呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(124)

 

   一般質問の研究第2弾・林健三議員編

  執行権は執行部にしかありませんから町長答弁を!!

 四万十町議会12月定例会で、林健三議員の一般質問を全部傍聴した.実に物好きな話であると我ながら思うのだが、この林健三議員は、私にとっては謎の人物なのである。何が謎かと言えば、

1「議員なのに」漢字を読めないことに恥じの意識や危機感を持たない。―これは麻生太郎も同じ

2 状況次第で、血相、表情、態度が変わる。

3 質疑の場で執行部答弁に全く影響を受けない、動揺しない。

このような様子を観察した挙句、ある仮説を立てた。日本の地方議会にはよくいる類型で、珍しくもないかもしれないが、個人的には、このような類型に属する議員になぜ票が入るのか、実に謎なのだ。勿体ぶる必要一切ないその仮説とは、

 林健三議員にとって議場はカラオケステージである

議会に登壇するだけで意識を高揚さす働きのある神経伝達物質である「ドーパミン」が出るのである。「ドーパミン」は、脳の報酬系で作用する物質で、ゲームに夢中になるのにもこの「ドーパミン」が作用しているという。覚醒剤も「ドーパミン」の放出を促すということが知られている。結局、林健三議員は議場で「超気持ち良くなる」ので「選挙に出るのを止められない」という事なのだ。無論この林健三議員を議会に送り込むには票がいる。「議場をカラオケとする愛嬌者へのご祝儀」として票を投じているのが半分で、残りの半分は、「山持山師が当地の有力者の端くれであれる、旧大正町の産業基盤から来る土地柄の影響」ではないかと睨んでいる。確かに林健三議員は、議員ではなく山師と見れば腑に落ちる。一般的に山師が品が良かった試しもない。その山師議員林健三の決めセリフは、

 執行権は執行部にしかありませんから町長答弁を!!

である。今回は5回出た。町の事務事業について質問するにも、何分漢字の基礎学力に問題がある以上、「思い付き提案型」質問しか選択肢は残されていない。それでも決まって最終幕で「執行権は執行部にしかありませんので」とぶち上げて興をそそろうとするのだ。本人は、ひたすら意気揚々としている。議場は、長年の慣れもあり、又飽きもあって特に反応しないが、傍聴席でこのセリフを聞くと、執行部=執行権に対する「忠心」のようなものを感じて、いつも妙な気分になる林健三議員が、その単純さで内面化している「執行権への忠心」は、その「忠心」を見せ金に「議決権」というサイコロを転がす博徒の様な風情を議員集団に与えている「何か妙なもの」でもある気がするし、同時にその「何か妙なもの」は、彼ら議員集団を餌場に蝟集した猿の群れのようにも見せているのである。まず、彼らは一向に不勉強を恥じない、それが多勢であれば、漢字が読めなくても居心地も悪くはならないのだろう。が、私はここはどうあっても譲れない。漢字が読めないという事は即ち、その漢字熟語=言葉が持つ概念に無縁ということになり、その概念を含む事象の審議に支障が出るというということにしかならないからである。通常、概念を組み立てて事象の理解を試みる営みを、思考する(考える)と称する。思考を構成する単位である概念数が少な過ぎれば、執行部の有様に対する批判的思考(有様を相対化する)が成立するとは考えられないので、批判的思考とは無縁であるこの林健三議員においては特段に、執行部に対する批判=監視は成立不可能とならざるを得ない。同じく大正町出身の現議長味元和義議員が、自分の立ち位置を示す時の決まり文句は「町長与党」であるが、不思議なことに、味元議員の「与党」は、対立概念としての「野党」と対照的に用いられることはない。味元和義議員の「町長与党」「町長」とは政権交代を視野に入れた政策集団ではなく、誰が町長であってもそこに帰属する「予算提出権=金目」を指しているからである。つまり「町長与党」とは、「予算提出権に翼賛する者」ということになる。その意味では、林健三議員と味元和義議員は、「議場という餌場に蝟集した猿の議会」の由緒ある正規会員である。本題の林健三議員の質疑に入る。

