呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(73)

     下元昇四万十町議会議長は嘘をつく

 面談を申し入れたのは裁判の提訴人である山本たけし氏である。山本氏の同意を得て面談に参加した。高知新聞社の井上記者が現れた、事前予告がなかったらしく、しばしの問答後に傍聴席が用意された。文書で正式に申しれた面談である。記者が情報を聞きつけて飛び込みで取材しても別にいいではないか、と思うのだが。妙な事前調整が多過ぎる。事前調整は一体誰のためなのだろうか。

面談の趣旨は、「議長酒井祥功の名前で、4名の議員に対して為された厳重注意の撤回の申し入れ」である。

文書中に撤回方法も提示されていた。

1.厳重注意をすると言う内容が残る議事録を非公開にする

2.厳重注意という部分を議事録から削除する

以上は、むしろしてはいけないことである。全く賛同できない。厳重注意するという議事録は必要であり、その議事録は既に原告側弁護士の手に渡っている。

「厳重注意は、議員の名誉を棄損し、当該議員の名を代々辱める。」というのが撤回を求める理由らしい。けれども、厳重注意された当時者にその意識があるのか、かなり疑わしい。第一その意識があれば、第三者が撤回を求める前に当事者がその動きを見せてるのが自然ではないか。それは全く仄聞しないのであり、第一町民は4人の議員が議長名で厳重注意を受けたことなど全く知らないのである「厳重注意」に係る議会議事録は議会事務局に保管され、「平成30年12月20日の全員協議会議事録」と日時と会議種類を特定して開示請求しなければ開示されないし、つまり事前にいつどこで厳重注意を受けたという事実を知っている人間しか開示請求に至らないし、世間が知らないままであれば、名誉は毀損されようもないのである。厳重注意など、もう既に決着がついたこととして、今や誰一人気にしていない。「議会内部で勃発し、議会内部で決着した」というのが、彼らの認識の基本なのだ。山本たけし氏には十和村議5期の経歴がある。「議長名で他の議員に厳重注意するなどどいうのは議会の本旨に照らし合わせて言語道断である。」というのは正論である。なぜなら厳重注意の理由が、「議会運営委員会で決めたことを守らなかった。」という根拠のないものであるからである。少なくとも地方自治法、議会基本条例、会議規則、委員会条例に基づかないことは明らかである。町内会であれば話は別だが、痩せても枯れても議会であり、議会であるが故に彼らは、議員報酬を血税から受け取れるのである。けれども現実問題として、山本たけし氏は、法令を丹念に読み込み、読み込んだからこそ彼らの出鱈目さに憤慨している。が方や彼らの方は、法令を読み込まず、又理解しないがゆえに、出鱈目な議会運営を大真面目にやれるのである。言ってみれば、彼らは「それしか思いつかない」のである。「それしか思いつかない」人達に対して憤慨をぶつけても徒労に終わるとは十二分に推測されたからこそ、当初山本氏から一緒に議長に抗議してくれと言われた時も、敢て距離を置いていたのである。一緒に抗議はできないが、下元昇議長の応答は、把握する必要があると考え、同席を申し出た。下元昇議長の応答は案の定であり、「うろ覚え」的に物事を把握、判断しているという人物性がここでも痛感された。元々論理的整合性は望むべくもないが、それ以前に中身がないのである。卵に例えば、割ってみれば、黄身のない白身だけのような不気味さである。言動が丸ごと白身なのである。肝心要の核の部分がなく、保護膜だけでできているという不気味さと言ったら分かってもらえるだろうか。現況中継する。

下元昇議長:今日は、山本さんの思いをじっくり伺うつもりであるが、この後予定があるので、会見時間を1時間にして欲しい。(ヘラヘラとうすら笑いを浮かばせながら)

ここにある、議事録非公開と厳重注意の部分削除が、厳重注意の撤回方法ということやけんね。議長会(高知町村議会議長会)に、それができるかどうか事務局に聞いてもろうたけんね。自分は直接直に聞いていないけんね。事務局から説明してもらうとことでかまんやろか。

 議長会に聞く前に、議会は、四万十町情報公開条例の実施機関であるので、自らが情報公開条例に基づいて判断しなくてはならないのではないか。この時点で、議長会判断という権威に阿っている、長念い議員歴で習い覚えたことは、これだけか。行政に対して情報公開を迫り行政監視ができない理由はまずここにある。条例本体を読み込むという作業を怠ってきたのである。議長会に聞かなくても、解答は以下である。

