呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(62)

「サービスデザイン推進協議会」と何だか似たようなことがシマコンで起きている

 

 「サービスデザイン推進協議会」と何だか似たようなことがシマコンで起きている
四万十町議会6月定例会が閉会した。シマコンについて水間淳一議員より質疑が出た。

「シマコンとは何か。」である。そのようなことは事前に確認して次のステップの質疑にすべきである。水間議員は最長老の74歳であるが、議会を町の広報の場(事業についてのお知らせの場)にしても一切気とがめることもなく、毒にも薬にもならない苦言とやらを呈して質疑修了(3回までだか、2回で十分)というスタイルが常套化している。


水間淳一:シマコンとはどのような事業か、簡単に説明して欲しい。


植村有三賑わい創出課課長: お答えします。鎌倉で創業、起業のアイデア出しイベントが最初に始まりました。このイベント名が鎌コンです。これと類似の雇用の創出等の地域の喫緊の課題解決を目的にした町民参加型イベントをここ四万十町でも開催しようと言う事になり、鎌コンならぬシマコンと命名しました。


水間淳一:よく分かりました。が、敢て苦言を呈すれば、シマコンという事業名では、事業内容が非常に分かりにくい。より分かり易い事業名を今後はつけてもらいたい。


その間予算説明資料を抱えたまま、手が資料の背の部分を5往復位行ったり来たりしていたので、ついついそっちのほうに目が奪われた。要はこの人物は、事業概要を執行側に説明さすことが質疑であると思い込んでいるだけで、肝心の質疑に、視点の提示が全く無いのである。オリンピックはかって参加することに意義がある(勝ち負けではない)と言われていたが、水間淳一議員の場合も本会議で質疑に立ち、とにかく存在感を示すことに意義があるという考え方なのであろう。これがこの人物のまごうかたない議会観である。この人の74歳という年齢と合わせて、戦後75年、日本の津々浦々で議会制民主主義がどう理解されているかの非常に分かり易い一事例である。
所で、シリコンバレーとは誰もが知る名立たるアメリカのカリフォルニアにあるITベンチャー創業クラスターの事だが、まさかシリコン(半導体)のコンとは、意表を突かれました。コンファランス(会議)のコンじゃなかったのである。ところでこのシマコン第1回目を地元岩本寺で開催していた。手法はいわゆるアイデイア出し、別名ブレーンストーミングである。CATVで紹介されていたので偶々目にしたのであるが、見た所かなり賑わい、楽しそうで盛り上がっていた。みんなで集まって楽しくやれるイベントなら別にいいンじゃないか、と漫然と見ただけの事である。が、そこに居る人はどうやってそのイベントに招待され、又プレゼンターとなっているのだろう、といつもながらの疑問がぐっとこみ上げてきた。ヒントは地域おこし協力隊にあった。地域おこし協力隊の女子が鎌倉まで出張し(出張旅費は旅費宿泊費込みで通常一人7万円)鎌コンに参加、これを是非四万十町でもやりたいと提案、早速官民共同参画型のシマコン実行委員会が結成され、6月補正で事業化され、鎌コンの生みの親である「株式会社カヤック」の社員8名が四万十町御招待となった。補正予算によればこれが、講師謝金80万円の内訳である。賑わい創出課の担当者によれば、「次回シマコンのプレゼンターと一緒に町歩きをし、町のお宝を一緒に探すことで、起業、創業のシーズ(種)を発掘する。」そうである。次いで「起業、創業に繋がり雇用が創出される可能性もあり、町の一般財源も使わない、町の経済浮揚効果が期待できる有意義な取り組み」なのだそうである。有意義かどうかはさて置いて、私が非常に気になったのは、助成金200万円の内80万円が、講師謝金と予算書に計上されていたことであった。交付元は、一般財団法人地域活性化センター」である。申請者が四万十町である。地域活性化センターHPを開き、助成金事業について調べてみた。「移住定住交流推進支援事業」という枠である。地方公共団体地方公共団体が設立した協議会(実行委員会等)を対象とする助成事業と説明されている。一般社団も一般財団も財務情報の公開が義務付けられている。案の定収支予算書にざっと目を通してみれば、宝くじ関連交付金が主要な収入となっている。
高知県自治会館内に高知県町村会(任意団体)、高知県町村議会議長会(任意団体)、公益財団法人市町村振興協会という三団体が職員兼務方式で同じフロアに雑居していることを御存じだろうか。振興協会は主要な財源が宝くじである。この全国組織である一般財団法人町村振興協会から地域活性化センターに宝くじ交付金が交付されている。ざっと4億4百万円である。支払い助成金は2億4千万円である。財団法人の運営には当然役員報酬や人件費やもろもろの雑費や家賃がつきものであるので、この差額をさすがに「中抜き」とは言わないだろうが、ここで少しおかしなことに気が付いた。町村会、議長会、振興協会がまるで三位一体であるかのように職員兼務で同じフロアに事務所を構えているのと同様に、この地域活性化センターにはこの一角に「移住交流推進機構(JOIN」という一般社団法人が同居している。一般財団法人と同一事務所内に別の一般社団法人が同居している。そして、こJOINが助成金申請の審査業務に携わっている、というのである。外注かなにかよく分からない。おまけにJOINから送付された申請書類には、しっかりと「連携する民間企業」を記入する欄があり、民間企業との連携が申請要件であると記載されているというのである。「民間企業との連携が申請要件となっている助成金事業」これだけで十二分に裏がありそうではないか。ここでもう一度地域活性化センターHPに戻って、「移住定住交流推進支援事業」実施要領、留意事項、様式、チェックシーの全てに目を通してみても、そのどこにも「民間企業との連携が採択要件」とは明示されていない。この民間企業が四万十町の場合、株式会社カヤックである。ここのHPを覗いてみれば、やはり移住定住交流事業が組み込まれている。四万十町に交付される200万円の助成金中80万円がこの民間企業株式会社カヤックに支払われるということである。宝くじ交付金が回り回って、この企業の収入となる。この経路は、高知県市町村振興協会→一般財団法人町村振興協会→地域活性化センター四万十町→株式会社カヤックである。因みにこの地域活性化センター代表理事は、元総務省事務次官、椎川忍氏である。それより役員名簿を見て驚いた。地方6団体代表で完璧に塗り固められている。地方6団体とは、全国知事会全国市長会全国町村会と全国県議会議長会、全国市議会議長会全国町村議会議長会盤石の構えである。以下が役員と評議員名簿である。評議員のとりには、しっかりと電通の名前もある。

