呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(1)

オリックス社の動きと町動向を追って, 議会の傍聴に通っていた時期に、偶々目にしたface book 投稿写真がある。投稿者は、役場企画課坂本仁氏であり、キャプションと写真からするに、役場庁舎前のアジアナカフェにて、武石俊彦県会議員、武田秀義町会議員、高橋正徳、四万十ふるさとの自然を守る会メンバー(顧問?)、影野小学校校長坂山英治氏の夜の飲み会場面である。なんでも「窪川高校の今後」というテーマでの意見交換が今宵のテーマだという。ケーブルテレビでも放映されたという人材育成センター主催の「シゴトフェス」に高橋氏はシンポジストとして出演していたので、その直後のホットな話題であったのだろう。私はと言えば、偶然インターネット署名サイトchange . orgで「四万十町ふるさとの自然を守る会」が大藤風力発電事業の中止の賛同を求める文書をある日メール受信した事から、この風力発電事業に対する個人的関心を喚起され、直ちに賛同し、キャンペーン広告費を寄付までした経緯があった。賛同はしたけれども、である、実は四万十川源流の風景が残る十和へ都会から移住していた若い母親たちが立ち上げた運動にしては、署名を求める文章が素人はだしで、風車の立地予定地までドローンを飛ばして四万十川の打井川地点を撮影した写真もあり(眺望点から風車が見えるかどうかの実証目的)、おまけに地元選出の武田秀義町議、村井真菜町議、武石俊彦県議の議会での風力関連質疑にも言及していたので、内容が出来過ぎている、とはさすがに感じていたので、face book上 の投稿写真を見た瞬間、腑に落ちるものがあったのは、事実である。「なんだ、この人達は、予め繋がっていたのか。」という感想である。そして、聞けば、文章や写真が高橋氏によるものであるらしいので、それであれば、実につじつまが合う。が同時に、私にとっては、その1枚の投稿写真は、今まで知っていたけれども言う機会のなかった事柄を、過去に私が知り得た事実に基づいて、人物履歴の側面から書いてみたいという誘惑をももたらしたのである。情報源は、彼ら自らの発信情報か、四万十町職員から得た業務情報か、既に公知の事実であるので、基本的写真上の人物のプライバシーには触れないとの判断が前提にある。まず投稿者の坂本仁は企画課職員で、直の担当ではないが、そこには、大藤風力発電事業環境影響評価に係る四万十川対策室がある。そして坂本氏は、総務省所管ドローンの実証事業の担当者でもある。そして人材育成センターは企画課の外局である。次に、高橋氏。元朝日新聞カメラマンの移住者で、松葉川の七里で納屋をリノベーションした古民家カフェ「土間と壁」の経営者でもある。移住直後に、米奥の四万十川の河原で、自らの婚礼を、picnic weddingと言うイベントとしてface book 投稿していた。今では写真家としての腕を買われて、町から、移住定住,観光関連のパンフレット作成等の仕事を受注している模様である。ごく最近では、人材育成センター主催の地元高校生とその保護者向けイベント「シゴトフェス」のシンポジストもやり、同時に大藤風力発電事業に反対する「四万十ふるさとの自然を守る会」のブレーン兼司令塔でもあるようだ。実に八面六臂の活躍ぶりである。さすが元マスコミだけのことはある。持てる情報収集、加工、発信力を全て自身の露出と生業に繋げることに成功しているという印象を与える、バイタリテイとフットワーク抜ヲ兼ね備えた御仁である。きっとこの辺が、シゴトフェスのシンポジストに抜擢された所以だろう。このようなフットワークは、昨今称賛の対象なのだ。いわゆる「インフルエンサー志向」と言うやつかも、とひとしきり思ったが、それにしても人材育成もなんだか時流に弱過ぎるきらいがある。役場職員の情報弱者振り、ある意味での免疫不全症には、散々遭遇してきたので、今更のようにげんなりする。私が議会でコンサル委託廃止論を主張していた理由は、実はここにある。それをやっている限り、役場職員側に業務上の見識、知見の蓄積が生まれないのだ。次に影野小学校の校長坂山英治氏である。彼の経歴も華々しい。何と前任は、スイスはジュネーブにある日本人学校の校長、その前は窪川小学校の校長、その前は、JICA職員で水産庁関連の仕事をしていたという異色の経歴の持ち主である。