呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(66)

        図書館が暗い

 四万十町立図書館が暗い。「ウワツ、なんか災害時みたい。」と咄嗟に思うほど暗い。そう言えば入り口に張紙がしてある。「照明が故障しています。御迷惑をおかけします。」というやつである。カウンターに居る知り合いの図書館職員とこれを話題にする。

「どうなってるの。原因は分かってるの。この状態が長く続いているけど。」梅雨時であり、一月は優にこの状態が続いていたのだ。とにかく全体が異様なまでに暗いのだ。それもそのはずで天井に設置されている照明装置の1/3以上が点灯していないという異常さである。更に異常なのは、「どうなってるの。原因は分かってるの。この状態が長く続いているけど。」と聞いても、さっぱり実質回答が得られない(春闘みたいな表現ではあるが)ということである。

「日によってついたりつかなかったりするんですよ。」

「設備自体が古くなっているそうです。」

「天気が良いとつくので、湿気の関係じゃないかと思うですけど。」

「大がかりな工事が必要ですぐに手が付けられないということかしらね。」

このような会話がその後何回も繰り返された。つまり図書館職員がこの時点で、「原因が分からない。」「この事態にどう対応するのかを知らない。」「いつまで続くのかも利用者に全く伝えることができない。」状態が放置され続けているのである。図書館側の具体的な対応はたった一つ、「照明が故障しています。御迷惑をおかけして申し訳ありません。」の張り紙だけである。どう考えてもかなり異常な図書館行政ではないだろうか。その暗さだと新聞を初め図書館資料の閲覧に明らかに支障があるのである。災害時でもあるまいに、本を読むには暗すぎて読めないような図書館のまま2ケ月近くが経過している。私にはこの状態が改善される見込みがないと見えたので、生涯学習課課長、生涯学習課主幹、教育長と渡り歩き、

「原因は判明しているのか。」「復旧の見込みは。」に回答せよ、と詰め寄ってみた。これ、実際詰め寄る以前の問題である。なぜ私が、このように基本的な設問を用意しなければならないのか自分ながらにさっぱり分からない。彼らは、本来行政側から住民に対して真っ先に行うべき状況説明の説明項目を住民側から指摘してもらう必要があるほど、不真面目、怠慢、無能なのであろうか。最も唖然としたのは、図書館に常駐している唯一の一般行政職である副館長(中年女性)が、事態を以下の如く捉えていたということである。因みにこの人物は通常館長室に陣取っているので、自分の個人的PC業務上は照明問題は発生していない。そもそも図書館に利用者が何を求めて来るのかがさっぱり分かっていないという事か。少なくともこの人は、図書館が何たるかを分かっていない。自身が図書館ユーザーでないことは火を見るより明らかであるが、けれどもそれは理由にならない。副館長である以上対処しなくてはならないはずだ。されどもやはり、館の運営は来館者の動機が推察できる人で本来あるべきである。ここで持論を一言述べたい。

「図書館職員たるもの自身が図書館ユーザーでなくてはならない。」

の考えは結局ここに行き着いた。これは必須である。でなければ図書館利用者が何を求めて図書館に来るのかが理解、想像できないのだ。この副館長が図書館に関わったことがなく、図書館を必要とせず半生を生きてきた人物であることは間違いない。以下の会話で判然とする。尤もそればかりではない。図書館に限らない一般的な状況把握と判断力の問題も大きい。

 

「館長に相談したら電気屋を呼ぶ必要があるね、と言われたので、電気屋さんに来てもらった。

電気屋さんに電圧は低くなっていないと言われた。」

「つくときもあるので悩ましい。」

イッタイソレデドウスルツモリダ、と詰め寄った。詰め寄る以外の何ができようか。

「設備が古いので、交換しなくてはならないらしい。埋め込み式だと1基が27000円、ぶら下がり式だと17000円で済むと言われた。消耗品ではなく修繕費で対応しなくてはならないが、修繕費が2万しかない。消耗品費を流用すれば、コピー用紙代とかがなくなるので悩ましい。つくときもあるし。」

