呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

大藤風力発電から四万十町議会を見る(4)

   風力質問に対する答弁に驚愕する

大藤風力発電質問第2弾、令和元年第3回四万十町議会 9月18日

今回も、たまげた答弁連発議会でした。見方によっては、議会は面白い。

岩井優ノ介議員:私は反対の立場から質問する。ドイツのZDFが作成した「風車から出る低周波音被害を追って」という番組をユーチューブで見て、考えが一変した。20年年目に突然症状が出るという怖い話だった。6月29、30日に十和と大正で開かれた住民説明会では、十和31名、大正20名の参加があった。住民側からは、健康被害の心配も出たと聞く。景観協議会が、なぜ巨大風車(直径80m、高さ120m)の建造を認めたのか。又、風車の山頂までの運搬には幅50mの道が必要と聞く(片翼で40m)。道路開設(拡張)工時に伴う膨大な土砂の排出で、河川の汚濁が心配される。河川の汚濁が原因でアユがいなくなった事例も聞く。原発も風力も過疎地が立地予定地になるのは、なぜだと考えるか。再生エネルギーの普及で言えば、都市のビルの屋上に太陽光パネルの設置等は可能ではないか。聞く所では、高知県内の三原、土佐清水にも大規模風力発電の立地予定があり、ラッシュ状態である。県の環境影響評価技術審査会の会長、岡村真さんは、目白押しに審査があり、瞬く間に手続きが進んでいくと、実感を語っているらしい。

 

山本企画課課長:景観保護条例上は、公益止むを得ないという理由で許可を出した。公益上の理由とは、具体的には、第5次エネルギー計画により、原発、太陽光、小水力、風力の再生可能エネルギーによる発電比率を高めることが、閣議決定されているということを指す。特に風力はコストが最も安いことから推奨されている。固定価格買取制度(FIT)上の買い取り価格は、2019年19円/kw, 2020年18円/kw、その後は未定となっている。過疎地が、立地に選ばれる理由は、風の強いところと言えば、一般的には洋上か山頂である。過疎地には山が多く、山頂付近は人家も少ないので、過疎地が立地となると捉えている。工事排出土砂による河川の汚濁に関しては、既存の作業道を使い、汚濁防止策も講じると事業者は言っている。

 

注釈:ここで聞き逃せないのは、山本課長が、再生可能エネルギ―に原発を含めているという事である。再生できないから処理場が必要なのである、山本課長は、化石燃料でなく、二酸化炭素の排出がないことと、再生可能を混同している。酷すぎる。また風力発電のコストとして固定買取り価格を提示しているが、電力会社の買い取り価格(事業者からは売電価格)は、電力会社が電気料金に上乗せさできる。原発はされない)は、本質的には電力会社という需要者にとってのコストであって消費者(電力の使用者)ににとってのコストではないことが、見逃されている。電力の需要者と消費者は立場が違うので、コストを言うなら、区別するべきである。更に、山本課長は、「既存の作業道を使い、汚濁防止措置も取ると事業者が言っている」と既に事業者に丸投げしている。因みに、環境影響評価方法書は、企画課に事業者から4部送付され、4箇所の縦覧箇所に置くことを依頼された。四万十川対策室を設置する企画課は、縦覧期間満了後、業者の求めに応じて、これを返却している。確かに方法書にはオリックス著作権があるが、方や高知県は、関係市町村に送付が義務付けられている方法書を保管し、住民からの開示請求対象文書としている。環境影響評価法上、1.事業者は、方法書を公告、縦覧に付し、意見を公募し、説明会を開催する義務がある。2.方法書を関係都道府県道と市町村に送付する義務がある。企画課は、1を実行するための事業者からの依頼と2を混同したのである。それで、住民が開示請求しても閲覧さえできない事態が生じている。結果、山本課長が言う「事業者が言っている」が事実かどうかを、方法書を閲覧することで、住民は(つまり議会も)検証できないのだ。議会答弁の事実確認ができない事態が生じている。これだけに十二分に、この事業は疑わしい。議会答弁に露見した行政の無知と無関心は、環境影響評価図書に意見を述べたり、許認可を下す立場である行政の権限を無効化するので、オリックスに、手続き上のフリーハンドを提供することは間違いない。更に、オリックスは年々安くなる買い取り固定価格を確保する目的で、風況調査中であるはずの、来年度に資源エネルギー庁に対して、立地予定地の貸借同意書を添えて、固定価格買い取り制度への申請をすべく準備している。中尾町長は、3月議会で、既に町有地の貸借同意書を事業者に提出すると明言している。四万十町以外の地知見からの同意もすでに取り付けているのだろう。議会質疑を聞けば、実に、行政側が、本来知っているべき事柄に町民以上に無知である一方、オリックスの利益実現には、非常に協力的であることが、ありありと分かる。すでにオリックスに篭絡されたのか。

