呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(115)

         「動議」不発

 

 結局9月補正が議会を通過した。「動議」こそ出たが、7対8で否決されたのだ。これで、私を含め四万十町民が誰も望まない「文化的施設」とやらができてしまう。令和4年4月の町長選を跨いで、令和6年の開館が予定されている。「動議」に幾ばくかの期待があった。6月定例会で、7対8で中止を求める陳情が不採択となったその後の逆転の期待である。議場で同議案が配布された。8人の賛同者がいた、その瞬間「勝った」と思ったが、早とちりであった。よく見れば、中屋康議員と岩井優ノ介議員の署名には斜線が惹かれ、「動議」賛同者を辞退した跡があったのだ。岩井優ノ介議員の昨今の胡乱さというべきか、右往左往振りというべきか、本人に本意を質す気にもならないというのが正直な所である。が、中屋康議員は別である。酒井吉祥成功とともに、実にわざとらしい、やらせ質疑に立った。相手は大元政策監である、この三者は、事前に間違いなく打ち合わせしていると直感した。

酒井祥成:執行部は、入念に手続きを踏んで来た。検討員会設置、基本構想基本計画、基本設計の全てに意見公募手続きを実施し、度重なる住民説明会も開催した。方は議会の方も、ここまでの予算を全て通して来た。中止を求める嘆願書や、陳情の提出があった以上、議会は慎重な判断を求められている。が、ここで実施設計の予算が否決されるとなれば、果たしてどのようなことが起こるのか、具体的な説明を求めたい。

大元政策監:あくまで仮定の話ではありますが、2者から損害賠償請求がなされる可能性が否定できません。一か所は、用地買収対象の地権者です。今までの遅延に対しては好意的に対応してもらってきましたが、これ以上となると、損賠賠償請求が起きかねないということ、もう一者は、基本設計の受託事業者です。基本設計は、公募型プロポーザルで事業者を公募しました。応募要件に、「基本設計受託者と実施設計を随意契約する」と明記しています。コロナ禍と陳情提出による遅延が発生したため、事業者かラ、これ以上の遅延が有れば、辞退もあるという意向が示される中、実施設計の予算が否決されたら、事業者からの損害賠償請求も考えられます。

中屋康議員:前教育民生委員会委員長として、委員会でも審議を重ねてきた。地元にも賛否両論あり、非常に悩むところである。現時点で最も気になることは、ここで実施設計が、滞れば、基本設計自体がどうなるのか、そこを詳しく聞きたい。

大元政策監:基本設計策定とサービス計画策定を一体的に進めてきた。基本計画中には十和分館の開館が明記されている。開館前に前倒しで移動図書館サービスを展開する予定もある中で実施設計関連予算が凍結されれば、十和分館の実現にも相当の遅れが生じることになる、基本設計が否定された事にもなり、実施設計者が異なる事になれば、基本設計からのやり直しが生じかねない。

「印象操作」を目的とした常套手段が繰り出されている。「ここで否決するという計測なことをすれば町に損害が及ぶと執行部が答弁したじゃないか。議会としては町民からの反対意見もある以上慎重を期すべきだが、果たして「否決」は議会とし賢明な判断と言えるのか」という問題提起を一見装っているが、実態は全くかけ離れている。

まず契約一に対する議員の無知が背景にある。一般的契約とは、締結後の契約内容不履行により、損害賠償請求が生じる。契約前に損害賠償が発生することは稀で、締結前に契約当事者の一方による費用負担があり、結果として契約締結に至らなかった場合が特例的に損害賠償請求の対象となる。ネットで見つけた判例は以下である。

民法709条、415条
最高裁昭和59年9月18日判決(判例時報1137号51頁)等
「取引を開始し契約準備段階に入ったものは、一般市民間における関係とは異なり、信義則の支配する緊密な関係にたつのであるから、のちに契約が締結されたか否かを問わず、相互に相手方の「人格」、「財産」を害しない信義則上の義務を負うものというべきで、これに違反して相手方に損害を及ぼしたときは、契約締結に至らない場合でも契約責任としての損害賠償義務を認めるのが相当である。」(原審東京地裁昭和56年12月14日判決(判例タイムズ470号145頁)

