呆れた議員達の行状

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風力発電と蠢く町政(118)

 令和2年度「ネット販売」補助金4600万円の積算根拠

10月29日、四万十町議会決算特別調査委員会の場で、賑わい創出課小笹課長が、今までに既に交付したネット販売補助金4600万円の単価設定について、以下のことを明らかにした。

小笹課長:リバーノート取材記事作成の日当が、四万十ドラマ社員2名、四万十ノ社員2名で、一人当たり日当2万5千円とした。この2万5千円の積算根拠は社会保険料込みの人件費で事務費等も含んだ、月給換算35万円を基にして日当額を設定した。

注釈:四万十ドラマと四万十ノが若手社員に月給額35万円を支給しているとは、まず考えられない。この官製相場の大半は中抜きされていないか。

小笹課長:商品画像1枚、20000円、商品説明文1枚15000円とこれも[ふるさと支援事業中間管理業務の単価を採用した。

小笹課長:「リバーストア」構築にあたったアンデイという業者の日当は4500円であった。この積算根拠は、企画課情報担当から情報提供があった、SE(システムエンジニア)日当3万円、PM(プログラムマネージャー)日当45000円の高PMを採用した。

注釈:因みにプログラムマネージャーとはWebサイト構築の進行管理役であるという。そう言えば、四万町森林組合も請負業者に対し「工程管理」の名目で、1千万円強を請求していなかったか(後に精査の上高知県に返還)日当45000円と査定されたWeb サイト構築業「ande」の業務実態は、未だ良く分からない。因みにこの「ande」を四万十ノに紹介したの四万十ドラマの畦地氏だという。

「令和6年までに総額6千万円を投じて、最終的には手数料収入だけで運営していける状態を目指す。」と議会説明して議会が通した予算の既決分4600万円補助金を投入して4月10日の開店以来まだ260万円しか売上げていない「リバーストア」である。広告宣伝費を120万円もかけた結果の売上額が260万円というトホホな実態がある。

驚くのは、「リバーストア」構築に要した期間は、実績報告書によれば正味23日である。実績報告書の一部とオープン以来の中間収支報告書を入手したので、ここに公開したい。

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この様な拙速さを町は認めている。そして事業は現在休止状態となっている。果たして今まで受け取った補助金は町に返還されるのか。高知新聞の記事「つまづき」を注視した町民からすれば、最も気掛かりなところだろう。これからどうなるのか、である。そこで賑わい創出課小笹課長に、今後の町の選択肢について聞いてみた。

シナリオ1:中尾博憲町長の裁量で、事業中止と補助金返還命令を発出(令和3年分未執行額は、1800万円-540万円=1260万円

シナリオ2:協議会が事業失敗を認めて事業中止申請を町に提出、申請を待って、町が精査の上補助金を一定返還させる。

シナリオ3:協議会を構する事業者の過半数が事業の中止に強く反発し、ネット販売事業の継続を望むという意思確認が取れれば、専門家等の助言を導入して「リバーストア」を再構築する。その際の事業運営の委託先は、四万十ノと四万十ドラマを除外した上で、検討する。

今のところ、最も蓋然性が高いシナリオは3である。中尾博憲町長には事業中止の「英断」はまずない。議会答弁でも「一刻も早い、サイトの休止からの復活を」と発言した位である。この「迎合ベンチャラ体質」は青天井である。補助金行政の青天井を虎視眈々と狙う人々にとっては実の都合のいい町長ではないか。協議会には根本的な判断材料の不足がある。規約や委託契約の内容を把握、理解している協議会メンバーは殆どいない。この部分は本質的に行政の不作為に由来する。補助事業者への監督が欠けている。そこで結果的に、「今まで何も知らなかった。何も知らされなかった。事業途中で放り出されるのは不本意である。何らかの方法で再開して欲しい。」というセンチメント(心情)が協議会構成員の多勢を占めると予想されるのだ。協議会参加事業者35社の大半は零細事業者である。自社通販サイトなど持っていない。コロナ禍で起きた、ふるさと納税の寄付金(昨年度14億円を突破)の伸びもネット販売事業展開の推進力となっただろうし、新たなネット販売事業の構築を町が補助金で支援する事にも特段異論はない。ただ事業の仕組みの周知に根幹的な問題があり、協議会役員とそれ以外に持っている情報に大きな隔たりがあり、その隔たりが協議会メンバーから協議会役員への不信と離反を招き、業績不振もあって暗礁に乗り上げたというのが実情である。特に協議会会長職、事務局、会計を兼任する四万十ノの代表取締役と事業運営業務全般を「協議会」から委託された四万十ノの代表取締役は同一人人物である。それを「協議会」が明確に認知していない。彼らによって何が勝手に為されているかについて、全く蚊帳の外にいたのが協議会員である。4月10日にリバーストアオープン、協議会規約と入会届が総会で配布されたのが9月8日、契約書に至っては役員以外見たこともない、という有様である。まるで補助金を出資金に設立、悪徳商法を展開する会社組織さながらである。この様な悪徳商法まがいの補助事業者の振舞いの淵源は、決算特別委員会の質疑でも出た、行政側に補助金審査会」の存在がありながら、補助金を出した後の監督ができていないということに尽きる。