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この元事務次官椎川忍氏が、昨年度四万十町で開催された「地域おこし協力隊全国大会」に来庁したらしい。CATVが早速報道したので、元四万十町地域おこし協力隊と現協力隊がスピーチしているのを偶々家で見た。元協力隊は定住こそしてないが、四万十町の東京事務所の運営委託先株式会社「ぱど」社員として高知県四万十町の移住定住事業に係って、めでたく東京と高知県を結ぶ「関係人口」となったらしい。本人も「定住だけが協力隊の目的じゃない。地域に頼ることで定住しなくても関わり続けることができる。」と全国から来た協力隊に向けて先輩として労わりつつ激励する内容のスピーチをしていた。もう一人のいかにも絵にかいたような爽やか好青年風の現役協力隊は卒業後これもめでたく四万十町席職員に採用されている。地域おこし協力隊事業の所管は言わずと知れた総務省である。このような見事な関係者限総括大団円を横目で眺めながら、ふと思ったことがある。結局、東京にヒト、モノ、カネが吸い取られている。地方6団体がそれを後押ししている。首長と議会が奥の院で同席している。高知県市町村総合事務組合という名の事務組合(共同で事務処理をする目的で設置されている特別地方公共団体)が制定した退職金手当組合条例というものを見たことがあるだろうか。以下URLである。

https://www.c-kochi.jp/sogojimukumiai/img/jorei-kiyaku/退職手当条例(H30.4.1%EF%BD%9E).pdf

制定したのはこの事務組合に設置された議会であり、中尾博憲町長と下元昇議長が仲良くこの議会に議席を並べているのである。この退職金条例に基づいて高知県市町村職員には退職金が支払われる。現況では2200万円である。四万十町予算書の46pに、一般職退職手当組合負担金173418千円が計上されている。すぐ上に特別職退職手当組合負担金4925千円も計上されているのが見て取れる。特別職とは町長、副町長、教育長の3名である。予算書は以下である。

 

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この様に毎年町全額負担で退職金が積み立てられているのである。だから二元代表制と言っても、これが実態である。職員の退職金に係る条例を秘かに町長と議長が同席して議決しているという事である。今回自分が関わった裁判の本質もそうだが、「二元代表制」これをどう捉えるかが、問われている。いずれにしてもシマコン人一つからこれだけのものが見えては来る。この全貌をどう見るかは個々に委ねられている。これが我々が長年かけて作り上げてきた政治文化であり、税金や公営ギャンブル宝くじの分配則でもある。冒頭の水間議員の質疑に戻って、事業の概要を執行側に言わせるだけでは、相手側のプレゼンに協賛することにしかならないのだ。まさか議会議員は地域おこし協力人隊全国大会に出席している位のつもりで本会議に及んでいるのか。願わくばカヤックとプレゼンターとの町歩きも水間議員の質疑同様相手側のプレゼンに協賛する結果に終わることにだけはならないことを期待する。金を払った上で、相手に協賛しながら情報提供する(町をリサーチさせる)なんて、人が好過ぎて、殆どマヌケの域でしょうに。

西原真衣

 

西原真衣