町の契約相手は、進入路の地権者と基本設計の受託事業者である。議決が予算執行の前提である以上契約締結は、議決如何であり、否決をもって町の相手側である当時者に、「人格」権「財産」権上の損害を認めるなどという事にはならない。因みに、現段階で、相手側には一切の費用負担は発生してないという(文化的施設整備推進準備室による)。この直後田辺哲夫議員が、上記のやり取りに噛みついた。

田辺哲夫議員:まるで議会のせいで損害賠償が生じかねない、と言われているように聞こえる(正しくそう言っている)。契約とは議決を経て締結するものだ。そのような答弁は、承知し難い。

これで、間一髪印象操作に漏れが生じたと、傍聴席で思った、が流れは変わらなかった。「議会のせい」というより、この質疑の流れは、悪質な「印象操作」そのものである。議員より遥かに無知ではない大元政策監の真意を疑ったが、中尾博憲の意向を酌んでの狂言回し的な演出だったのだろう。文化的施設検討委員会の内田純一座長(高知大学)も町の意意を酌んで狂言回しに終始していたことは記憶に新しい。とにかく中尾博憲は、「文化的施設」を「見せ金」にして3期目に突入したいのであろう。この「見せ金」は誰に向けての「見せ金」か。議会最終日の翌日の高知新聞には、この「動議」の記事の隣に、「武石俊彦県議が、自民党に復党 会派は「一灯立志の会」、自民党復党は、自民党窪川支部、大正支部、十和支部からの上申を受けて」の記事が載った。酒井祥成議員は自民党十和支部、中屋康議員は大正支部に所属している。目下、十和地区を、尾崎正直高知県知事が武石俊彦県議、森武士副町長を同行し、挨拶周りをしていると聞く。酒井祥成や、中屋康の議会発言や投票行動はこの政局に連動しているのである。彼らは全員、自民党の寿命が自分の寿命より長いと見ているのである。自民党への帰属が、自身の血圧の安定にも寄与しているのであろう。

結局、賛成討論2、反対討論2を経て、6対8で動議は否決された。賛成討論者は、

武田秀義と下元昇、反対討論者は、酒井祥成と橋本章央である。ここで、武田秀義と下元昇を「市街派」酒井祥成と橋本章央、酒井祥成と橋本章央を「中山間地派」と勝手に命名した上で、その主張を一行で要約すれば、

