呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(30)

 連日で総務常任委員会を傍聴した。目的の請願審査である。この請願の件名は、「オリックス株式会社による大藤風力発電計画の不許可及び町有地を提供しないよう求める請願書」である。紹介議員は、武田秀義、岩井優ノ介、村井真菜議員の3名であり、このラインアップは、9月定例会で反対の立場で、大藤風力発電事業計画について一質問した議員と重なっている。岩井議員と村井議員は、総務常任委員会より出席依頼を受けて、説明のために出席していたが、武田議員は、別件で不参加であった。議会規則によれば、紹介議員は、出席依頼があれば出席しなくてはならない、と請願紹介議員となる事の責任が規定されていることが、武田議員によっても、古谷総務委員会委員長によっても軽視されていると感じた。かといって、出席した岩井議員と村井議員にしても会議開催直前には、隣の部屋で開催中の教育民生員会を途中で抜け出して来て、総務常任委員会に同席し、上機嫌で実にくつろいだ雰囲気で、真菜さん、優さんモードで雑談しているのだ。町民有志の請願を議会につなぐ参画のパイプ役という議員本来の責務の自覚に伴って発生していなければならないはずの、緊張感は私には、あまり感じられなかった。議会とは町民代表である限り、対立、錯綜する町民間の利害が生む緊張感の中にあるのが本来の姿である。議員間の慣れ合った、妙な仲間意識は、部外者には実に不快であり、おまけにたった一人とは言え傍聴者のいる前で、真菜さん、優さんは、さすがにいただけなかった。武田議員は、私が退席した後のもう一つの請願案件「ヤイロチョウのさえずる町づくり条例の制定を求める請願」審査時には、現れた。この請願は、観光協会、大正町活性化株式会社、朝霧森林倶楽部、生態系トラスト協会の連名で提出されている。朝霧森林倶楽部以外は全て賑わい創出課所管の補助交付団体であり、武田議員自身も、賑わい創出課所管の補助交付団体商工会の会長職にあるのである。武田議員に取って、関連団体からの請願が自身の立位置に照らし合わせて重要かの打算が働いていることは、一目瞭然である。

私は、それこそ私的な用事があり、一つ目の請願審査しか傍聴出来なかったが、議事の概要は以下である。

岩井優の介議員:風車病が報告されている。風況次第で発電効率が低い、補助金目当ての事業計画である。シーテックの社長が自ら公言している。

古谷幹夫委員長:風力発電がまがい物と言う考えなのか。

村井真菜議員:欧州は風力発電先進地であり、普及度が高くがゆえに風車病についても知られている。風車病が認められるには、水俣病と同様何十年もかかると思う。健康でなくては幸福感は感じることはできない。町民の健康を町は守らなくてはならない。ヤイロチョウに関しては、鳥の道は風の道であり、風車のブレードの速度は新幹線並みと聞く。風の道が新幹線並みの速度で寸断される。ヤイロチョウに悪影響が出る。四万十町には薪がある。地産地消エネルギーの普及で四万十町は先進地になれるのではないか。

水間淳一議員:風車から一番近いのはどこで、その距離は。

村井真菜議員:瀬里で、2kmだったと思う。

堀本伸一: ねえ、村井さん。わしは、10代のころから山で漁師をしていた当時はヤイロチョウは沢山いた。山が変わった。ヤイロチョウが減ったのは、風力のせいではない。原発に反対もして来た経緯もあるが、人間の生活に電気は必要であり、伊方の原発の電気を使いながら風力発電に反対することには、矛盾があると考える。気候変動のことも考えなくてはならない状況がある。わしも色々考えた。この際、企業との協力体制が必要じゃないか。オリックスに金を出させて、ヤイロチョウを守ったらどうか。