「開示請求があれば非公開にはできない。非公開理由に該当しないからである。」

「厳重注意という文言も削除できない。議事録の改竄になるからである」

さらに、

下元昇議長:本会議での発言であれば、議長権限で議事録から削除できるけんどこれはそうじゃないけんね。秘密会であれば非公開にできるけんど、秘密会でもないけんね。

何をほざく、と思いながら聞いた。厳重注意した側が削除を求めるはずがないじゃないか。秘密会にするはずはもない、議会内部の見せしめが目的だからである。私を参考人招致した政治倫理審査会は、秘密会にした。私の本会議発言は議長権限で何度も削除された。議事録に残せば、彼らと執行部の双方が都合が悪いからである。彼らは利益共同体なのだ。議員報酬引上を正当化したい側として、秘密会にする必要はなく、議事録は残す必要はあったのである。威圧するという議会の内部統制が目的であったからである。

「彼らに取って議事録とは、町民に対する説明と検証のためのものではなく、内部統制の具である。だからこそ自らは決して公開しない。」

下元昇議長は「議会の見える化」を演説して議長選に勝った。これが、今期の嘘の始まりであった、この人は正真正銘の大嘘つきなのである。

「議長に厳重注意する権限はない。厳重注意で、厳重注意を受けた議員の名誉が毀損される。孜々累々まで辱めを受ける、故に速やかに撤回せよ。」というのが山本氏の主張である。が、正確な状況把握の上に立ってよく考えてみれば、町民は4名の議員が厳重注意を受けたことなど全く知らないのだ。第一彼らは全員協議会の場で謝罪したのである。議会運営委員会で決めたこと、つまり、「議員報酬引き上要望書を中尾町長に提出して、町長から議案上程してもらい、一気呵成に可決する」という暗黙の了解を破ったことをあっさり認めて、「議会運営の仕組みが分かっていなかった」と全員が謝罪したのである。新聞記事が出て選挙を控えて、狼狽して咄嗟に反対する振りをしたという挙動を正当化できる理由は、さすがに見当たらなかったのである。この厳重注意は議会の内部統制の道具立てに過ぎない。同じ5期目の議員であっても下元昇議員は山本たけし氏のような単独プレーができる力量を持ち合わせていない。懲罰を与えるべきという意見(味元和義議員、橋本章央議員)を制して厳重注意での幕引き発言をしたのがこの下元昇議員であった。「謝罪もしたし、反省の色もあるし、厳重注意でいいんじゃないか。」である。だから、厳重注意を受けた議員達は、名誉を棄損されたなどとは毛頭思わず、むしろ留飲を下げたはずである。この件が選挙時に封印された効果か否か、立候補しなかった下元真之議員を除いての残り3名は再選を果たし、引き上げられた報酬分もしっかり受け取れていることだし、万時めでたしめでたしなのであろう。現議会の光景がそれをつぶさに物語っているではないか。「一見は百聞に如かず」である。

 統率力と判断力の欠如を「穏便」で補う下元昇議長

槙野章議員不倫事件の時もそうだった。実に「穏便」に対応した。この時も「全員協議会を途中から秘密会にして、槙野章議員を他の議員に謝罪させて幕引きを図った」と事務局長から聞き出した。それも偶々下元昇議長と長年懇意な知人から、「あの謝りか方じゃ、いかんと皆が言っていた。」と「議員の一人」から聞いた」と事前に聞いていたから事務局を詰問できたのである。「議員の一人」とは、下元昇議長以外には考えられない。「槙野章議員の引き起こした不祥事について一先ず議長として謝罪させたが、本人の反省振りが疑わしいと、議員仲間が言っている。困ったもんだ。」と知人に言いそうである。槙野章議員は、議長に「うつ病」という診断書を提出し、議長の許可を得た挙句昨年9月の定例会を全日程欠席し、その間出歩いて大いに町民の顰蹙を買い、一時町民間で「議員辞職論」も飛び交っていたのだ。私見では、百歩譲って不倫事件は議場外の私事であるが、その不始末を原因とする本会議欠席中の出歩きは、「本会議軽視という政治倫理上の議会議員の品位を貶める行為であることは明らかである。従って、下昇議長は議会に諮った上で、本人に本会議場で町民に対して謝罪させるべきであった。ところが、下元昇議長にはこの判断力がない。それは、この人物に、法令を理解する能力が欠けているからである。これは事実である。いかに法令を理解する能力が欠けているかは、以下が事例が物語っている。私の場合は、秘密会の議事の漏洩で、会議規則違反となり懲罰の対象となった、全て本会議で、公開の場で行われた。下元昇議長は、私の知人に、秘密会の議事である、「全員協議会の場で、槙野章議員に他の議員に対して謝罪させた。」を漏らしているではないか。本来ならば私と同様に、秘密会の議事の漏洩で、会議規則違反となり、本会議の場で懲罰事犯の疑義を提示され、議決を経て、本会議場で懲罰を受けなくてはならないはずである。私の場合は秘密会の議事漏洩で、公開の場での陳謝文の朗読と出席停止まで行ったのだ。一先ず法治国家自治体に設置された議会が、このように出鱈目に運営されていいものだろうか。いいはずが無い。そこで私は、過去に議長室で、直に下元昇議長に直に確認を試みた。

