してスターパイロットは基本設計業務を受託したのである。ところが、生涯学習課と賑わい創出課の協議の場で、「関連資料」に言及されることはなく、当時の両副課長は口を揃えて「そのような物があること自体を知らなかった。」と私に明言した。当時の両課長も知らなかったのだろうか。「文化的施設と中心市街地活性化は政策パッケージである」と町民には説明し続けてきていながら、合計230万円を費消した「エリアイノベーション関連成果品が生涯学習課から賑わい創出課に引き継がれた形跡が全くないのである。勿論町民はそのようなものがあることなど知り様もない。その上で翌年度は更に800万円を予算計上して「戦略本」が作成されたのだ。この策定業務の委託先は、800万円の原資となった「ふるさと財団」助成金申請採択時に既にM氏に内定していた。スターパイロットM氏は、「ふるさと財団」「まちなか再生支援アドバイザー」に登録されており、助成金申請時に町は、「まちなか再生アドバイザー」スターパイロットM氏を指名して助成金申請を行い、採択となった。この時点で策定受託者はスターパイロットM氏に内定している。この時の助成金申請書類の内容の内容が「エリアイノベーション基本計画策定関連資料」瓜二つであることが、当方の突き合わせ作業で発覚した。結局生涯学習課から支弁された80万円の成果物は、助成金申請書類として使われ議会や町民の目に触れることはなかった。なんだかひどく人を食った話ではないだろうか。コンサル作文が役場職員の実質労働のアリバイ工作の如く中身を吟味されることもなく課から課を素通りし、且つただ使い回されているだけなのである。賑わい創出課の担当職員は、給料を取りながら自力で助成金申請書を書けないのだろうか。真の問題はここにある。万事コンサルに作文してもらわなきゃいけないような「市街地活性化事業」が成功する訳もない。つぶれない役場でなければ起きようもないことである。自分で描けない絵は着地もしなけば、実現もしない。この常識に立ち返る必要がある。

 さてもう一つの「ワークショップ・レクチャー企画及び運営補助費関連資料」はその後どのように活用されたのか追ってみた。

因みに、ワークショップ・レクチャーの実施はコロナ禍で中止、令和2年の年度末に1度だけ一般行政職員対象の「市街地再生の考え方」に関するM氏によるレクチャーが庁内多目的ホールで実施されたとの事である。それも任意参加である。もう一回この資料が現れたのが、令和2年第1回総合教育会議である。議事録にプレゼン資料として添付されている。エリアイノベーションのキーワードである、「都市経営」人口減社会における文化的施設施設建設による市街値活性化効果を謡っている。人口が減り、使える予算も減る中での、選ばれる(人を呼び込める)まちづくりのためには旧庁舎跡を立地とする「文化的施設」建設が最大有効施策であるという一大プレゼンテーションである。総合教育会議議事録中も、図書構成の具体的な内容や人員体制について質問したS教育委員への具体的な返答もないままに、このキャッチフレースを繰り返す、中尾町長、山脇教育長、H生涯学習課の発言内容が示唆することは、たった一つ、「彼らには図書館ビジョン本体がない」ということだけである。これをカムフラージュし、人口減、予算縮小時代における「文化的施設」建設の必要性を誇張するためのレトリックをコンサルタントに発注し、噛み合った議論をする代わりに一方的にそのレトリックをキーワード化し、要所々でスタンプを押すかの如く使用している。更に「子供が集う文化的施設の具体的なイメージが沸かない」というS教育委員の意見に対して、寺子屋」「森の幼稚園」を連発する中尾町長の応答振りには呆れる。彼らは図書館についてまともな議論ができないのだろうか。本音は「町長任期中に大型箱物公共工事を是非ともややって実績を残したい」という中尾町長の真意が、虚しいコンサルからの借り物の言葉から零れ落ち、あたりを一面水浸しにしていくかのようだ。「体系を欠く多弁による言葉の液状化、水浸し。」これが、この中尾博憲という政治家の真の姿である。その結果哀れな町民は、自ら選んだ町長が齎す町政の液状化による町政への信任の液状化、溶融化の危機に晒されている。結局戦略本の顛末が語っているのは、中尾博憲町長が齎した町職員の中身の溶融化なのだ。唯一このインナーサークルに汚染されてない一般町民による良識と健全さという拮抗力が「窪川市街地活性化協議会」の面によって発揮されている。抑々窪川市街地活性化協議会」の協議の中で本来は戦略本の作成が行われるべきであった。ところが「窪川市街地活性化協議会」の委員に受けが良くないスターパイロットM氏は、自分が人選を担う独自委員会の設置を担当課に提案し、それがすんなり担当課に受け入れらえれたという経緯がある。そうやって作成された戦略本の「窪川市街地活性化協議会」に対する報告会の場で(M氏は「戦略本」説明のためにオブザーバー参加)「しまんと街づくり応援団」団長を務める委員K氏が、賑い創出課及びM氏と、「しまんと街づくり応援団」の「市街地活性化の考え方の「齟齬」に言及している。高知銀行支店長であるM委員はK氏の「齟齬」発言を受けて、「齟齬とは何を意味するのか」と率直に質問している。「認識の齟齬を調整しなければ、総意が整わない。今後の方向性に支障が出る」とK委員は苦言を呈している。それらの発言を受けてスターパイロットM氏は、「戦略本は強制ではない。分断のために作成していない。参考にしたい人が参考にしてくれたらいい。」と、抗弁している。これはかなり苦しい抗弁である。「参考にしたい人が参考にしてくれたらいい」という受託者の認識であれば、初めから単なる中心商店街事業者及び関係行政職対象のレクチャーの提供で完結すればいいのである。1年がかりの戦略本策定に至る手間暇と800万円という費用が必要であったのか。それを自らが否定するような矛盾に満ちた抗弁ではないだろうか。その間、事務局である賑わい創出課O課長、S副課長、T係長、T主幹の4名からは、「齟齬」についての認識、解釈は一言も出てこない。それに輪をかけたように協議会座長であるの商工会会長兼四万十町議会議員である武田秀義委員に至っては、「戦略本」の内容は素晴らしい」と賞賛した上で、しまんと街づくり応援団」には独自の捉え方もあろうが、ここはコラボレーションの場であるので、「戦略本」を今後の「窪川中心市街地活性化」事業の中核に据えるべきである。」と発言している。協議会設置要綱は、協議会が「コラボレーション」の場とは書いていない。