林健三議員:地域おこし協力隊を林業現場に赴任さす考えはないか。 

池上農林水産課課長;四万十町は県下で随一の林業事業体数を誇っている。林業事業体向けに、森林環境譲与税を活用した「緑の雇用」という人材確保事業も実施している。又移住定住相談会の場でも林業部門への就職希望が増えていることも耳にしている。

中尾博憲町長:協力隊は現在19名いるが, それぞれのミッションがある。が、せっかくの林議員の提案は重く受け止めたい。林業部門のミッション化は今後「調査研究」させて欲しい。

 林健三議員;自分の所に協力隊が3人ほど来たが後が続かない、是非前向きな検討をお願いしたい。

池上農林水産課課長は、林業部門の人手不足対策面で、地域おこし協力隊の林業現場への投入は目下必要ないと明確に答えているが、これが全く林健三議員に影響を与えてないことが見て取れる。そして中尾博憲のいつもの「調査研究」ベンチャラ答弁で幕引きとなる。林-中尾間のやり取りは、白昼の与太話である。

「まじめにやれ、中尾博憲と林健三の与太話は気が済むまでラーメン屋でやれ!!」

と野次を飛ばしたくなる場面である。

林健三議員:婚活事業の実績を聞く。婚活サポータに報奨金を出したらどうか。成婚率が高まるのでは。

川上武史企画課課長:婚活事業は県の事業で、婚活サポーターはボランテイアという位置づけである。婚活事業の実績値は、マッチング成功20件、交際に至ったのが5件、成婚まで至ったのが1件である。

林健三議員:大正町では郵便局員が配達時に、婚活系の情報提供をしていて、四万十高校の先生の結婚に繋がった例があり、後からその先生に非常に感謝された。その様な仕組みづくりを是非やってもらいたい。

林健三議員の頭の中では、「出会いがないから結婚しない。結婚しないから少子化が進む」が一向に揺るがないのが見て取れる。時代背景、情勢の変化を見越した状況判断が成り立っていないことが分かる。成り立ってない事例をもう一つ

林健三議員:決算特別委員をやらしてもらったが欠損不能額(滞納による未徴収税額の総計)を減らすには、昔あった前納報奨金制度(固定資産税と住民税を一括で払えば前納報奨金が出る)を復活さす考えはないか。

吉岡範満税務課長:前納報奨金制度は、戦後納税意識の高揚目的で創設された制度である。戦後とは時代背景も様変わりし、住民税における前納報奨金制度は、普通徴収にしか適用されず、特別徴収との不公平があるという指摘をがあり、又固定資産税は、一括前納できる富裕層に有利になるとの指摘があり平成24年廃止された経緯がある。徴収率の面でも現況では、固定資産税と住民税の徴収率は97,8%近辺で推移している。欠損不能金に繋がる滞納者は、生活保護に近い貧困層や「行方不明者」であるので、前納報奨金制度の利用者と所得階層が異なり、前納報奨金制度の復活による滞納欠損金の減少効果は、ほぼ期待できないと考える。

林健三議員:4回が5回で払う税金を1回で払えば報奨金をもらえるというのは、納税意欲が間違いなく高まると思うので、是非前納報奨金制度を復活させてもらいたい。

執行権は執行部にしかありませんので、執行権のある町長答弁を求めます!!!

中尾博憲町長:失業や病気も税金の滞納に繋がります。前納報奨金には、廃止された経緯があり、廃止になったものをにわかに復活させる考えは現時点でありませんが、尚議員提案を受けて「調査研究」させてもらうという事でご理解頂きたい。