ここで再度言っておきたいのは、この人は一般行政職で副館長の地位にある中年女性である。ひたすら「悩ましい」ので、雨が降れば、図書館の天井の照明が1/3機能しない状態が2ケ月近く放置されてきたのである。これ以上住民にとって「悩ましい」極限値に達している図書館運営ちょっと見当たらない気がする。だからニユース化しようと今これを書いている。「悩ましい」のはこれでお終いではない。なんと、

その1.かような機能不全の図書館行政を執行していながら、新しく図書館を作ろうしており、財源は過疎債で総事業費16億円が見積もられている民

その2.令和2年はコンサルタント「アカデミックリソースガイド」の岡本真氏に1300万円をつぎ込んでいるといる

     電気設備の買い替え費用の捻出もできないのに

四万十町民は苛斂誅求に税金をむしり取られ続けながら、まともな図書館運営をする気がないか、若しくはその能力に欠ける役人に我々の税金を湯水のように使われて愚弄され続けているのだ。おまけに、来る8月11日には四万十町議会全員協議会で、「新図書館」についての意見交換会がもたれ、更に9月定例会では、「新図」についての自由討論が企画されているという。四万十町は、立派な庁舎に立派でない職員が蝟集しているという定説がある(西庁舎玄関の町民閲覧コーナーの住民意見掲示板それがよく分かる。)。きっと新図書館でその汚名がさらに上塗りされることだろう。一方報酬を町長に引き上げてもらって有難がっている議会の方は、行政の寄生物と成り下がっている。第一建設予定地入り口両側の用地買収も進んでいない、9月補正に事業予算が計上される予定もない、「新図書館」を自由討論の議題にする意図は、たった一つ四万町通信新年号で、下元昇議長挨拶「風力発電と複合文化施設を調査、検討、熟議して、将来に禍根を残さないようにしたい。」を念頭に置いた「やってる感」を出すための議会側の裏工作である。その傍で、まるで「やってない」みたいな、天気次第で照明が異様に暗くなる「図書館」が放置されている。

実は、この図書館は、照明ばかりではない。昨年12月よりインターネットに接続されている一般利用者向け館内PCにも「メンテナンス中で使用できません」の張り紙が張られっぱなしなのである。実に8ケ月が経過している。どうも張り紙を張れば「業務完了」という事らしい。後は上の指示を待つだけ、である。何という気楽な職業であろうか。因みにこの副館長、50歳前後という年齢と推定すれば、年間人件費総額(給与、賞与、諸手当、共済費を含む)は900万円相当である。月額に換算して75万円である。それを考えると、PCの「メンテナンス中で使用できません」もついでに「原因は判明しているのか。」「復旧の見込みは。」に回答せよ、と私は詰め寄らなくは気が済まなくなってきたのである。職員給与というコストを知っていれば、そのような心理状態になるのは人間として正常な反応というものではないだろうか。

この人物は副館長職である。副館長しか常駐していない以上、この人が実質的に館長役である。「副であろうと館長と名がつけば、その間で提供されているサービスを一通り理解している。と常識的に考えるのは甘い。それはここでは通用しない。

「ソフトがコロナで製造ができなくなってインターネットに接続できなくなっていると聞いています。」

と狼狽の表情を浮かべながら回答した。

意味不明ではないか。インターネット接続にソフトウエアが必要だなんて初耳である。別途技術系の職員に問いあわせた結果、正解が分かった。

「一般利用者が閲覧する公共施設に設置されていPCには、閲覧制限ソフトをインストールしている、ウインドウズOSのサポート終了に併せて、ソフトのバージョンアップが必要であったが、それに送れ、そのタイミングでコロナ禍でソフトウエアの調達ができなくなっために、閲覧制限が無効化している。そこでインターネット接続自体を止めている。ソフトの調達目途は立っていない。」

「他の公共施設で過去に外部からOSがいじられてバージョンを変えられ、その為にインターネット接続ができなくなってなったことがある。それを防ぐ目的でシャトダウンダウンすれば自動的に基本設定が復元できるソフトをインストールしているのだが、それにもいていてそれにも同様の問題が生じている。」