※「補助金審査会」とは、新設補助事業の際には例外なく、その必要性、妥当性、公平性等について審査する庁内組織である。

小笹課長:「単独事業者への補助金交付には問題がある。協議会への補助金であれば補助金交付対象としての適格性が認められる。」との意見が出た。

補助金交付を渇望する地域商社2社に、その旨を伝達し、急遽、行政の手によって協議会規約と委託契約書が作成された。「協議会」が「四万十ノ」に業務を委託するという書類上の形式が整ったそ。こで事業GOサインが出た。岡村氏と畦地氏にとって補助金交付の確約が町から取れれば、そこでゲームオーバーである。彼らの頭には。協議会員への「説明責任」は存在していない。更にそれに輪をかけて議会の監視機能も、9月の下元昇議員の一般質問を除けば、全く機能していなかったのである。「ネット販売推進事業」は、賑わい創出地産外商室が所管する。この地産外商室こそ、平成27年に議会が立ち上げた「地方創成調査特別委員会」が取り纏めた政策提言を受けて、中尾博憲が賑わい創出課内に設置した部門である。この「地方創成特別調査委員会」委員長は槙野章議員、古谷幹夫議員と武田秀義議員もこの特別調査委員会に席を置いていた。今彼らは常任委員会委員長、副委員長として、今般の決算特別調査委員会に席を連ねている。槙野章議員、古谷幹夫議員、武田秀義理議員は、自らが政策提言した地産外商室の事務事業についてどのように発言したか。

槙野章:発言なし

古谷幹夫:ネット販売推進事業補助交付要綱と要綱に基づいて補助事業者から町に提出された実績報告書(明細書添付)の配布を受けたが、要綱通りに補助金を出して、報告書も出ているという事でいいか。

小笹課長:出ています。

古谷幹夫:であれば、特に問題はないのではないか。

武田秀義:公式発言なし、休憩時間に古谷幹夫議員に対して、「四万十ノはリバーノートのために人を雇った、まだ数か月しか経っていない。結論を出すのは早い。当然雇用は継続しなくてはならない。(古谷議員深く頷く)

槙野章議員の発言力のなさは広く知れ渡っているので、ここでは一先ず問題外とする。古谷幹夫議員の上記発言は、会長の宮内氏から、「手数料が高すぎる」「返品ポリシーが異常である。」「ふるさと納税代表者会との意思疎通がない」等の問題点の指摘があった、ふるさと納税推進協議会全体会(9月21日付)に生産者として出席、更にネット販売推進協議会総会(1018日付)にも設立時協議会メンバーとして出席していながら、この補助事業の問題点の本質を全く理解していないとしか解釈できない発言である。議員として、「行政情報処理能力」が「行政情報量」に追いついていないという印象しかない。武田秀義議員は、「事業遂行には人がいる。雇った人間の雇用は維持されなくてはならない。数ケ月では結論は出ない。」という一般論に見せかけながら、自分の息のかかった事業者擁護姿勢を強く感じさせる発言内容である。補助金を取るためには人がいる、或いは取る目途がついたからには人がいる。自分とこの従業員でなければ、補助金額と真の人件費の利ザヤが手に入らない」というのが真相だろう。抑々雇用の継続を重要視している良識ある経営者が、事業本体のインフラである「リバーストア」構築に23日しかかけないなどということが起こるだろうか。この不自然な拙速さは、いかにも補助金受領タイミングの調整と連動していそうである。裏を返せば、「書類が揃えば、補助金は取れる」のであり、補助金の取り方」に習熟した自称「地域商社」社長二人が、補助金を元手に利益を上げることを目論んだまではよかったが、補助金獲得のために町から設置を促された「協議会」構会員事業者こそ彼らの悪徳商法のタターゲット顧客であったということが、その拙速、拙劣さによって見事に露見してしまったというのが今回の出来事である。背景には行政側の不作為、不注意、怠慢があることは否定できない。議会にしても、四万十町議会地方創成調査特別委員会の政策提案を受けて創設された地産外商室の「つまずき」に一切「つまずいていない」という体たらくである。槙野章議員、古谷幹夫議員、武田秀義議員の発言を追う限りで歯そうとしか思えない。彼らは、老眼のせいでもないだろうが、議員として余りにも視界不良なので、自他の「つまずき」の石が見えないのである。やはり議員報酬を上げるに値しなかったというべきであろう。ここで再度現況四万十町議会議員議員報酬と彼らの議会発言(議員の仕事の根幹)を見比べてもらいたい。

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西原真衣