上記質疑の着目点は、まず1点目が吉岡税務課長答弁内容を林健三議員が全く理解せず、故に何ら影響を受けないという点、2店目が「調査研究」の結果を決して問われることがないと踏んでいる中尾博憲が「調査研究」で相手の面目を保ちつつ、実に安易に幕を引くという点、そして3点目が、担当課長答弁中の、生活保護レベルの貧困者」「行方不明者」という部分を直後に答弁に立った中尾博憲が半ば条件反射的に「失業」「病気」で上書きしているところである。「失業」「病気」は、税の軽減措置の対象でありそこから滞納に繋がることはあるだろうか、生活保護レベルの貧困者」「行方不明者」が与える「だらしない、怠慢、無能」という一般社会通念上の印象(と中尾博憲が想定する)を「失業」「病気」という「誰にでも起こり得る止むを得ない不測の事態」という印象で置き換える必要性があったのである。中尾博憲が条件反射する町民反感回避策答弁である。おそらく旧窪川町はこの様な発想を持つ公務員が自動的に人材育成されてしまう職場環境であったのではないか。中尾博憲には34年間の窪川町役場職員歴がある。

 いずれにしても林健三議員は、答弁内容に全く揺るがないのである。全く軌道修正が起きない。そして同じ提案を繰り返し堂々と述べる。従ってこれは質疑ではなく、演歌の歌唱に近い。結論的にはやはり、最初の仮説「議場がカラオケステージである」の裏付けとなっている。はっきり言えば、林健三議員は、「真正馬鹿」という他ないのである。林健三議員票がどこから来るのかは、正直な所、私には難問過ぎる。大正にはカラオケファンが多いのではないか。それと「金目=補助金過敏体質」もありそうである。なぜそう思うかと言えば、旧大正町が、地の利からそれしか選択肢が無く取り組み続けたであろう「林業立町」は、おそらく補助漬けであり、オリックス社の大藤風力発電事業計画への抑止力を狙った「ヤイロチョウのさえずる町づくり条例の制定を求める請願」も議会で採択されたはいいが林業に支障が出ない範囲で」などと実質骨抜きとなった経緯も、長年の林業行政における作業道開設や間伐が補助金漬けであることと決して無縁ではないように思われるのだ。実際の所、請願採択議決直前場面で、林業に支障にならないように言ってくれと地元から頼まれた」と発言したのは、林健三議員であったのだ。補助金なくして林業なしというのが実態であれば、林業立町」が生み出した補助金観」は、林健三議員の一般質問にも脈々と息づいているのが見て取れる。「区長報酬の引上げ」「婚活サポーターへの報酬創設」「出産祝金増額」等々などである。有体に言えば、彼等にとって「執行権」とは補助金ATM」である。体験的にも、議員報酬引き上げ議案可決の直後、議員控室で、私が反対討論に立ったことを「パフォーマンス」だと林健三議になじられた。私の反対討論内容は、「議員の実働日数の少なさ(年間本会議16日、委員会8日、議員派遣(研修や来賓式典出席で本来の業務とは言えない)45日)と町民の議会に対する評価の低さ(アンケートに示された)を理由に議員報酬引き上げに反対」という、単刀直入にして簡潔明瞭でなものであったのだが、議員控室等では、いつもはヘラヘラ、ニヤニヤしている林健三議員が、この時に限りいつにない険しい表情で、「パフォーマンスだ」と私に喰ってかかってきたのだ。確かにこの人物、今思い出してみれば、自分に直結した「金目」(議員報酬引き上げ)に係る議場の裏工作場面では、鳴りを潜めて実に大人しく、逆らわず、追随を決め込んでいたと記憶している。林健三議員、自分に直結する「金目」で豹変するのは、やはり山師が正体なのである。

 それにしても、「執行権=補助金「議決権=補助金引出権」という恒等式で頭が埋まっている議員が旧大正、十和村から一定数出ているということを見聞するにつけ、町村合併とは、まるで不幸な結婚の様なものであると、私はつくづく思うのである。食性が違えば結婚生活は容易に破綻するらしい。産業基盤構造からくる食性の違いという事か。舌は記憶に結びつき容易には変わらないらしい。確かに食性は脳と無縁ではないだろう。「合併」の難しさである。本音を言えば離縁したいと思うのは、果たして私だけか。

西原真衣