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「コラボレーション」とは、「共同作業」を意味する言葉であり、共同作業で戦略本を策定したならいざ知らず戦略本を了承し、協議会の総意とするか否かの審議を「共同作業」とは言わないだろう。設置要綱には、協議会が合議の場であり、傘下にワーキンググループを設置する権限や参考人招致権限又公費での視察研修もできる旨が明記されている。であれば、賑わい創出課を事務局とする協議会の統制下で、ワーキンググループを設置し、ワーキンググループがスターパイロットM氏をオブザーバーとして招聘して関係者にヒアリングを行い「戦略本」を策定すればよかったのではないか。その際アンケート集計結果が、そのたたき台となる。ところがこのアンケート集計結果も協議会で配布されて終了となっている。本来これも協議会の中で集計、分析され戦略策定のタネとなるべきである。そうして初めてその戦略が中心市街地活性化の中核戦略として位置付けられる。そのような、協議会設置要綱の趣旨に沿った適正にして正当なプロセスを経ていれば、K氏が指摘するような「齟齬」は生まれなかったのではないか。その意味では、商工会会長兼四万十町議会議員武田秀義氏の、設置要綱の理解自体に首を傾げざるを得ない。この人は座長として肝心要の事が分かっているのか、大いに疑問である。スターパイロットM氏にしても抗弁が苦し紛れに聞こえるのも、コンサルタントの立場で、協議会設置要綱の理解不足を主張できない以上、一先ず理解した上で、協議会と対峙しなくて済むような迂回路を提案したと大いに取れるではないか。その提案にウカウカと乗ってしまった辺りがに賑わい抄出課における町職員「溶融化」現象の中核である。それやこれやで、「窪川市街地活性化協議会」の委員の不評にあって、令和4まちなか再生支援事業はM氏と契約締結に至らず、M氏への委託作業は中断され、今後の委託はなしとなった。令和2年度の「エリアイノベーション基本計画策定関連資料」「ワークショップ・レクチャー企画及び運営補助費関連資料」に費消した230万円はどうなるのか。この様ではコンサルタントを使えず、コンサルタントに使われているとしか思えないではないか。これは、全く町民の望むところではない。担当課職員は本より、コンサルもコンサルならばヒアリングに参加した若手役場職員も若手職員である。彼らは「戦力本」の行方など毛頭関心がないようである。5部手渡され、「戦略を理解してくれそうな(ヒアリングに応じた当該一町職員談)」知人友人に配布してお終いである。役所は税金で運営されているところであり、TV局ではないのである。TV 局が実施するモニター調査等であれば、モニターには通常TV局から謝金が出る。役場で出るのは公金である。ところで競争なく淘汰原理の働かない環境下で、行政でありながら箸にも棒にもかからない広告代理店紛いのことをやっている賑わい創出課の総決算は誰がやるのだろう。少なくとも今の町議会でないことだけは確かだろう。彼らは予算を通していながら誰一人、「戦略本」を入手しようともしなかった位なので、質の高い決算審査等期待しようもない。是では、全面沈没である。この現状を憂える中で、以下の様な防犯川柳が念頭に浮かんだ。四万十町の公金健全保全、健全費消という面での防犯意識の高揚目的で年末防犯川柳として投稿したい。

  戸締りが悪過ぎて公金逸失空き巣の如し町役場

中尾町長「都市経営」などという借り物の御託を並べる前に通常の戸締りをしろ!!!ネットショップで費消した4600万もどうするのだ。事業中止から1年3ケ月、財源の半分である地方創成交付金は国庫から出ている。会計検査院に睨まれたらどうするのだ!!!町政の液状化、溶融化は人災である。この人災の震源は中尾博憲その人である。

西原真衣