岩井優ノ介議員:オリックスが委託した日本気象協会の調査方法では、調査期間1年、又、夜間はIC レコーダを使用するとあるが、日本トラスト協会所属大正のネイチャーセンターで、ヤイロチョウの保護に取り組んでいる中村滝男さんによれば, 10年の調査期間が必要であるという。3月議会で中村滝男さんと町長との意見交換の機会を作ることを提案したが、その後実行したのか。

中尾町長:実行していない。オリックスと連絡を取り合っているので、一定の時期が来たら、協議の場を設ける考えはある。健康被害ヤイロチョウのことは重要であるとは認識している。風車から出る電磁波についても、今後勉強しつつ、最終的には公平な対場で判断したい。

注釈:「風車から電磁波が出る。」と、中尾町長は発言している。この無知に向けて、オリックスは連絡を取り合っていると言うのだ。空恐ろしい話である。9月12日の総務常任委員会でも、田辺哲夫議員が、「携帯基地局からも低周波が出る。」と発言している。正解は、風車から出るのは超低周波(周波数20ヘルツ以下)、携帯基地局から出るのは、電磁波である。少なくとも人体への影響が懸念されているのはそれである。何という無知、無能。中尾町長発言中には、「日本は法治国家なので、事業者が、法律をクリアしたものをダメとは言えない。」の下りもあった。私は、正直失笑した。そうですか。でもそれは、法律を知り、その理念、趣旨、不備をも知り抜いてからこそ言えるセリフじゃないのか。人間が過ちやすいように、人間が作った法もまた不完全で、政治による翻弄の痕跡を留めているという認識も持たないのだろうか。中尾町長、あなたの言う通り、全体の利益こそが、公益ではある。又あなたにとっての全体とは、四万十町民全体である。再生エネルギー推進が国策であっても、四万十町にできなくとも、国策にはまず影響はない。風力発電という再生エネルギーに関する知見の蓄積が積み上げられるだけであり、その知見の蓄積は国家によって活用され、再生エネルギー推進政策がより洗練され、進化するだけある。片方であなたが、町民に差し出すのは、一方でオリックスが発注する膨大な土木事業とであるオリックスマネーによる事業者の金銭的恩恵であり、片方で四万十川流域のかけがえのない原風景という資源及び土砂災害や河川の汚濁や、長年潜伏し、医学的には認められない、しかし世界的に報告が相次いでいる「風車病」の発祥リスクである。これは、金銭的恩恵にあずかる人をも含めた全町民に関わることなので、全町民の意見が、公聴されるべきである。よって四万十町議会の議場での風力発電公聴会の開催を求めたい。議場で開催すれば、これをケーブルテレビで放映できる。賛成派と反対派双方の意見を議場という公開の場で聴聞すべきである。議会は議会で別途公聴会を開催すべきである。議会は執行部の協議相手に堕すべきではない。二元代表性が崩壊する。いや既に崩壊しているかもしれない。議員報酬引き上げ結果、つまり議会の監視機能の強化を町民に対して示すべき機会が到来した。引き上げられた議員報酬の引き上げ結果を、公聴会の開催を通じて、議会の監視機能の発揮の場ととして町民の目に可視化すべきである。下元昇議長、議長選時の公約は、「議会の可視化」ではなかったのか。

 

追伸:18日に9000筆の事業中止とヤイロチョウ保護条例の制定を求める署名を中尾町長に提出した「四万十ふるさとの自然を守る会」が9月7日に開催した風力発電勉強会のちらしは、町立図書館職員から「こんなものは受け取れない」との対応があったと聞いた。「こんなもの」という表現に凝縮された、無知と偏見は、議会答弁でさらけ出された中尾町長や山本企画課長の無知と偏見と同質である事を、ここで指摘したい。行政組織内部で長年醸成されたてきた無知と偏見が、オリックスという企業にとって何を意味するか。オリックスのHPには、投資家向けに洋上風力事業やインドの風力発電買収が報告されている。オリックスのもてる資源は潤沢である。四万十町の計画がとん挫しても彼らには選択肢がある。行政とは、本質的に経営である。自らの選択肢が見えない経営者には退いてもらうしかない。日産の西川社長のように。中尾町長あなたのことですよ。