上記の理由で、インターネット接続できなくなっているのではなく、接続を停止していたのだ。

以上を全て理解して完璧に説明できることまでは要請しないが、「館内で提供されているインターネットによる検索サービス(図書館にとって基幹的な調べものサービス)を運用する上での留意点(閲覧制限やシステムへの介入によるサービス毀損への対応)について、この副館長は、全く理解していないという事は明らかではないだろうか。これは結局、「前任者からの引継ぎも含めて、上司や支援に当たった技術職からも理解を求められていない」という事でもある。下手すれば上司自体が理解していない可能性も大いにある。そのような状況下で、四万十町が1300万円をつぎ込んだコンサルタントが提唱している新図書館構想のビジョンとは以下のようなものである。

「住民と行政が協働で作り上げていく地域に開かれたコミュニテイ機能のある図書館。図書館と美術館の垣根のない、出会い、交流、学習、創造、表現という多様な機能を果たす複合的な文化施設

更に圧巻はSTEM教育の実践の場と続く。STEMとは、一体何か。

Sは、SciencenのS

Tは、TechnologynのT

Eは、EngineeringのE

Mは、MathematicsのM

ということらしい。まるでドレミの歌である。サウンドオブミュージック的懐古趣かなんかだろうか。いずれにしも、インターネット検索サービスの館内提供についての方針理解、説明できない館員だらけで、STEM教育とは、質の悪い冗談か何かとかしか思えない。「図書館職員の質が図書館のレベルを規定する」これは否定しがたい定理のようなものではないだろうか。けれども図書館業務に限らず、その事務事業の概要を過不足なく把握、理解することが上司によって求められてこなかったことが背景にある。合併前からそうであろう。役所の職場文化である。その結果が図書館職員の対応に余すことなく現れている。言い換えれば、町の図書館とは町がその採用した職員をどのように人材育成して来たかのお披露目「展示室」となっているのである。川上哲夫教育長の後任者である元人材育成センター室長山脇和章新教育長や林瑞生涯学習課課長はコンサルタントの巧みな話術に幻惑されて、薄ぼんやりと、「STEM」教育を提供できる先進的な図書を作る準備を進めているつもりになっているようであるが、実にとんでもない話である。STEM教育どころではない職場における日々の日本語環境が途方もなく劣化し退化しているからこそ、以下のようなやり取りが生じてくるのである。

ソフトウエア製造中止を受けて、館内でインターネット検索環境を提供するにはという視点での質疑を試みたら、

Wifi環境は館内にありますか。」

「あります。」

「館内にモバイル機器を持ち込むことは許可されていますか。」

そこまでは分かりません。聞かれた事がありませんから。お時間を下さい。」

「今日は土曜日ですが、誰に聞くんですか(生涯学習に上司はいない。」

「Nさん(最も古株の現場スタッフ)達が今日は研修で出ているので、今日は私しかいないんです。Nさん達が帰ってきたらNさんに聞きます。」

「もういいです。」

「Nさん達」とは全て女性で会計年度任用職員と今年から名称が改まった非正規職員である。因みに四万十町にはこの会計年度任用職員が350人もいる。この任用職員には名簿もなく職務内容を記述したものもない。「一般事務補助」等で一括りにされている。そのような待遇に長年甘んじざるを得なかったNさんに聞く、と言われても素直に「そうして下さい。」という気にはなれない。ここ四万十町においては、決してこの人に限らない、一般行政職の正規女性職員が年功序列で職位は上がっても、かように甘やかされ、説明責任から免責され、財政面での基本的な知識(定款・項・目・節という予算の細目階層で、目、節間の流用は可能であるとか予備費の充当ができるとかの)が欠落しているので状況の変化に対応できず、思考思停止に陥り、判断を下せず、その結果図書館は暗いままである。照明がつかないほど分かり安くはないが、実は役場全体がそのような情勢である。でありながらで建前上模範であるべき役所なので、男女共同参画面では、給与面での平等だけが完璧に実現している。これが、四万十議会議員槙野章の議会事務教職員女性との不倫事件の時にも言及したが、町役場に実に仕事ぶりが怪訝な正規女性職員(若くない)が少なくない背景なのである。これでは男女共同参画社会の推進を町民向けに啓蒙するだなんておこがましいこと、とてもじゃないが言えないと思うのだが。

 西原真衣