西原:ひょっとして槙野章議員を他の議員に謝罪させたという秘密会の議事を親しい人に漏らさなかったか。

下元昇議長:そんなことをしたら大変なことになるけんね。

これは嘘である。下元昇議長は現職議員の誰よりも、この知人と親しいことは周知の事である。この人がなかなか議長になれなかったのも、元を質せばこの辺の資質に起因しているのだろう。信頼されないのである。私自身もこの人物には虚言癖に近いものを感じ続けて来た。四万十町議会は町民に対しては、裏で申し合わせて「議会として」平気で嘘をつくが、いざ議長選となると今までの議会内部での議員間の好き嫌いを含めた人間関係が影響するのは他の人間集団と同様である。

面談に戻って、さあ予定時間が近づいている。この際厳重注意に関しての、私にとっての下元昇議長の言質を取らなくてはならない。

私:厳重注意は、改選後にも生きているのか。また厳重注意を町民は知っているか。

下元登議長:酒井議長から引継ぎは受けていない。けんど議会運用基準165条に基づいているので無効にはできんけんね。厳重注意はどうやったやろう。議会だよりに載せたんじゃなかったやろか(長谷部事務局長の顔を伺うそぶりを見せる)

 議会運用基準とは運用マニュアルであり、公知の物ではない。元々厳重注意という懲罰の根拠になるものではない。議会日程や一般質問の順番が自由討議の演目を決めた後で、165条「これを遵守する」と念を押しているだけである。懲罰の根拠になるのは、自治法、会議規則、委員会条例だけである。下元昇議長は、やはり法令を理解できないのである。議会だよりには断じて載せていない。虚言癖がここにも出た。さて、面談も最終幕に近づいた。山本氏の激昂は留まるところを知らず「総務課長より偉い、強い権限を持つ議会議長ともあろうものが、対峙すべき執行部に平伏してお願いする(要望書を出す)とは何事か。」という頂に上り詰めて来た。いよいよ山頂か。

下元昇議長:あれ、なんやったっけ運用基準の、

長谷部事務局長:運用基準じゃなくて議会基本条例23条の

下元昇議長:ああそうそう基本条例23条に、報酬等審議会の意見を参考にするという条項があって審議会は町長の諮問機関なので、その手法が書かれているので、そっちでやったということやけんね。そういう方法が書かれてあるけんね。

私は、遂にいたたまれなくなって退室した。議会基本条例23条を体系的に理解できないのである。1項は議員報酬の見直し時には報酬等審議会答申を参照すると規定しているだけであり、「町長発意を要望によって促して1項の手法を偽装する」という想定はない。第一手法の提示ではない。首長には条例改正議案の提出権が有るので議員報酬引改正(引き上げでも引き下げでも)議案を提出できる。それは言わずもがなの事である。わざわざ議会基本条例で規定するようなことではない。訴訟の最大争点が1項を援用した2項の潜脱であることさえ、下元昇議長は理解できていないのだ。ここに至っては、議会基本条例を理解できない議会が、同じく理解できない首長に阿り予算を付けてもらって大団円に至ったと受け取っているという構図しか浮かび上がってこないのである。

税金という同じ釜の飯を食うという宴をなじみの人間同士でダラダラ続けたいだけである

これが令和2年、西暦2020年の恐らく日本全体の政治の光景である。ああ無情、老いゆく日本は、一体どこに行きつくのだろうか。

西原真衣