呆れた議員達の行状

地方議会の実態から日本を見る

風力発電と蠢く町政(24)

  11月15日開催の四万十町議会全員協議会のことを書いた。この日の議題は、1(執行部からの説明) 風力発電町有地賃貸証明書について、2.政治倫理条例の見直しについて。3、聞き取り調査について、4その他、であった。議題1については議員発言を含めて詳しく書いた。今回は議題2について書きたい。四万十町議会政治倫理条例は、平成26年に制定された。議会基本条例で制定すべきと、書かれているのを受けて発議(議員提案議案)で制定されたのだ。政治倫理とは、簡単に言えば、政治家としての品位の保持である。まずは、金銭の見返り等の収賄斡旋を疑われるような行為を慎むという、極めて当たり前のことが書かれているだけである。行政権への不当介入の禁止である。実は、この政治倫理条例の適用第1号は、私であった。政治倫理審査会が本会義で設置され、疑義1、議員の地位を利用して、町の人事に介入した。疑義2.議員の地位を利用して職員に圧力をかけ、業務に支障が生じた。の)2点で、政治倫理審査会全7回の審査結果、四万十町議会政治倫理条例違反で、辞職勧告を受けた。この経緯と結果には、今でも大いに疑義がある。理由を述べれば非常に長くなるので、又の機会に書きたい。けれども今また、政治倫理条例が見直されて、12月定例会若しくは、3月定例会で、条例改正議案が上程されようとしている、と耳にした。改正点は、地方自治法の92条の2に規定されている内容、議員の兼業禁止条項に基づき、兼業を「自粛する」から、「遵守する」に改正しようとするもののようである。