市街派」武田秀義:町民理解を得られていない。

「市街派」下元昇:過去に岩元治前で門前市糖実施したが市街地活性化には繋がらなかった。

「中山間地派」酒井祥成:議論する時間は十分あった。

「中山間地派」橋本章央:文化的施設建設に邁進すべき時である。

市街地活性化は、初めから名目である。第一岩本寺住職が「勝手に何ら相談もなく歴史、文化ゾーンなんて行政が一方的に決めてくれるな」と発言している。(市街地活性化協議会議事録による)町民理解は、勿論得られていない。中尾博憲には、町民理解を得ようという考え自体がないのである。その証拠に町民意識調査を実施していない。酒井吉祥成議員の言う通り検討委員会の設置gが、平成29年であるので、議論する時間は確かに十分あった、が、議会内部でその議論の端緒も提示しなかったのは、酒井祥成、橋本章央の御両人じゃないのか。少なくとも私は、彼等のそのような言説に接した覚えは全くない(検討委員会議事録にも図書館利用者投函意見集にも目を通していない、目を通したのは、準備室が用意したパブリックコメン集計結果ぐらいだろう)。市街派にしろ、立地を問題視するのであれば、3月定例会で、「駅前再開発」陳情審査時に、本会議で立地について討論できたにもかかわらず、全回一致で不採択にしたのではなかったか。緒方正綱議員が教育民生常任委員会で、「緑林公演周辺のドローン空撮をケーブルテレビに依頼したい」と発言しているが、全く後が続かなかった。当時「文化的施設」を所管していた教育民生常任委員会の委員長は中屋康、副委員長は村井真菜、委員には酒井吉成、緒方正綱、岩井優ノ介がいたのである。結局立地についての調査研究等は議会内部で全くなかったのだ。酒井祥成議員(当時議長)に至っては、過去の議員時代に私が一般質問通告した「議会図書室」についてを却下した位である。「議会図書室は、議会内部の問題である」というのが、その時の却下理由であった。「議会図書室」とは、地方自治法100条に規定された「議会の調査権」を担保するために、議員の調査研究目的で設置が義務付けられている公の施設である。それがなぜ「議会内部の問題」になるのか、不明である。真相は、議員画誰も通常調査研究など全くしていないことが、議会図書室絡みで本騎亜義の場で露見することを忌避する目的で却下したのである。酒井祥成議員は9期に渡る議員歴を通じて、調査研究を放棄しつつも沽券を保持しながら議員をやり続ける方法を単独で調査研究してきたに違いないのである。この調査研究に「議会図書室」など無用である。議長になり、自民党の息のかかった内部事情と政局に通じればいいだけである。冒頭に書いた、「もしここで否決すれば大変なことになる」を印象付けるための質疑内容やそれを繰り出すタイミングの取り方等のスキルの習得が酒井祥成議員の9期36年に渡る単独の調査研究の主要な成果物である。この酒井祥成議員は、旧十和村で議長を長く勤めたという事である。旧十和村の職員であった大元政策監はこの人文知に欠けた、つまり契約についての一般的な知識の習得さえ要請されないような環境、個人的な利害得失に対する嗅覚だけが発達した、背広に身を包んだ猿山のような議会に、適応し続けてきたのだろうと推測すれば、ある程度の同情を禁じ得ない。が、しかし、議会と行政は、合わせ鏡のようなもので、どちらがどちらの調教に成功したのかは、一概には言えないのである。折しも時期を同じくして、町の補助事業である「ネット販売推進協議会補助金を巡って「ふるさと納推進協議会(代表者会(町内8事業者)と全体者会(町内80事業者)で構成)」「ネット販売推進協議会(町内35事業者で構成)」との間に、「ネット販売推進協議会補助事業」に係る認識上の深い溝が生じている。ふるさと納税推進代表者会」の会長は株式会社しまんと代表取締役宮内重信氏であり、「ネット販売推進協議会」の会長は、四万十ノ株式会社代表取締役の岡村厚志氏、副会長が、株式会社四万十ドラマの畔地履正氏である。ここにも「市街派」と「中山間地派」の補助事業に対する立ち位置の違いがある程度感知される。私は、町内80事業者のうちの1事業として、9月21日の「全体者会」に出席した。その席には事業者としての古谷幹雄議員や下元昇議員の姿もあって、各々発言もあった。この両者は議会では「市街派」であり、文化的施設予算一時凍結動議の賛同者でもある。議員時代、合併の副作用のような、窪川、大正、十和という地域性による「発想、考え方の違い」に随分当惑を覚えたが、知ることなくして判断なし、判断なくして対応なしという認識に立てば、「知ることへの軽視」は、やはり、中尾博憲町政の一大特質ではないかという思い昨今改めて強くする。この「ネット販売推進協議会補助金に関する、下元昇議員の質疑、ネット販売サイト「リバーストア」(現在休止中掲示されていた、「注文キャンセル」上の法外な違約金設定(一律3300円+送料1870円~)を問題視されて、今通販サイトが一時停止状態に追い込まれている現状認識に関する質疑を受けて中尾博憲が、「一刻も早い休止の解除を」と答弁したことが正しく示唆しているように、中尾博憲こそ、「知ることを怠り、判断を過ち、対応不能な状態が放置される、誰も責任を取らないシステム=役所(議会を内包する)」の悪しき申し子なのである。案の定9月21日の会合には、中尾博憲も森武士も不参加であった。衆院選でそれどころではないのだろう。私が確信するのは、中尾博憲ができる町長は、誰でもできるということである。給料は月額737000円、期末手当6月分1186570円、期末手12月分1271325円、退職金(平成30年分)14740000円である。おまけに町長室ではスマホ見放題である。

西原真衣