呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(32)

    やっと町HPへの風力発電関係事項掲載

四万十町のHPにて、(仮称)大藤風力発電事業

「環境影響評価方法書についての意見の概要と事業者の見解」が公開されている。

「新着一覧」にはなく、一番下の「新着一覧その他」で発見できる。ネット情報は、掲載期間が過ぎれば目にする機会を失い、その存在を知っている人間であれば検索を通じてそこにたどり着けるが、そうでなければ、知らないままになるという欠陥がある。町として「四万十町通信」を使って周知すれば、後に残るし、閲覧機会も増大する。けれども、敢てそれをしない理由は何か。意見公募で意見を述べた人間がの意見への事業者回答について、どのように知り得るかを予め知らされてもいないのだ。そして、四万十町も関係市町村でありながら、意見についての事業者見解を率先して地区住民に知らそうともしない。「オリックスが公表してくれるなと言っている。」が四万十町の基本スタンスである。が、執拗に、「環境影響評価方法書についての意見の概要と事業者の見解」を町HPに掲載しろと言い張って、やっと掲載させた次第である。町の自発性は全くない。方法書本体にはオリックス社の著作権が設定されているが、「環境影響評価方法書についての意見の概要と事業者の見解」は環境影響評価法に基づき関係市町に送付されたものなので、関係市町村の保管する公文書である。送付された四万十町は、高知県がHPで公開するまで公開しようとしなかった。この資料は令和元年9月7日に高知県環共生課が開催した高知県環境影響評価技術審査会で委員に配布された資料である。この審査会の議事録が3ケ月後に公開された時に、この資料も公開された。方法書の最終審査段階は、主管庁である経済産業省経済産業省環境審査顧問会風力部会である。これは、11月19日に開催されている。議事録はまだ公開されないが、会議時代と配布資料は公開されている。「環境影響評価方法書についての意見の概要と事業者の見解」も配布資料の一つであり、新たにオリックス社による「(仮称)大藤風力発電事業環境影響評価方法書 補足説明」なる資料もそこにあった。全36pである。目次を転載する。

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ここで非公開指定となっているのが、

4.工事用資材の搬入ルートについて(方法書P12, 13)(山本顧問)

28.大気質、騒音及び超低周波音の調査地点について

29.騒音の現地調査地点の状況(写真等)について

となっている。具体的には、

図4 コンクリートを供給す基地(計画):「場所未定のため非公開」

図8 沿道1(騒音、振動、交通量)及び一般3(騒音及び低周波音)の調査地点

:「個人情報を含むため非公開」

図9   沿道1(騒音、振動、交通量)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

 図10  一般1(騒音及び低周波音)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

  図11  一般2  (騒音及び低周波音)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

図12 一般4   (騒音及び低周波音)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

図13 一般5 (騒音及び低周波音)の調査地点  :「個人情報を含むため非公開」

図14 一般6 (騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図15 一般7(騒音及び低周波音)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

図16一般8 (騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図 17 一般9(騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図18 一般10(騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図19一般11(騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図20一般12(騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図21 一般13 (騒音及び低周波音)の調査地点 :「個人情報を含むため非公開」

図22一般14 (騒音及び低周波音)の調査地点:「個人情報を含むため非公開」

以上の文面を分量が多くなるが、全部転載する。

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オリックス社の地元回覧チラシが、「地元住民説明会」と銘打って、「地元住民説説明会ですので、地元以外の方の参加はご遠慮いただいております。」と記載されていることと、この「個人情報保護のため」という釈明はあからさまに符合している。騒音、超低周波音の調査地点は、個人の生活、健康面での環境保全という利益を保護するためには、その個人に対して是非とも開示すべき情報であるにも関わらず、この様なオリックス社の詭弁を、経済産業省環境審査顧問会も容認しているのである。環境影響評価上の関係市町村(環境影響の受け手)である地元住民は随分と蔑ろにされているのである。念のため、この補足説明資料が提示された会議の問合わせ先に電話して、以下の問答をした。

西原:この非公開部分は顧問会の委員には開示されたのですか。

担当職員須藤氏:開示されました。開示されなければ審議できません。

西原:委員はこの資料を持ち帰ることができるのですか、会議終了後に回収されたのですか。

担当職員須藤氏:持ち帰る事ができます。委員には守秘義務が課せられていますから。

西原:この個人情報は、当該個人がこれを知ることが当該個人の利益となる情報だと思いますが、守秘されないことが、当該個人の利益の保全のためには必要であるという視点が諮問会や経済産業省にはないのでしょうか。