 それはさて置き、政治倫理条例見直しが説明された全員協議会の席、傍聴者であった私と岸本氏が退出した後に、槙野章議員が他の議員に謝罪するという一幕があったらしい。私はこの第一報を、知人から得た。知人は他の議員から得た、と言う事である。聞いた瞬間、私が見逃した18日に開催された臨時議会での謝罪としか、思えなかったが、事務局に確認を取れば、「公式には、謝罪していません。」と言う。同席議員経由の情報と言えば、事務局長は、「秘密会でやりました。」とだけ返答した。秘密会とは、地方自治法上の規定で言えば、出席議員の2/3以上の賛成で成立する非公開の会議の事である。けれどもまずは、全員協議会とは、執行部からの議案説明や議案事前審議のための協議の場であり、議決の場ではない。だからここで採決を取り、秘密会にすること自体が、端からおかしい。槙野章議員の政治倫理を問うならば、私に対しては、徹底的にそうであったように、公の場(本会議)でしなければならないのではないか。議員が政治家という公人であるが故の政治倫理ではないか。秘密会の全員協議会での謝罪とは、呆れて、殆ど茫然としてしまう。議員報酬引き上げ時には、議会運営委員会で意思統一を図り、(秘密会ではなく、議事録を取り、採決はしていない。)その結果を全員協議会で報告するという手順が踏まれた。全員協議会でも採決は取っていない。「議員報酬引き上げの要望書を中尾町長に提出した。これは議会の総意である、異論はないな。」という相互確認作業、言い換えれば言質を取り、心理的に拘束するという作業をしたのである。だからこそ、本会議で、議会運営員会委員であった、武田秀義、中屋康、下元真之、岩井優ノ介に対して、下元昇は原案賛成の立場で、「議運の委員からおかしな反討討論が出た。金額までは言わないが、議員報酬は上げるべきに異論なしとしていながら、前言を翻した。ここに議事録がある。本会議に置けるパフォーマンスである。」と討論した。これこそおかしな理屈である。議会運営委員会も全員協議会も採決を取っていないのに、なぜ意志を拘束できるかのごとき発言ができるのだろう。この4人は、後日、他の議員の前で謝罪を求められ、議長酒井祥名で、厳重注意文を手渡された。これは、以前にも書いたし、事務局から入手した厳重注意文も公開した。つまり、槙野章の件で、これと同じ光景が、またや再現されたのだ。あの時、全員協議会の場で「議員報酬引き上げを政争の具にするな、選挙で回るときに、なぜ賛成したのかと聞かれて、迷惑している。」と発言したのは下元昇であるが、今回、槙野章の政治倫理を問うに当たって、これを議会内部の政争の具にしているのは、下元昇その人ではないか。二枚舌もいい加減にしてくれ、という領域は既に通り越して、耄碌の域についに達したたか、と思った程であった。議員であるからこそ課せられる政治倫理とは,議員としての代表権を負託した、有権者に対する政治倫理である。だからこそ、収賄、斡旋利得を疑われるような行為を慎むと、まずは、書かれているのだ。私の場合は、議場での発言に端を発していた。だから、全会一致の問責決議を経て(本会議)、議場外言動部分にもまたがる事から、政治倫理条例を適用して辞職勧告に至り(本会議)、それでも辞めないので、除名しようとしたが、できないと分かり、会議規則を適用して、配布したチラシ中で政治倫理審査会の秘密会の議事を漏洩とたという理由で、会議規則違反に問い、議場で3日間の出席停止(本会議)という懲罰が下された。これを槙野章の場合と比較してみよう。現職議員槙野章は、元議会事務局職員女性と不倫関係があった。これは議場外である。女性職員の夫は、四万十町職員である。夫が槙野章に対して慰謝料を請求している。夫は現職議員堀本伸一に慰謝料請求立ち会いを依頼した。双方が、弁護士を立てている。槙野章は、「うつ病」という診断書を出して、9月定例会を全て欠席した。その間に、孫の送り迎え、居酒屋、地元飲み会、町内ホームセンターでの複数の目撃談がある。槙野章の地元では、議長下元昇宛ての嘆願書(議会で懲罰を与えないで欲しいという内容)が回っている。以上は、私が耳にした伝聞である。議会事務局に確認した所、嘆願書は、議長に未提出であり、上記と同一の目撃談は、複数の議員を通じて議長に報告されたという。これら一連の経緯からすれば、槙野章の不倫事件は、元は私事ではあるが、政治倫理条例にもある「議員としての品位の保持」上は、問題なしととは言えない。ましてやそれが原因で診断書を出して本会議を全て欠席しているにも関わらず、平気で外を出歩いたという事実からすれば、「本会議軽視という重大な懲罰事犯であり、議会は戒告、公の場での謝罪、減給等の処分をすべきである。」が順当な判断ではないのか。ところが、それに反して、議長下元昇は、全員協議会を非公開にし(議事録は取るが、閲覧できない)他の議員に対して本人から謝罪をさせて幕引きを図ったという事である。同じ政治倫理を問うでも、私の時とは雲泥の差である。私の時は全て議場で公開でやり、槙野章の場合は、議員だけの場でそれも非公開で、本人に、他の議員に対して謝罪させたという事である。非公開の会議を秘密会と呼ぶが、秘密会においては、議事録は取っても、議員以外は、事後も閲覧できない。私的な不祥事から本会議を欠席し、その間に出歩いた、態度の悪さ、即ち議員としての不品行、政治倫理上の決着は、本来、選挙によって負託を受けた有権者に向けられるべきものではないか。これは単に、嘆願書を回していると聞く地元支援者に対するだけの問題ではない。「謝罪すべきは、町民全体、つまり有権者である。」この基本が、はき違えられている。

