呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(2)

四万十町議会での風力発電関連質疑には必ず次の4点に焦点が当てられた。

1四万十町景観保護条例違反にならないか。又高知県四万十川保全条例違反にならないか。

2.風車設置工事に伴って排出される莫大な土砂は、土砂災害を誘発し、四万十川を汚濁させ、鮎に壊滅的な影響を及ぼさないか。

3.低周波による健康被害の報告が、世界的にある。オリックス社は、住民説明科の場で、「医学的因果関係が立証されたら補償する。」と説明したが、この説明を受容できるか。

4.ヤイロチョウの飛行ルートが影響範囲に確認されている。ヤイロチョウの森の保全風力発電設備は、両立するのか。

議会傍聴者として、答弁内容を聞き漏らすまいと神経を集中した。

まず1である。

中尾博憲町長:景観協議会の了承を得たので、風車の設置届を許可した。

山本康夫企画課課長:景観保護条例上、四万十川流域の景観保全のため、高さ20m以上の建造物の設置は原則許可されないが、再生可能エネルギーの普及が国策であり、広域に電気を供給するというための建造物(直径80m, 高さ120mの風車49基)であるので、「公益上の止むを得ない理由」に該当すると判断した。又オオリックス者から提供された、モンタージュ写真によれば、風車は1,2基しか国道からは見えないという事であるので、景観に対する影響は軽微にとどまるという協議会の判断もいただいた。

この答弁が為された時点で、景観協議会の議事録は公開されていない。無論オリックス社が提供したというモンタージュ写真も公開されていない。議会答弁で引用される議事は、既に公開されているべきである。私が、企画課四万十川対策室長、中井氏にやかましく言って、やっと町のHPに掲載された。ただし、モンタージュ写真は写真はアップされていない。オリックス社が著作権を主張して、掲載許可しなかったと推測する。議事録を印刷したものをここに公開する。

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沈みにこの中井氏は、四万十川対策室の開設に先立って、環境省に2年間出向していた職員である。環境省に2年間出向しても、環境影響評価を法的に義務付けられている事業者の作成する図書に対して、作成者である事業者が設定できる著作権に関しては、全く事業者の言いなり(事業者の意向伺いに終始し、環境影響を受ける住民の知る権利には配慮しない)であるところを見れば、環境省という省庁では、「著作権法上作成者が設定できる著作権が、環境影響評価法上の法の趣旨の実効性を阻害しているので、環境影響評価図書上の著作権に公益上の目的による制限を設けるべし」という議論が、当時から省内で全く為されていなかったということが分かる。実にレベルの低い省庁である。結果的に、公正な法執行が行われているとは思えない。景観条例上の「止むを得ない公益上の理由」公益とは、誰の「益」か、「公益」を判断するのは条例を運用する四万十町である。国のエネルギー政策が標榜する「国益」と、環境影響下にある四万十町民の幸福と安寧を阻害しない、むしろ促進する「町益」との関連性についての見解を述べよ、中尾博憲町長及び山本康夫企画課課長。この設問は、私、西原真衣が過去5年間四万十町議会議会議員であった経験から習得した、ある教訓から生じたものである。それは「質問が答えを作る。」という極めて簡潔で実用的な教訓である。ここでも単純に「条例違反ではないか」と聞くから、上記のような、執行側の自己正当化答弁しか引き出せていない。質問する側が知らないことを並べ立てて、判断の正当性を装うという答弁側の常套手段が駆使されている。これはバカでもできる。日本は中央集権国家以外のノウハウがないので、縦系列の連絡、調整、通達による資料が常に役所には山積みされている。質問通告書を渡された部下が資料を探索し、コピーアンドペーストで準備完了である。誰も頭を使う必要は一切ない。バカでもできるように、実に堅牢なシステムが、既に構築されているのである。そして、最後は、あの腹立たしい「ご理解いただきたい。」で終結する。議員の皆さん、景観保全条例だけでなく、景観協議会議事録ぐらい読んで、想定問答集を議会開会前に自前で作るべきですね。確か、過去に議会だよりの編集目的で、執行部(答弁者側)が質問通告を受けて作成した想定問答集を、議員トレーの中に入れて、これで、議会だより原稿出して下さい、ってやってましたよね、閉会後に開会前の資料で、議会だよりの一質問質問欄を埋めようとしていた中屋康広報広聴委員会委員長、私に指摘されて、止めましたけど。覚えてますか。「本会議」って一体何だったんですか。まさか、自分たちで出し物を事前に決めてPRする、「展示会」の一種だったんじゃないでしょうね。こんなお粗末な展示会、年に4回やって、月給取っちゃいけませんよ。「会議は踊る」とは、世界史の教科書で習いましたけど、もはや踊る事ことさえ到底無理でしょうね、その衰えた足腰では。高齢化した議員の皆さん。議員報酬上げ時ではなく引退時だったんですよ。時節を読み間違えてはいけません。醜悪なだけですから。

四万十町議会議員  西原真衣