田辺哲夫:愛南町に視察に行ったときに。愛南町職員退職後愛南町議員を二期やったという風車直下に住む人に会った。実に温厚な人物で過激な反対運動員には見えなかった。

風車の騒音が気になると言っていた。土砂の流出のことも言っていた。愛南町は今裁判を起こされているらしい。

村井真菜:オリックス社の計画を認めたら、次から次へと発電事業者が入って来る可能性がある。これが最も危険なことだ。

田辺哲夫:シーテックの親分の四国電力が、風力発電を狙っていると聞く。

下元昇: それが、懸案事項だ。この辺は風況がいいので、次から次へと風力発電ができる可能性がある。四万十川の汚濁がどうしても起こる。

吉村アツコ議員発言なし。

以上である。岩井議員と村井議員は、特段目新しいことは発言していない。非常に耳障りに聞こえるのは、堀本議員の発言である。オリックス社に資金援助させてヤイロチョウを守る具体策が果たしてあるのだろうか。地球温暖化、気候変動は既成事実である。電気が必要も国際社会の共通認識である。温暖化の原因が二酸化炭素の排出であることも共通認識である。この人物の頭の中では、クリーンエネルギーと再生可能エネルギーが同一視されているようである。電気は必要と言いながら、エネルギーの需給状況への言及はない。だから原発と風力の稼働必要性と気候変動対策上の電源選択の論点がごっちゃになっている。多弁になればなるほど圧倒的な知識不足が露見している。だから実に耳障りなのである。ただ口ぶりから、大藤風力発電事業計画を止めたくないことだけは分かる。温厚な良識派を気取りながら、利益誘導を図っている感は、この人物の定番である。この人物を私の目で査定すれば、「わしもいろいろ考えた。」と言う割には、論理構成自体が出鱈目である所を見れば、長年議員として、下調べを入年にする等の自己研鑽に励んできたとは、思い難い。更に、この人物は、議会開催中の喫煙所でも、常にある目論見を匂わせながらよく「ねえ、課長」をやっていたので(当時から私には耳障りであった)、「ねえ、村井さん」を私は聞き逃さなかっったのである。更に、下元昇議員は、この辺が風況が良いことを、なぜ風況調査の前から知っているのだろう。更に、当地でのシーテックによる風力発電計画に言及した田辺議員や、今後の風力発電算入の趨勢について、下元昇議長の耳には入っていそうである。おそらく請願提出者「四万十ふるさとの自然を守る会」経由ではないか。まだ高知県環境共生課のHP上には記載されていなので、私は知らなかった。結局、高知県は山国であり、過疎地であり、山頂風力発電の立地に狙われ易いという事であろう。つまり、人家数が希少であったり、農業、林業等の地場産業が衰退しているので、反対運動が起こりにくかったりするのということである。その証拠に、立地予定地である大正地区でのオリックス社説明会は、地区住民にだけ案内し、地区外の参加は排除している。これが、オリクス社の姿勢であことは間違いないし、区長の使命と連絡先を情報提供した四万十町企画課四万十川対策室は、地区外の住民の参加を認めないことを把握の上で、このオリックス社の姿勢を容認している。大正街中の住民相手の説明会のチラシ、これはオリックス社が区長を戸別訪問して手渡したそうだ(企画課課長山本康夫談SNS上で見たので、ここに転載する。

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実にあからさまに、「地区住民の方への説明会にて、地区住民の方以外のご参加はご遠慮頂いております。」と明記している。昨日の古谷幹夫委員長の私に対する発言「ここは、そういうことを話す場じゃない。」を捩れば、「ここは、そういう質問に答える場じゃない。」いうオリックス社の本音が、「ひよこのあんよ」の如く、のぞいているのである。勿論本物の「ひよこのあんよ」のようには、可愛いはずもない。さて、どうする四万十町議会、陳情請願の採択、不採択結果が報告され、質疑討論を経て議決されるのは、最終日の12月17日であろう。四万十町民の皆さん。このブログを借りて、本会議では見れない舞台裏(委員会質疑)を実写したので、それを予備知識として本会義を御注視あれ。私に取っての個人的見どころは、沖縄の基地問題を権限外として不採択にするか否かであるのだが、それも含めて、議場に傍聴に行くつもりである。ゆくゆくは、傍聴団を結成し(中、高校生大歓迎)で、議会についての感想談話に興じてみたい。私は本気で彼らに聞いてみたいのだ。学校で習ったことと同じか、違うかを。そして、どう違うかを。「じゆうく」よりよっぽど面白いと、子供は思うはずである。

四万十町議会議員  西原真衣