 議員報酬はやはり引き上げるべきではなかった。余りのレベルの低さに唖然としないか。確かに、私は、槙野章が全欠席した9月定例会の傍聴席から見た四万十町議会を目撃し、余りの弛緩振りに目を覆いたくなった。私の目には、まるで敬老の日認知症予防目的イベントでやっている模擬議会のように見えたのだ。その印象は、今回の件で、確信に変わった。ところで、同じく政治倫理を問いながら、私に対する議会対応と槙野章に対する議会対応のこれほどの違いがどこから来るか。一般の人は、推測できるだろうか。以下は、私の推測である。私の場合は、まず執行部からの申し出があった。それが、先述の疑義二つである。これが恰好の大義名分となった。私を議会から排斥したい議会内勢力が、にわかに勢いづいた。彼らにとって私は、かねてより、彼らの体面を傷付ける不法侵入者のごとき存在であったからである。議会側から、これでもか、これでもかと次々と懲罰が繰り出された。私は謝罪しなかった。謝罪する理由がなかったからである。改選後その勢力の残党は、同様に議会運営の主導権を握りたがった。彼らにとって、政治倫理条例は、元々政争の具である。政治倫理条例の見直しを諮問したのは、改選2年前時の議長酒井祥成である。この酒井祥成が、私の政治倫理条例違反を審査する政治倫理審査会長でもあったことには、注意が必要である。ここで是非とも言っておきたいのは、諮問書も諮問先の議会運営委員会が出した答申書も、その間の議事内容も全議員に伝達されていないという事である。無論町民に公開されてもいない。恐らく書庫に保管されたままである。彼らが政治倫理条例を政争の具にしているからこそ、このやり方なのである。そして、議会運営委員会の委員以外見たことのない答申に基づいた、政治倫理条例92条の2、兼業禁止が直撃するのは、会長を兼任している武田秀義である。この一件と、全議員のいる場における槙野章の謝罪は、今後の、武田秀切義と槙野章の議会内力関係に大きく影響する。その力関係は、今後の議会内ポスト争いと、各々の利害関係が絡んだ議案の投票行動の根回しに使われることは、目に見えている。実際、賛否が伯仲した、平成29年 12月の十和道の駅の指定管者選定議案の採決を巡っても、事前に議員間で電話をかけ合って根回しが行われていたと聞く。「次は議長にするから、こっちにつけ。」が決まり文句であったという事である。私には1本も電話がかからなかったので、他の議員から、後で聞いた。「議員の地位を利用して、町の人事に介入した」と斡旋の疑義をかけられた私としては、これ自体が、本質的に、議員間の収賄、斡旋じゃないかと思うが、このような、議決権が絡む議会内ポスト争いには、いつも水面下で血道を上げているように、確かに見えた。方や議事に対しての恒常的な関心度の高さや熱中度は、お寒い限りであった。ポスト争いにだけ熱中する彼らの習性を観察しながら、私はしみじみ思ったものであった。議会は猿山にそっくりだ。ボス争いが雄の本能、習性なんだろう。考えてみれば選挙に出る事こと自体がマウンテイング行為に近いとも言える。アメリカのトランプ大統領だって、あの事あるごとの雄たけび振りは、充血した肛門をメスに向かって突き立てているヒヒの雄に、似通っていないか。地位(報酬)と女、やはり、これが原初的な雄の獲得志向物なのである。選挙に出たがるような雄には、猿の習性が色濃く残っているのだろう。これもある程度は、仕方がないとも言える。所詮我々は猿の末裔なのである。しかしながら、である。振り返ってみれば、私に対しては、従来の議会運営を乱す不法侵入者の如き共通敵と見なして雄猿の集団が一致団結して、実に大ぴらに、公的資源を惜しげもなく使って(7回の審査会開催費用弁償、弁護士相談2回、議会だより掲載3回)排斥を試みた。ところが今回は、比較的議会内勢力の弱い雄猿の不祥事である。おまけに直接の原因が、雄であることで、直座に暗黙の理解に至れる、雄の雌に対する発情案件である。心底、その動機を理解できるが故の,同種間の寛容さが働いた、とも大いに想像できる。しかし、問題の本質はそこではない。やはり謝罪すべきは、有権者であり、従って公の場でやるべきであり、同時に、ガキのいじめじゃあるまいし、私に対してと槙野に対しての政治倫理上の処遇は、本来、公平、公正であるべきである。ここに、議会運営における常軌を逸した乱用、逸脱、低劣さがある。そもそも、私は、秘密会の議事内容を漏洩したという理由で、会議期規則違反に問われ、本人が決して望んでいなかった3日間の出席停止という懲罰を受けた。秘密会で槙野が謝罪したという情報を知人に漏らしたという現職議員の誰かも、本来ならば私と同様に懲罰ものではないか。法令を恣意的に運用できる議会は、既に議会ではない。崩壊している。

 本より、異性に惹かれることは、生命にとって自然なことである。既婚者が、配偶者以外の異性の持つ引力に抗いがたかったとして、それ自体が、倫理に反するとは思わない。生命は、なべて異性の持つ美しさに惹かれるように作られていると、思うからである。男がそうであるように女もそうであるのは自明の理だが、権勢欲にまみれた雄、これは元々うぬぼれが強い、には、この視点が欠落しているようである。私は、かって、もう亡くなられたが、窪川町教育長の辻不可死氏を教育長室に時折訪ねて、談笑させてもらっていた。私は、ある時、当時からの自分の自説、「女は男の査定機関である。」を辻教育長に披歴した。辻氏は、私がその言葉を口にするやいなや、「そうだ。」と即座に全面的に肯定してくれたのである。それで、私の中では、それ以降、辻氏の右に出る教育長は、現れていない。男性にとっての成熟とは何か。その熟成した酒のような芳醇さを感知できない限り、女にとって男は、美しくはありようもないと、私は思うし、現況ほどの美しい男の絶滅状態に接した時には、やはり査定機関(女)の責任を感じずにはいられないのだ。

四万十町議会議員 西原真衣