高橋氏がありふれた移住者でないのと同様に、窪川小学校長時代から、坂山氏もありふれた小学校長ではなかった。私は、当時議会にいたので、坂山校長からよく、窪川小学校の卒業式への招待状や窪川小学校の開かれた学校づくりに対するアンケートを議会事務局を通じて受け取っていた。又韓国から小学生を窪川小学校に招待して、日韓の小学生交流事業も実施していた。(これはしまんとハマヤの掲示板の写真で紹介されていたので、知っていた。)続いて、坂山氏が窪川小学校の校長であった時の、一般には知られていないであろう、高橋氏に劣らぬ八面六臂の活躍振りについて書く。当時議員だった私は、中尾町長一期目の目玉政事業、人材育成事業について調査目的で企画課を訪ねていた。当時は準備段階で、改善センタ―内ではなく、企画課内に人材育成室が設置されていた。室長は今と同じ山脇氏である。その日偶然、坂山校長が、見慣れない大学関係のような人たち数名と町長室に入っていくのを目撃した。それで山脇氏に、「何用なのか。」と聞いてみた。山脇氏は、来訪者と来訪目的を記した一枚の紙を、説明代わりに私に手渡した。その時町長室には、川上哲夫教育長も呼ばれていたようであった。紙を読んで驚いたことに、来訪者は、東京大学を始め名だたる大学の教授たちであり、文部科学省所管、淡路島で既に導入実績があり、人口増に一定の成果があったとかいう、地方創成関連の実証事業の導入を、町長と教育長に対してプレゼンするというのが来訪目的であった。ここまでで、坂山氏が、地元小学校校長イメージからはかけ離れた人脈の持ち主であると、誰もが感じることだろう。その後である。窪川小学校校長が東京大学の教授連を同行して、文部科学省の地方創成関連の新規事業の導入のプレゼンに町長室を訪問するという非常に珍しい光景(実感的には、ある意味不自然でもあった)に探究心を刺激された私は、件の紙に記載されていた唯一、聞きなれない大学名、吉備国際大学を自宅でネット検索してみた。するとなんと、講師の一人に、坂山英治氏の名前を見たのである。現職の窪川小学校長が、岡山県にある吉備国際大学の講師を兼任している。そんな時間的ゆとりがあるのかと、漠然と引っかかりを覚えたが、その時はそれ以上は踏み込んで調査しなかったし、その件はそのまましばらく忘れていた。時が経過して、ある時町の噂で、坂山校長のジュネーブ日本人学校校長栄転が聞こえてきた。窪川小学校校長がいきなりスイスはジュネーブ日本人学校の校長に赴任する、これも仰天人事である。早速、高知県教育委員会に電話取材して「そのような人事ルートがあるのか。」と聞いた。県教育委員会によれば、海外派遣教員は、文部科学省によって毎年全国から公募されている。応募には県の教育委員会の推薦がいる。坂山校長は、県教育委員会の推薦を得て応募し、今回、見事選ばれた、と説明された。「過去に坂山校長名を吉備国際大学国際大学講師としてネット上で見たが、管理職が兼職できるのか。」とも聞いた。「任命権者の許可があればできる。」が、県教委の回答であった。坂山校長の任命権者は、川上哲夫教育長である。そこで早速教育長室に出向き、坂山校長の兼職内容を知りたいと切り出した。川上教育長は、熊谷次長に資料を探させ、私に見せた。資料を覗き込んだ時に、アッと声が出た。講師としての演目が、「海外派遣教員について」だったからである。驚いたことは、もう一つある、吉備国際大学の学長名が加計泰子と記されていたのである。当時は、森友、加計学園騒動の記憶が新しかったので、加計一族関連大学であることが、否応なく見て取れた。事実、大学理事長の加計美也氏は、加計幸太郎氏の実姉であるらしい(ウキペデイア)。吉備国際大学で海外派遣教員について教えていた坂山校長は、その後文部科学省の海外派遣教員の公募に応募して見事、ジュネーブ日本人学校の校長職を得たという経緯だったのだ。開かれた学校づくり活動の基盤となった「学校地域支援本部」なるものものも坂山校長の意向により窪川小学校に設置されていた。これは任意で実施できる文部科学省の補助事業である。日韓交流事業も未確認だが、恐らく国際交流系の文部科学省補助事業だと推測する。それらの事業の導入実績と吉備国際大学での実績が、県教委の推薦理由となったことは、想像に難くない。