呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(110)

  「教育研究所だより」は広報誌と思っていたら

平成18年の合併時に突然「教育研究所」なるものができた。旧改善センターの一角にである。人事を若干覗いてみれば、教員退職者の巣窟である。ポスト的には所長、教育相談員、教育支援員、スクールソーシャルワーカーと専門職めいた名称のポストが充満している。が、採用経路が極めて不明瞭である。職務上要請される能力についても良く分からない。単に、「学校教育業務に通じていて、学校関係者と良好な関係が構築できる人材」などと求人内容には記載されている。至極曖昧である。ここが発行してる広報誌に「教育研究所だより」があるが、これを目にする機会はない。なぜかと言えば、この教育研究所は、「なくても誰も困らない教職員退職後再就職先ポポスト」確保目的で設立された組織である疑いが濃厚である。なくても一行に構わない組織の営業先は、ずばり「学校」である。「学校」に関係した業務を調達する必要があるが故にこの広報誌「教育研究所だより」の唯一の配布先が学校なのである。一般人の目に触れないはずである。が、これは根本的に奇怪な現象である。なぜなら設立者である四万十町教育委員会はこの、実はいらない「教育研究所」に年間2100万円の一般財源を拠出している以上、その機関の広報対象は、一義的には町民にすべきであるからである。ところが、研究所関係にいくら聞いても「広報誌」を学校限定で配布していることの合理的な説明が一切聞こえてこなかったので、教育研究所は教員退職者と教育委員会退職者の退職後の最終先として、「公教育」に貢献する能力と意欲を問われることなく、そのポストを占有しているという実態をかなりの確定性を持って推測するに至った。以下「聞こえてこない」という具体的内容である。実際のやり取りを再現した。

西原:「教育研究所だより」を町HPに掲載できませんか。町予算2100万円分の業務内容を把握しづらいので。

野村所長:今授業のICT化に向けた学校での研修に参加しその結果等を載せているので研修時のスライド上の子供の顔等の写真が掲載されていて、広く公表するという許可を得ていないので、町内の子供であれば別ですが。

野村泰子所長:町内外で児童生徒の個人情報の取り扱いに違いがあるということが良く分かりませんが。事前に使途を明示して、許可を得ることはできないのでしょうか。「教育研究所だより」は学校限定の広報誌という認識なのですか。

野村所長:そういう訳ではありませんが。個人情報があるので。

注釈:このも村所長は、町広報誌の求人に応募し公募で所長に採用になったという。身分は会計年後任用職員であり、所長になった際に、周辺の人から「教育研究所って何する所?」と多々聞かれたそうである。影野小学校教頭退職後の応募であったらしいが、教育研究所が学校教育課の付属機関であることも正確には認識していなかったので、その様な認識とは関係なく応募し、採用されているという事だ。「関係機関との良好な関係」とはどうも、「関係機関を批判しない、迎合する、体制に順応する」という事らしい。研究設置条例や設置規則に通じてなくても所長職に差し障りはないという、研究所運用実態があることは否めない。果たして、このような採用経路や水準で、研究所設置目的として設置条例に明記されている「町内児童生徒の学力の調査、研究」に実効性があるのか、多大な疑問が残る。

西原:教育研究所は町の一般財源で運営されている組織であり、設置は法律で義務付けられてもいません。であれば猶更、その業務内容を広く町民向けに広報して、業務内容の必要性にする説得的な理解を町民に対して求める姿勢が要請されているのではないでしょうか。町民側からすれば、町HPに掲載もなく、紙媒体で閲覧する機会もないという認識はあるんでしょうか。

山崎教育相談員:町HPに掲載されていないことは知りませんでした。

西原:ところで「教育研究所だより」の原稿を書いている人は誰ですか。

山崎教育相談員:研究員です。研究員は校内研修(授業研究の事を指す。四万十町が研修費用年間400万円を拠出している。)についての情報交換の場である校内研修支援委員会の出席しているので、支援委員会の内容等も「研究所だより」に書かれています。