担当職員須藤氏:当方としても、諮問会委員には、守秘義務があると考えています。

注)これは、すり替え答弁である。質問に答えていない、同じことの反復である。

ここで思い出したのは、この須藤氏(名前に聞き覚えがあった)は、私が、オリックス社に直に電話して、「配慮書や方法書の縦覧時に、なぜ閲覧者の住所、氏名を書く用紙が備え付けられていたのか。」と聞いた時に、オリックス社が、「経済産業省に提出しなければならない文書に閲覧者数の記入欄があるから。」と答えたので、その確認目的で経済産業省に電話した時に、電話に出た人物である。あの時須藤氏は、「オリックスがそんなこと言ってましたか。確かに閲覧者数の記入欄はあります。ガイドラインに沿基づいています。人数の記載欄はありますが、氏名や住所は決して求めていません。」と回答した。「氏名や住所」とは正しく個人情報である。個人情報の取り扱いが、実に恣意的ではないか。閲覧者(注:意見公募に応じて意見を提出する人間ではない)に、任意とはいえ、個人情報の提出を求めたオリックス社は、風車による騒音、振動、及び超周波音の調査地点を「個人情報保護」を楯に一般公開しないのである。一般公開しないという建前で、調査地点周辺住民にも知らさないというである。ここが、要注意点である。因みに、方法書中にあった図中に、近隣人家までの距離がプロットされている図(方法書p110)が初めて公開されていたので、転載する。一般縦覧に付した方法書にはこのプロットはなかったと記憶している。

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風車から最も近い人家は僅か500mの所にある。1km以内の人家が、全部で10件プロットされている。大藤風力発電中止を求める請願もヤイロチョウのさえずる町づくり条例制定を求める請願も12月定例会では、継続審査となったが、審査を付託された総務常委員会の傍聴時に、水間淳一議員が、請願町紹介議員の村井真菜議員に、「風車から最も近い人家までの距離は」、と質問し、村井真菜議員は、「瀬里で2㎞だと思う。」と、答えている。方法書が手元にないのは情状酌量の余地はあるが、「議会運営委員会で決めたことを守ることは基本中の基本だ。」と発言して、議員報酬引き上げに反対討論した議会で運営委員会委員を批判した水間淳一議員であるが、このようなピンボケ質問に終始しているようでは、議員報酬引き上げ分の議会質疑の向上は、水間議員本人にはとても期待できそうにない。村井議員にしても、請願紹介議員として委員会審査を活性化し実効性のあるものにしていくには、「事前調査が欠かせない」ことを認識してるようには見えない。私が、経済産業省のHPで発掘できたものを村井議員が発掘できない理由は、村井議員が、まず丹念に環境影響評価法を読んでいないからである。村井議員は、11月15日の全員協議会を途中退席して、高知県知事選の松本けんじ候補者を迎えに行ったという事だが、これは村井議員の政治活動であり、本来は四万十町議会全員協議会出席を優先すべきではないか。どうも村井議員には万時、自身の露出をひたすら優先するというSNS世代特有の思考回路が備わっているらしい。この際「露出には、露出で」と四万十町議会も公式フェイスブックアカントを作成し、村井議員とフェイスブク上で一般人を巻き起こんでコメント合戦を展開したらどうだろうか。議長室に呼びつけて注意(私も再三された)なんて、もう辞め時ではないか。下元昇議長表に出ろ、である。槙野章も表に出ろ、である。表に出て本会議軽視を選挙民に謝罪すべきである。何のために毎年公費でIPad研修を受けているのだ。いい加減にしろ、と思う。話が少々逸れた。本題に戻る。総務常任委員会である。委員長の古谷幹夫議員にしても、沖縄基地問題関連陳情を「権限外で不採択」を臆面なく、実行したところを見れば、やはり、自分で調べて、自分で考え、自分で判断するという議員としての矜持の根幹部分が疑わしいと思わざるを得ないのである。「行政がしている事柄を、自分で調べて考えて、質問し、行政から回答を引き出す」ことを町民を代表してやるのが議員の仕事である。議会の質疑と答弁は、町が町民から徴収した税を町民のためにどう使っているかを明らかにするために行われる。これは、小学生でも理解できることである。そしてそれを為すには、必然的に「自分で調べて考えて、質問し、答を引き出す。」意欲と努力と執念がいる。その意欲と努力と執念の衰えを感じたら引退時である。議員の仕事は、本来楽で弛緩していられる仕事の訳はないのである。

四万十町議会議員  西原真衣