そうか、だからアンケ-トが送られて来たのだと、今頃察知できた。アンケート集計結果は、事業の実勢報告書を飾ったに違いない。それはそれとして、私の問題意識は別の所にあった。公立小学校管理職が自分のキャリア形成目的で、兼職届を出し、それが受理されているという一点である。無論、不法性は一切ないし、しかるべき手続きは瑕疵なく踏まれている。けれども私の府には落ちない。公務員には職務専念義務が基本的に課せられているはずである。そこで、とりあえず、教育長室で見た文書を改めて開示請求をすることにした。開示対象公文書欄には、ずばり「窪川小学校校長坂山英治氏の兼職の内容が分かるもの」と記載した。ところが、予想外のことが起きた。議会の会期中であった時のことである。学校教育課副課長の東氏が、わざわざ議会のフロアに私を探しに来て、「開示請求の内容を書き替えてくれないか。」と言うのである。「開示請求文書名中に坂山英治氏の個人名があるのでまずい。」というのが理由であった。代わりに、「~年から~年の間に学校教育課に提出された兼職届」と書き換えてくれと言うのである。意味不明である。川上教育長には、このような意味不明言動が頻発することは意外と知られていない。ケーブルで放映されている議会本会議では、形式に頼れるし、歴代議長が行政のぼろが出ないような議事整理をするので、十二分に誤魔化しが効くのだ。私は事実に基づき断言するが、この川上教育長は、法律や条例を理解していない。ここでも、「氏名」という個人が特定される情報の運用を、情報公開条例、個人情報保護条例の文脈、趣旨に沿って理解できていないことが露見している。これは実に由々しいことである。何分教育長であり、だから任命権者であり、だから坂山校長は、窪川小学校校長時代に吉備国際大学で海外派遣教員について講義できたのである。それなのに、唖然とするような、東学校教育副課長の言葉ではないか。「坂山英治」名がなければ文書を特定できないではないか。その兼職内容が、公人としてのキャリア形成に直に影響力を及ぼしている。許可する側は兼職内容を査定し、許可する立場である。そもそも公務員の職務内容が、情報公開条例上、非開示にできる個人情報から除外されていることさえ、恐らく、認知外の教育長である。厳密を期せば、兼職内容は職務内容ではないという解釈もありうるかもしれない、だかそれが、本職の人事に影響すればどうなのか。第三次安倍内閣文部科学大臣に昇格した荻生田光一氏も加計学園関連大学の名誉教授であった。兼職できることと、兼職内容の本職影響力(逆もある)は、本来区別して、正確に査定されなければならないはずだ。ところがこの教育長判断である(この川上教育長の、人事運用の問題点の数々は、別の機会に詳細に書く予定。)更に坂山氏が吉備国際大学講師であったことはネット上で既に公知のことでもある。そもそも平気で当の書類を私に教育長室で見せたではないか。この杜撰さ、支離滅裂ぶりは、中尾町長の先日の議会答弁「風車から出る電磁波」を髣髴とさせる。ああ、類は友を呼ぶとはこのことか。町政を担う執行側のこの両トップの無知無能振りが、高橋氏や坂山氏とは桁違いのオリックスという、貪欲な、「営利目的で持てる知能を即座に結集できる集団」、つまり企業にとってどう作用するか、が最大の問題である。教育委員会は、文化的景観、企画課が、環境影響評価、景観協議会とまちづくり、農林水産課は保安林解除、環境水道課は、新エネルギ―推進と、風力発電には多くの課が関わっている。賢明な最終判断に向けて各課が総力を結集するにも、指令塔がこれでは、町の前途は極めて多難であるとしか、思えない。森友、加計問題だって、蓋を開けてみれば、このような杜撰さ、支離滅裂さの束なのではないか。国民が知る機会がないだけで、と私は直観する。制度が、政治家や官僚による行政の私物化を許しているなら、その神は、国民の目に見えない細部に宿っているのではないか。それは、ミクロなレベルでこの四万十町にも言えるのではないか。そう直観するので、私は、自分が見続けて来た、この町の政治家と官僚の動向の細部を伝達する。町民ならず、国民の皆さん、我々が政治への信任を失い続けて来た、問題の真のありかは何か。私の伝達を、ささやかな、考察資料として是非活用していただきたいと思う。

四万十町議会議員  西原真衣