注釈:「研究員」というのは、高知県教育委員会に所属する中学校教員であり、四万十町教育委員会高知県教育委員会の協議によって人選が行われている。通常2、3年で移動する。が、現在四万十町教育委員会学校教育課に所属する、四万十町職員中川千穂氏は、この研究員職から四万十町職員へと移籍した。教育委員会内部でのこのような所属元の移籍人事を「割愛」と呼んでいる。過去に、四万十町学校教育課課長職に突然就任した杉野雅彦氏も、この「割愛」事例である。この人物の学校教育課課長就任期間は、平成27年4月から平成29年3月である。いきなり学校教育課長になり、かっきり2年経過後には、教育委員会から姿を消した。前任が須崎中学校教頭で、後任が浦ノ内中学校校長という事だ(四万十町総務課調べ)。杉野氏の四万十町町教育員学校教育課課長就任期間の2年間は、高知県高岡郡下の中学校管理職としては、2年間の空白期間となる。何らかの忘却期間なのであろうか。真相は知る由もないが、教育委員会が事あるごとに、遮二無二「人事は聖域、人事は非公開」としたがる背景には、全国的な教育委員会特有の社会病理的なものが潜んでいると見るべきだろう。問答を続ける。

西原:そのような内容であれば、公表できない内容に該当しないと思いますが。

山崎一教育相談員:学校ことが書かれているので、どうしても支障が出てくる。

西原:言っていることの意味が分かりかねます。「教育研究所」って学校教育課の付属機関じゃないんですか。広報誌に学校の事がで出てくるのは当然ではないでしょうか。

山崎一教育相談員:(顔をしかめて、苦しそうな表情で)公表すれば、色々な所から色々言われるでしょう。

西原:校内研修の情報交換の場での教員や研究員の発言内容についても、なにか物言いがついても、研修費用400万円を受け取っている以上対応義務があるんじゃないでしょうか。そもそも公務に関することは「個人情報」に該当しないと個人情報保護条例に明記されていますが。内容的には、全て公務じゃないんですか。授業研究に係る場で、児童、生徒の個人情報がそれほど出てくるのでしょうか。出てきたとしても匿名化、抽象化、類型化は可能ではないででょうか。個人情報本体がテーマではない場面だと思いますが。

山崎一教育相談員:校内研修支援委員会の内容だけではないので。自分は、「研究所だより」を見たことがなかったので。ごく最近研究員から回覧されて初めて見ました。

注釈:この山崎一という人物は、川上哲夫教育長時代に採用されて以降教育相談員として

勤続7年という人物である。それでいて、研究所の広報活動についての知識は皆無であった。更にこの7年間「研究所だより」を見たことがないと言うから驚きである。戸田晶秀所長、岡澄子所長、今の野村泰子三代に渡る所長から、機関の職員に対して「教育研究書だより」に目を通せという指示は一切なかったと言うのだ。教育相談には、「授業についていけない、授業が分からない。」という相談内容も含まれるはずである。それなのに、授業研究についての記事に目を通すという動機付けの終ぞなかった教育相談員歴7年の山崎一氏の提供する「教育相談」って果たして実効性、汎用性を期待できるのだろうか、甚だ疑問である。それに輪をかけるように、研究員から突如回覧されたという「教育研究所だより」である。これにも経緯が有る。山崎一教育相談員と問答する前に、実は研究員とも研究所前で問答している。以下である。

西原:「教育研究所だより」て研究所の広報誌ですよね。

浜口千茶研究員:私単独では答えられません。

 驚くべきことに、教育研究所には、「教育研究所だより」が研究所の広報誌であるという共通認識が形成されていないのである。個人情報から最も遠い実質的な「学力の調査研究」を県費負担教員である「研究員」に担わせて、実質は、教職員の退職後再就職先であり、どこからも実効性や成果を問われないままに、存在自体が自己目的化しているしか思えないのである。「研究所だより」ばかりではない。「実績報告書」「運営委員会議事録」もかっては、公表されていなかった。運営委員会委員藻、現職学校関係者、PTA関係者以外は「有識者」と称する研究所OB である。この人員体制では実質的な「学力の調査研究」は到底無理だろう。

西原:「教育研究所だより」を町HPに掲載できないかについて検討してもらえましたか。

岡英佑学校教育課課長:守秘義務があるので、児童、生徒の個人情報漏洩に繋がるので、公表の要望に対しては、公表できる内容に編集し直す必要があると考えている。

注釈:守秘義務を課せられた、児童,生徒の個人情報が満載されている「教育研究所だより」を学校限定で配布しているという認識が、学校教育課課長より示された。公表のためには教育研究所だより公表版を別途編纂する必要があるらしい。仰天した。実の所、研究所のネタの仕入れ先が学校だけなので、学校に嫌われたくないだけである、学校内部の事が学外部に漏れることを学校がどれだけ厭うかを教員上がりの人々は重々承知しているのである。学校に媚を売って(お願いして)ネタをもらって研究所実績(実績報告書作成、副読本作成、研究所だより作成、運営委員会での以上の報告等)を造成している実態がある。「教育研究所だより」は本来は企業が投資家向けに作成するIR広報に近い意味合いがある。投資家とは我々である。だから要望もへったくれもなく、本来的に広報の向かうべきは本来我々町民である。一般財源2100万円の拠出元は、我々町民である。ところが、教員退職と教育委員会退職者で固められている研究所の人間には、この認識が皆無であり、監督官庁である学校教育課にもその認識が見事なまでに欠落している。公教育が地域社会全体の物に全くなっていないということである。このことは、「学校部活事故の議会報告時」にも痛感したので、その件は次回に譲りたい。

西原:学校が実施した授業のICT化の研修に参加してその時のプレゼン資料(画像)に児童、生徒の顔写真があったので、町外の子供なので出しにくいとか野村所長から聞きましたが、事前に了承を得ることは、できない相談なのでしょうか。

岡英佑学校教育課課長:それだけではありませんから。他の事例もありますからから、児童生徒の肖像権とかがありますから。

西原:肖像権って著作権を構成していませんか。元々個人情報保護の枠の話では。状況的には研修資料として、授業風景の中で顔写真が出て、研修内容に関する広報誌の中のその顔写真のHP掲載によって、その個人の権利がどのように侵害されるのか理解に苦しみますが。社会通念上人に知られたくない個人情報(病歴、犯罪歴、婚姻関係、財産等)とも思えません。それに第一要望対応と捉えているようですが、それは不本意です。研究所の広報誌としか思えない「研究所だより」は公表するの常識的な判断ではないかと言ってるだけです。公表できない理由にも全く説得力が感じられません。そもそもの「教育研究所だより」の発刊目的を説明して下さい。

岡英佑学校教育課課長:必要な所に配布するためです。必要な所とは、現況では学校と捉えています。

注釈:必要な所とは即ち学校であり、学校相手の広報誌を発刊し、一般財源2100万円を費消し(スクールソーシャルワーカー委託料(県費)400万円を含む。人件費比率91%)、学校の事には守秘義務があるので研究所だよりは町民には見せられないという認識を、学校教育課は研究所と完璧に共有している。学校の事に守秘義務があれば、その守秘義務の対象である児童生徒の保護者へは、その守秘義務は、どのように適用されているのだろうか。例えば学校で虐め自殺が起きるたびに、教育委員会が設置した「重大いじめ事故調査委員会」作成の報告書が、遺族にさえ開示されないという事態が頻発している。報告書全文が送付されるのは、市町村教育委員会から県教育委員会であり、最終的には文部科学省である。遺族に開示できない理由は、決まって「被害生徒、加害生徒の個人情報保護のため」であるが、これは嘘である。山崎一相談員が漏らした、「外からいろいろ言われたくない」という学校関係者による感情的な忌避行動である。あくまで「個人情報」というならば、少なくとも個人情報保護法、個人情報保護条例、地方公務員法上の公務員の守秘義務についての的確な理解と運用に基づく説明責任が要請される。彼らは必要最低限、守秘義務と個人情報を厳密、精緻に解釈、適用し、「教育研究所だより」を一般に公表できない理由を説明するか、或いは公表して、「教育研究所」の業務内容への理解を町民に対して促すべきなのである。その両方が不能状態であることが、上記のやり取りに表出している。もっと言えば、いじめ自殺等、場合によっては「個が特定される」ことに危険を犯しても、「何が起きた課の事実を解明すべき案件があるはずである。それによってむしろ根拠のない流言飛語を抑止できるのではないだろうかそこに踏み出せない教育委会にある野は、「骨の髄までの保身」でしかないだろうし、我々にはこのような教育委員会職員や教育委員会付属機関職員を税金で養ういわれはないのである。彼らがどのように職務を遂行しているか、この実態こそ広く知られるべきであろう。因みに肖像権について覚束なかったので調べた所、「財産権、人格権」の一部であるとの事である。写真撮った側(プレゼン資料の作成者)側著作権が設定され得るが、写真を取られた側に帰属し得るのが肖像権である。肖像の持ち主が置かれた社会的地位や肖像が撮影された状況、文脈によよって肖像権の権益が認められると、一般的には解釈されているらしい。例えば、断りなく街頭で撮られた自分の顔写真が、断りなくネットに晒されるとか、有名俳優やスポーツ選手の写真を契約外で(対価を払わず)勝手に使用するとかが、人格権や財産権の侵害事例に該当するという事であり、それであれば、研究授業の場における児童生徒の顔写真が、授業研修の場で出研修資料として提示され、又それが学校教育課付属機関である教育研究所の広報誌に掲載されることが、児童生徒の人格権や財産権上の権益に該当するなどとは、到底考えられない。又公務員法における守秘義務についても、地方公務員法34条は以下である。

地方公務員法第34条(秘密を守る義務)

 

1 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。

 

2 法令による証人、鑑定人等となり、職務上の秘密に属する事項を発表する場合においては、任命権者(退職者については、その退職した職又はこれに相当する職に係る任命権者)の許可を受けなければならない。

 

3 前項の許可は、法律に特別の定がある場合を除く外、拒むことができない。

ここで肝要なのは「秘密」の定義である。何でも恣意的に「秘密」にできれば、「隠匿」を区別がつかなくなる。更に、以下の適示を見つけた。

秘密とは、一般的に了知されていない事実であって、それを一般に了知せしめることが一定の利益の侵害になると客観的に考えられるものをいう。(行政実例昭30.2.18)

事例的には、「課税台帳」や「未発表の採用試験」である。公表されることが誰の利益にもならないばかりか、知られたくないこととしての客観性がある。「肖像権」「守秘義務」「個人情報」を持ち出すのであれば、この位の知識は最低限要請されるのではないか。ところが、岡英佑学校教育課課長の言い分にはこの辺の知識、理解が抜本的に欠けている感が否めないのだ。今年4月に就任した教育研究所所長の、野村泰子氏から「西原さんの質問には答えられないので、「上」に言って欲しい。私は、上の指導を受けます。」という風に言われている以上、「上」である、岡英佑学校教育課課長葉、現況では極めて不勉強と言わざるを得ない。不勉強だと指導はできない。それにしても学校退職者って、。管理職登用試験なるものがてあると聞いている割には、教育委員会関連法規に弱過ぎないだろうか。そうなると、高知県の教員採用は、縁故採用が横行している(親子で教員という事例が多発している)という噂も本当かと気になってくるのである。

追伸:ごく先日の事、「「スクールロイヤー」を学校が配置できるということを学校が保護者に周知することを法律で義務付けて下さい。」という内容の署名をメール受信した。change.orgである。発信者は、学校虐め体験者であった。虐めサバイバーである。あの時学校にスクールロイヤ―がいればという思いからだそうである。どうも全国的に学校側には周知したくない強烈な理由がありそうである。「法律」は、社会全体の秩序の保持目的のみでなく、社会を構成する個々人の権利擁護のためにもあるという概念自体が学校側に欠けているのかもしれない。だとしたらそれはとても危険なことではないだろうか。法的な理解と運用を欠く教育委員会による「組織防衛」や「集団防衛」は、児童生徒の将来にとてつもない、内面の傷や、社会不信を残すだろうと容易に想像できる。また「教育相談」や「不登校支援」が研究所の職務内容である。町民に対して、「説明」に欠ける実態からは、児童生徒及びその保護者への「対応」も偲ばれるのだ。「教育相談」も「不登校支援」も相手型に対する状況把握や理解力や洞察力が強く必要とされる分野のはずである。

 

西原真衣